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令和4年2月定例会(第4日) 本文
令和4年2月定例会(第4日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2022-02-04
    令和4年2月定例会(第4日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(藤木卓一郎君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  日程によりまして、一般質問を開始いたします。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 2 ◎川崎常博君(拍手)登壇=一般質問初日トップバッターを務めます自由民主党の川崎です。  去る先月二十五日に我々の大先輩であります原口義己先生が御逝去なされました。我々三期生は原口先生とは入れ違いですので、一緒にこの場でお仕事をしたことはございません。ここにたくさんおられる先輩の方々が、まさにこの場で一緒にけんけんがくがくとお仕事をされたことでありますので、我々以上に痛恨の念が深いかというふうに思います。  実は前々から父を通じて先生を存じ上げておりましたので、毎月一回十人程度の異業種の方々と飲み会をつい去年の十二月までやっておりました。非常にお元気で、県政の今までの、そもそもどういった流れでやってきたのかということも、あの口調で私もたくさんお話をお聞きしました。大変残念でなりません。非常に僣越ではありますけれども、私からも哀悼の言葉をささげたいというふうに思い、一般質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。  まず最初に、障害者雇用の推進についてということでお伺いをします。  この質問に至る経緯を少しお話しさせていただきます。  去年の六月定例会、それから十二月定例会に、我が会派の中村議員さんが知的障害者の雇用ということで御質問をなされました。私自身も最近、ある方からこの件に関して御相談を受けました。個別具体的なことはこの場では申し述べませんが、大変重要なことですので、私からも質問させていただきたいと思います。  さて、令和三年十二月に厚生労働省が公表した令和三年障害者雇用状況の集計結果によると、佐賀県内の民間企業の障害者雇用率は令和三年六月一日現在で二・七%となっております。これは都道府県別では全国三位、民間企業における障害者雇用率は全国の中では非常に高い水準となっております。一方、県が令和三年十一月にホームページで公表した行政機関における障害者雇用率は知事部局が二・六七%、教育委員会が二・五一%、警察本部が三・〇%となっております。いずれも法定雇用率をクリアしております。ちなみに民間企業の法定雇用率は二・三%に対して、先ほど申し述べました二・七%ということになっています。法定雇用率をクリアしているということで、それはそれでオーケーかなというふうに見えるところではございません。  先ほど民間企業が二・三%の法定雇用率なのに対して、行政はそれよりも高い水準を設定されています。それも軒並み佐賀県内ではクリアをしていますが、私としては物足りないというふうに思っているところであります。  県の障害者活躍推進計画によりますと、「公務部門である県では、民間の事業主に対して率先垂範する観点からも、法定雇用率の達成だけに留まらず、障害者雇用を積極的に進めていく必要があります。」と県自らうたってあります。にもかかわらず、法定雇用率をクリアしているとはいえ、民間に比べるとその数字は低いものとなっております。果たして率先垂範する県がこの程度で民間に響くでしょうか。  確かに知事部局においては、障害者採用試験の対象に身体障害者だけでなく、知的や精神障害者を加えたり、知的障害者を主な対象としたチャレンジ雇用を始めるなど障害者雇用に力を入れていく姿勢は示されております。しかしながら、実態としては、知的、精神障害者の雇用が進んでいないといった課題も見受けられます。  ここで、先ほど紹介しました中村議員さんの質問の中身で、ある一節ですけれども、「私はいっそのこと受験対象者から知的障害者を除外すべきだと思います。これ以上、知的障害者の方々に無駄な期待を持たせたくありません。と同時に、県からやってます感を取り除くことが、次の道を模索する上で不可欠だと思うからでございます。」という痛烈な批判にも取れる御発言がありました。これに対し元村総務部長の答弁ですけれども、「県庁の組織を活性化させるためには、多様性が重要でございます」と、まず冒頭、こういう御発言があっております。もっともな話であります。しかし、中段、「知的障害者の方々にとっては、県庁の仕事とのマッチングは難しい面もあると思っている」、トーンダウン。最後は、「障害者の雇用を促進するためには、雇用する側も経験を重ね、障害に対する理解を深めながら、支援の充実を図っていくことが大切でございます。知的障害者を含めた障害のある職員の就労の選択の幅を広げ、一人一人が個性や能力を発揮して活躍のフィールドを広げていけるよう、引き続き取り組んでまいります。」というような御答弁でございました。  ここで、先ほどの令和三年十一月に県が公表した障害者任免状況の報告書をひもといてみますと、知事部局は身体障害者が八十四名、知的障害者ゼロ、精神障害者が十二名、教育委員会身体障害者百六十名、知的障害者ゼロ、精神障害者二十七名、警察本部はそもそもパイが少ないので、個人の特定につながる可能性があるということで詳細は発表されておりませんが、多分知的障害の方はゼロか、限りなくゼロに近い数字だというふうに思います。  民間企業における障害者雇用が進んでいる佐賀県において、行政分野ももっと力を入れ、身体、知的、精神といった障害の種別にかかわらず、積極的な雇用につなげる、いわゆる攻めの雇用に取り組むべきだというふうに思っています。  知事も演告で「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念とし、「県民の命を守る」、「人の想いに寄り添う」、「子育てし大県を推進する」、「さがの未来につなげる」ということを今回おっしゃっております。  私は、障害者雇用は、障害者の生きがいや家族の安心のみならず、移住促進や労働力不足の解消、経済活性化、さらには行政コストの削減にもつながることだというふうに思っています。  いろいろ申し上げましたけれども、問題点は二つあるというふうに思います。解決の糸口ですね。
     障害者の特性を踏まえた配慮に対する現場の意識、まさに合理的配慮、これに尽きる。もう一つは、トップの障害者雇用に対する熱意と力量、これが問われているというふうに思っております。  県行政機関における障害者雇用についてどのように取り組んでいかれるのか、知事、教育長、警察本部長、各任命権者の思いをお伺いいたします。  もう随分昔の話ですけれども、私の地元の味の素九州工場の工場長さんとお話をしたことがありました。私が議員になる前の話です。そのときに、工場内のバルブを全て取り替えたと。どうしてですかと。たまたまそのときは女性の現場進出ということで、力の要らないバルブに交換をしましたということでした。総額何千万円かかかったということでした。そのときに工場長さんが、組織にとって多様性を受け入れることは組織の活性化にもつながるし、我々のような企業にとっては社会的責任も考えるとそういうことは非常に重要なことだと。ひいては企業イメージのアップにつながり、経済活性化にもつながるだろうと。企業版のノブレス・オブリージュというようなことを工場長さんがおっしゃいました。さて、県はどうでしょうか、お伺いをして次の質問に入ります。  二番目、医療的ケア児ライフステージを通したワンストップでの支援体制についてお伺いをします。  令和三年九月十八日、医療的ケア児の保護者や関係者の長年にわたる努力、ついに実を結んで医療的ケア児支援法が施行をされました。ちょうどそのタイミングで、九月の議会でした、一般質問で医療的ケア児の支援体制の構築に向けた取組ということで取り上げさせていただきました。  佐賀県における医療的ケア児支援は、これまで積み重ねた取組を大切にしつつ、医療的ケア児一人一人に寄り添い、それぞれのライフステージにきめ細やかに支援する体制を構築してもらいたいという思いで訴えをしたところでございます。  そのとき、甲斐部長の御答弁です。「医療的ケアが必要なお子さんを、御家族が日々懸命に支えておられるように、県としましても、市町をはじめ、医療、保健、福祉、教育などの各分野の現場で活動する多くの支援者と一緒に、そうした御家族の思いに真に寄り添いながら、お子さんの成長を支えられるよう精いっぱい支援してまいりたい」と、私にとっては百点満点の答えでありました。  また、私はこれまで何度となく医療的ケア児支援の問題を議会で取り上げてきました。これまで少しずつではありますが、県内における支援の充実や支援体制の確立が図られてきたものと認識をしています。  先日、「県民だより」に「あまね」さんのことが載せられておりました。実は後ろにおられる藤木議長さんのつてで「あまね」さんとは随分前にいろんな話をさせていただいて、それからずっとお付き合いをしているところでありますが、随分前ですけども、当時は──県の悪口じゃないですよ、なかなか支援をしていただけない、かみ合わないというようなお話があって、我々も一緒に頑張りましょうということでいろんな取組をさせていただいたところ、藤木議長も当然一緒にですけども、取組をさせていただいたところであります。何とその「あまね」さんがついに「県民だより」に紹介をされるということで、随分変わってきたな、進んできたなというふうに思っているところであります。  今回の支援法施行は、医療的ケア児支援の大きな節目であります。推進の契機とすべきと思っております。そして、その理念に掲げられている個々の医療的ケア児の状況に応じ、切れ目なく行われる支援というものは、まさにライフステージに合わせたきめ細やかな支援体制の構築により実現されると考えています。  この後、一ノ瀬議員も同じような質問で波状攻撃をかけていただくことになっておりますので、よろしくお願いします。  私からは論点を絞って、先ほど甲斐部長の答弁を御紹介しましたが、私のしつこい再質問に対してこういうことをおっしゃっておられます。「ライフステージに応じて様々な課題が出てくるとおっしゃっています。確かにこれまでは、保護者の方が一つ一つ窓口はここかしら、ここかしらといって尋ねて切り開いてきた部分があったかと思います。」、まさにこういうことなんです。保護者や御家族の皆さんが道を切り開くのではなく、県や市町、多くの支援者の皆さんがまずもって道を切り開き、多くの選択肢の中から御本人さんや御家族にとって何が一番最善な道なのかということを選択できる、そうした準備をするのが県の役割であるというふうに思います。  私が質問してからまだ半年程度でまだ早いかなとも思いましたが、ちょうど年度替わりでまさにそのライフステージの転換のタイミングでもありますので、この質問を思い立ちました。県はどのように取り組んでいくのかお伺いをします。  次に三問目、コロナ禍における事業者支援についてお伺いをします。  新型コロナウイルス感染症による地域経済への影響が非常に長引いております。もう二年がたちました。これまで県は、医療環境を守るための非常警戒措置まん延防止等重点措置により感染拡大の防止策として、飲食店への時短要請がなされてきました。時短営業の要請に応じた飲食店は協力金が支払われるため、ある意味、収入があります。現在、第七期、第八期の時短要請になっております。  一方で、その周辺、飲食店に関わるお仕事をされている方、例えば、食材の仕事、酒屋さん、タクシー、運転代行業者、これらの方々には今回協力金はありません。我々議員に対してもいろんなところから悲痛な声が聞こえてきます。何とかしてほしいというような声であります。  一方、時短に応じた飲食店からは大変ありがたいという声も併せていただいておりますので、それも御紹介をしておきたいというふうに思います。  我々は、県民の皆さん、そういった方々の代弁者であります。今回はそれらの方々に対する県独自の支援はありません。しかしながら、代弁者としてその悲痛な声を届けざるを得ません。何とかしていただけませんでしょうか。  確かに県は、これまで県独自のそういった方々に対する支援もたくさんやってこられました。国の制度にのらない様々な方々に数え切れないほどの佐賀型と言われるチャレンジ事業者家賃支援金であったり、持続化支援金であったり、また、宿泊施設への支援、貸切りバス、タクシー、運転代行、あんま等施術所、さらには伝統芸能等にまで支援をしていただいております。しかしながら、今回はありません。  調べてみると、独自でやっている県もあります。多分、部長の御答弁は復活支援金があるから、そちらで何とか頑張ってくださいということでしょうけども、知事にも何度も申しました。県のそういった施策というのは事業者の皆さんに対するメッセージ、何とか一緒にもう少し頑張ってくださいというメッセージにほかならないというふうに思います。コロナ禍を見据えたスタートダッシュのためにも、これらの事業者の方々の体力が鍵になるというふうに思っています。一店舗も欠けることなくスタートダッシュをかけられるように、何とかお願いできませんでしょうかという質問であります。産業労働部長の御答弁をお願いいたします。  最後の質問です。中小零細企業へのDXの取組についてお伺いをします。  最近、DX、DXとよく聞きます。我々の世代でしたら、DXはデラックスなんですね。例えば、子供の頃、超合金デラックスとかいろいろありました。大体金色の文字のパッケージですね、デラックス。最近でしたら、マツコ・デラックス。ただ、このDXをデラックスと読むのはほぼ日本だけだそうです。日本以外ではほとんどこういった訳し方は使われていないということを今回初めて勉強して知りました。  DX──デジタルトランスフォーメーションとはそもそも何ぞや。私も分かったようで分かっていませんでしたので、今回ちょっと詳しく勉強をしてみましたが、AI、IoT、ICT、デジタルの革新に関する様々な言葉の中で一線を画すDXというのは、何が違うかと、要するに手段か目的かというところの違いだというふうに書いてあります。様々なデジタルの技術を使うことによって、製品やサービスを向上させていく、ひいては社会全体を向上させていくというような取組だそうです。  ここまでで頭が何かもやもやとパンクしそうな感じですけども、DXに関しては、県は平成三十年に佐賀県産業スマート化センターを開設し、県内企業のデジタル技術の利活用を促してこられました。開設当時は全国的にも類似施設がなかったらしく、もともと他県の自治体からの視察も多かったようです。今年一月には田畑総務副大臣が視察され、感銘したと、本当に感銘したとおっしゃったんですか。横展開したいというのはお聞きしましたけども、感銘したとおっしゃったと。非常に高い評価を受けたというふうに聞いております。  この取組自体は大変すばらしいことだと思いますし、期待もしています。ですが、私自身、このDXということによく分かってそうで分かっていなかった。多分多くの人が分かってそうで分かっていない、何となく聞いたことあるけどもという程度ではないでしょうか。こういった取組が県内の中小零細企業の隅々まで浸透しているかというと、まだまだとも感じています。日本の中小・小規模事業者、合わせると、大体九九・七%、ほとんどが中小・小規模事業者であります。県内も同じであります。こういった先進的な取組はそういったところの隅々まで行き渡って初めて効果のあるものだというふうに思っています。  こう言っちゃ失礼かもしれませんが、近所の商店、おじちゃん、おばちゃんがやっているところに、DXで何とかせんですか、もし仮に言ったとして、どういう返事が返ってくるでしょうかね。何ねそりゃ。そもそも関係ないというふうに思っていらっしゃるところが多いんじゃないかというふうに思っています。お金のかかっとじゃなかろうか、何か新手の詐欺かというような話にもなりかねません。  しかしながら、中身を見てみると、決してそうではなく、大企業専門のものでもないというようなことが分かってきます。私も、こうした中小零細企業にも世の中の新しい動きや最新の技術などを学んでもらい、ビジネスの飛躍につなげてもらいたいと思っております。企業側にもそうした意志や意欲がある方々もたくさんいらっしゃいます。ですが、前にも中小企業支援でお願いしたことがありますが、やりたいけど、今ぎりぎりなんです、やれないという方々がほとんど。現状維持がいっぱいいっぱいというような企業経営の方々がたくさんいらっしゃいます。  県が政策課題として産業分野のDXの推進を掲げるに当たっては、とりわけ本県では県内企業の大勢をこうした中小零細企業が占めているわけだから、それらの経営者や従業員にも通じる言葉でまずは理解をしていただかなければなりませんので、通じる言葉でその目線に立って普及啓発に取り組んでいっていただきたいと思います。  そのためには、地域に根ざした商工団体などとの連携協力も欠かせないというふうに思っています。ぜひ一緒になってやっていただきたいというふうに思っているんですけども、その場合、やっぱり一番分かりやすいのは成功事例、体験事例などを御紹介して、ああ、これだったらうちもやっていけるかな、やれるかなというようなことが一番有効性が高いんじゃないかというふうに思います。  昨今のDXのブーム──ブームといいますか、社会的潮流といいますか、私自身はこのような問題意識を持ちながら見ていたところです。最初、県がDXに取り組むと聞いたときに、大きな企業への支援だろうなというぐらいにしか思っていなかったんですね。ですが、今回を含めていろいろとお話を伺ったところ、決してそうではない、県自身もこういった取組を裾野の隅々まで広げていきたいというふうにお考えのようです。  そこで、今年度、DXコミュニケータという取組で、年間千件を目標に県内企業を訪問するというお話であります。これは年間千件と簡単に言いますが、お休みがあるとして大体一日四、五件、五、六件、非常に高い数字であると私は思っております。この数字も先ほど言いました商工団体との連携などを含めれば、もっと増やせる可能性もあるというふうに思っておりますので、まずはこの取組を見たいというふうに思っています。  要するに、中小零細企業がDXの中身を理解して──理解しないまでも、いいことだというふうに思って、自分ごととして捉え、その恩恵を享受してもらう、そのための扉をどうやって開くのかということが、このDXコミュニケータという今年度の施策にかかっているというふうに思います。  ついては、県におかれては今後のこれらの事業展開に当たって、ぜひ中小零細企業の目線や視点に立って、分かりやすい言葉でやっていただきたい、そして真に裾野の拡大につながるように取り組んでいただきたいのですが、どう考え、どのようなやり方でやっていかれるのかお伺いをします。  最後に、知事はじめ、教育委員会、警察本部の皆さん、今回は多様性を受け入れて、生き生きと輝き、躍動する県と県民の姿を想像しながら質問を四問させていただきました。我々議員も一人一人の議員さん方が県民の幸せと県の浮揚に命をかけています、知事と同じように。知事の言われるような、今回たくさん聞きましたけれども、知事のいわゆる佐賀だからできる、もう一歩踏み込んで、佐賀にしかできない、そのような取組をやりませんかという四問の提案でありました。  以上、御答弁をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。川崎常博議員の御質問にお答えします。  障害者雇用の推進について、任命権者としてどう考えるのかといったお尋ねでございました。  県民一人一人が性別、年齢、国籍、そして障害の有無など、それぞれが持つ特性や個性に応じて力を発揮し、自然な姿でお互いに認め合い、支え合い、共に前へ進んでいく、こうした社会を佐賀の地に育てていきたいと考えています。そして、そうした形を「さがすたいる」と呼んで、今広め、進めている途上にあると考えています。  そして、県庁の施策にも「さがすたいる」が浸透するように、多様性のある組織、言い換えればダイバーシティーを大切にする組織づくりを進めています。そうすることで佐賀県をよりよくしていくためのイノベーションが生まれていきます。  本県は民間の障害者雇用率は二・七〇%、全国三位ということで、県内の各民間事業者の取組に敬意を表したいと思います。一方で、行政機関は知事部局が二・六七%、教育委員会が二・五一%、県警さんが三・〇〇%ということであります。特に知事部局は二・六七%ですから、議員も御指摘があったように、民間の二・七〇%よりも少ないという状況にあります。  民間が頑張って障害雇用を達成しようと努力している中で、法定雇用率は達成しているとはいえ、本来、僕らが率先垂範すべき立場であるから、もっと伸ばすべきだと、ごもっともだと思います。我々として努力しなければいけないというふうに思います。県としても障害のある方が県庁内で活躍できる環境づくりを進めていきたいと思います。  そして、単に雇用する数だけを意識するのではなくて、味の素さんの話もありましたけれども、多様な職員がいることが組織の成長につながるということを県庁で働く我々一人一人が腑に落ちていて、共に歩みを進めていくことに価値があるんだろうと思います。  川崎議員から攻めの雇用というお話がありましたけれども、行政が一定の水準を設定して、障害のある方々にその水準を求めるのではなくて、障害の特性に応じて働きやすい環境、できるだけ雇用しやすい環境を我々のほうがつくっていく姿勢が大切と私は思います。  そこで、令和四年度からは、書類の封入、議事録の作成、データの入力・集計などなどの各課の業務を集めて、知的障害や精神障害のある方々が支援員のサポートを受けながら働くことができるSAGAチャレンジオフィスを庁内に開設することとして、障害者を支援する事業者の方々の助言を得ながら、今準備中でございます。  県庁という職場が、一人一人の特性、個性に応じて力を発揮できるフィールドになっていくためにも、このSAGAチャレンジオフィスを、県庁の仕事と障害のある方のマッチングの場にしていきたいと考えています。  また、この場所で、障害のある方にとって親和性のある仕事を率先してつくり出すなど、我々自身もチャレンジを重ねて、働きやすい職場づくりを広げていきたいと思います。  県庁が障害のある方にとっても輝ける場所となるよう、不断の努力を重ね、結果に結びつけていきたいと考えています。 4 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=私からは、医療的ケア児ライフステージを通したワンストップでの支援体制についてお答えをいたします。  これまで県では、医療的ケア児支援として、介護者のレスパイト支援ですとか医療的ケア児支援コーディネーターの養成、災害時の非常用電源購入補助などに取り組んでまいりました。  また、昨年九月の医療的ケア児支援法の施行に先立ちまして、七月にワンストップの支援窓口として佐賀県医療的ケア児在宅生活ホットラインを設置したところでございます。  令和四年度からは、このホットラインの機能を拡充する形で佐賀県医療的ケア児支援センター、仮称でございますけれども、こちらのセンターを設置したいと考えておりまして、そのための関係経費を今回の予算案に盛り込み、提案させていただいております。  このセンターでは、これまでホットラインで実施してきた保護者や支援者からの相談対応ですとか関係者による勉強会の開催に加えまして、現場のニーズに合わせてアウトリーチ型の対応を充実させてまいります。  例えば、医療機関で行われる退院時カンファレンスへの参加、自宅等への戸別訪問などでございます。入院生活から初めて在宅生活に移行する時期というのは、これから始まる退院後の在宅での生活がイメージしにくいということがありまして、不安が大変大きいものだというふうに思います。その最初の時点からきめ細かな支援を行い、ライフステージごとの課題に対応していきたいと考えております。  そして、子供の成長に伴って保育所などについての利用希望が出てまいります。そこで医療的ケア児等就園支援コーディネーターを配置しまして、保育所や幼稚園などへの就園調整を始め、受け入れる子供のケアに関する園の職員への研修ですとか入園後のフォローまで伴走型でサポートしていきたいと考えております。フォローすることで園のほうも受け入れやすくなり、お子さんや保護者の安心につながると思います。  保護者の方の希望がかなうよう、関係機関と調整しながら、一つ一つ丁寧に対応してまいりたいと思います。  また、あわせまして、医療的ケア児支援センターで実施する勉強会やケース会議などを通じまして、各地域のこれまで研修を修了していらっしゃいます医療的ケア児支援コーディネーターの皆さん、こちらの皆さんのスキルアップとネットワーク化も図ってまいります。  医療的ケア児支援センターを支援の拠点としまして、ライフステージに応じた支援、保育所なども様々なステージがございますので、それに応じた支援が皆さんに行き届くように、市町はじめ、本当に多岐にわたる関係機関と連携しないといけないと思っております。そして、各地域のコーディネーターなど支援者の方々とつながり手を携えて、医療的ケアが必要なお子さんと保護者の皆さんの日々の懸命な思いに寄り添いながら取組を進めてまいります。  私からは以上でございます。 5 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、大きく二項目についてお答えいたします。  まず一項目め、コロナ禍における事業者支援についてでございます。  議員からも言及がございましたように、新型コロナウイルス感染症の影響は、時短要請対象の飲食店だけではなく、業種や業態、あるいは事業者によって状況はいろいろ異なるようではございますけれども、多くの事業者に及んでいるというふうに認識をしております。  そうした状況を踏まえまして、国において月次支援金というものが実施をされておりましたけれども、それは例えば、緊急事態措置区域などの飲食店との直接、間接の取引があるといった取引要件が課せられていたり、また売上げ減少要件も五〇%以上と大変ハードルの高いものでございました。  そうしたことから、多くの厳しい状況に置かれている事業者の方々が支援金の対象にならないということがございまして、県におきまして佐賀型の中小事業者応援金という形で制度を創設させていただき、支援を行っておりました。  また、あわせまして、下支えの部分というのは大変対象の方も多いということもございます。なかなか自治体の力では限界があるなというような思いもございまして、そういったところはやはり国においてしっかりと支援をしてもらいたいという思いがございまして、全国知事会を通じまして、月次支援金であれば要件をもっと緩和するようにといったこと、あるいは当初に実施されました持続化給付金をもう一度給付すると、そういった思い切った施策をやってもらいたいということで、国に対して繰り返し私どものほうからも全国知事会を通じて提言を行ってきたところでございます。  今回、こうした全国知事会による提言の成果の一つだと私どもは考えておりますけれども、国において事業復活支援金というものが創設をされたところでございます。この事業復活支援金は、月次支援金と比べますと、緊急事態宣言区域との取引の要件とか、そういったものは特に縛られているものはございませんし、売上げ減少要件も三〇%以上から対象というふうに要件が大幅に緩和をされております。  それでもなお、この事業復活支援金の対象にならない方々というのがおられまして、それは店舗を増やされた方、コロナになってから店舗を増やされた方はどうしてもトータルの売上高が大きくなってしまいますので、売上げ減少三〇%というところに引っかかってしまうということがございます。  また、道の駅の運営をされている、いわゆる任意団体の方々というのは、国の支援対象にはならないと、ここは依然として変わっていないということもございますので、こちらのほうはこれまで同様、県独自に支援をさせていただきたいと考え、今議会に予算案をお願いしているところでございます。  先ほど申しましたけれども、今回の事業復活支援金というのは、全国知事会からの提言によって、いわば勝ち取ったものだというふうに思っておりまして、国の御英断に大変感謝をしております。要件が大幅に緩和されておりますので、コロナの影響で厳しい状況にある事業者におかれましては、ぜひこの支援金を積極的に御活用いただきたいというふうに思います。  なお、この事業復活支援金につきましては、本日、新聞各紙で全面広告という形で掲載をされておりましたように、実施主体でございます国において、周知広報は行われておりますけれども、まだ御存じない事業者の方もおられるといったこともお聞きしておりますので、国に対し周知広報の強化を要請いたしますとともに、県といたしましても、県の支援策とあわせてこの国の支援金の周知も図っていきたいと考えております。  一方で、コロナで消費行動や企業活動が変化をし、新しいスタイルとして定着しつつあるものもございます。コロナ前に戻るということを期待しつつも、そこだけではなくて、いろいろな変化が起こっておりますので、そういったものも前向きに捉えて、新しい商品を開発するとか、あるいは販売方法を変えるとか、業態を転換するとか、そういった新たなことに取り組むことも重要だろうというふうに考えております。実際、そういう事業者さん、たくさん出てきておられます。そうした新たな取組については、これもまた県として引き続き強力に支援をさせていただきたいと思っておりまして、こちらも予算案を今回お願いしているところでございます。  コロナの収束がなかなか見通せない中、自立して前を向いて進んでいかれる事業者の方々を、商工団体をはじめとした支援機関と一体となって支援をしてまいりたいと考えております。これからも現場を大切に、その時々の状況に応じて何が必要かを考えて実行していきたいというふうに考えております。  次に、二項目めの中小零細企業へのDXの取組についてでございます。  議員からも御指摘ございましたように、中小零細企業の目線に立ったDXの推進というものは、これは県といたしましても十分にそこは意識すべき点だというふうに認識をしております。  ではまず、なぜDXに取り組むのかということでございますけれども、このところデジタル技術が飛躍的に発達をしておりまして、そういったものを背景に、例えばですが、これまでというか、今、人が時間をかけて手作業で行っているようなものを、今、様々なものが出てきておりますので、大変リーズナブルな価格で購入したり、あるいはサブスクのように利用できるといったタイプのものもございます。そういったシステムやアプリで、そういう作業を代替することによって、誰の目にも明らかなぐらい効率的な作業ができる。そして、生産、販売ができるようになるということもございますし、あるいはインターネットを用いることでこれまで接点を持ち得なかった遠方のお客様、そういった方々との顧客、取引先の開拓といったものができる。そういったようにビジネス上の恩恵というのは非常に大きいものがあるわけでございます。  ですけれども、これは裏を返しますと、どのような業種、業態でございましても、こうしたことに気づくかどうか、知っているかどうかで、場合によってはあっという間に競合の企業に水をあけられかねない時代ということも言えると思います。  こうしたことから、県内あまねく広く中小零細企業の皆様にも、デジタル技術の発達とか、あるいはビジネス的な可能性についてお知らせをし、またそれを浸透させ、こうした潮流から恩恵を享受していただけるように取り組むことが必要だというふうに考えております。  こうしたことから県では、平成三十年に、議員からも御紹介ございましたけれども、全国初となる産業DXの支援に特化した施設、産業スマート化センターを開設いたしました。  このセンターでは、例えば、DXで売上げアップですとか、ピンチをチャンスに変えた佐賀県企業の事例、あるいはエクセルでデータサイエンス、こういった、中小零細企業の方々にも少し身近に感じていただけるような、あるいは響きそうなテーマのセミナーも開催をさせていただいております。  そしてまた、そもそもITでどんなことができるんだろうかと。あるいは何から始めたらいいのかといった疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるということでございますので、ITに精通したセンターのスタッフがこうした御相談には個別に対応させていただいて、それぞれの企業の課題を抽出して、その参考になりそうな類似の取組事例を紹介するなどして理解を深めていただき、その上で各社、それぞれ各企業の課題に対応ができるIT企業とマッチングを行う、こういった取組をしているところでございます。  また、デジタル技術を使ったらどんな効果が得られるのかといったことを実証する事業ですとか、各企業のデジタル技術活用の取組を支援する事業を通じまして、例えばこれまでに、事務作業を全てデジタル化して、一日三十分の在宅ワークで処理できるようになった。これは十数人規模の建設業の事業者でございます。あるいは画像認識技術というものがございますが、そちらのほうで、いわゆるカメラとセンサー、あとロボットを使ったり、そういったもので製品検査を自動化したり、あるいはIoTという言い方をしますけれども、カメラやセンサーなどでデータを集めて、それを即座に分析する。そういったことで設備の管理を省力化した、こちらは五十名規模の製造業の企業さんというのもおられます。こういった中小零細企業にも身近な事例というのが現時点で私ども四十三件事例を持っております。  こうした事例につきましては、県ですとか、あるいはスマート化センターのサイトで公開いたしますとともに、各種のセミナーや講演などの機会にも御紹介をさせていただいております。  こうした取組の結果、スマート化センターの利用者数も昨年度は前年比一・六倍の延べ約二千六百名の方ということで急増しておりまして、機運というものは高まってきているのかなというふうに感じているところでございます。  また、センターのマッチングですとか、あるいは県の実証事業などでデジタル技術を導入された企業も平成三十年度は二十五件でございましたが、令和元年度は四十一件、令和二年度は七十件と、こちらのほうも次第に増加をしてきております。  ただ、こうした取組というものはデジタル技術に対して意欲、関心が高い企業にまだ限られているというふうにも感じておりまして、県内のさらに多くの事業者のほうに浸透させていくことが課題だというふうに認識をしております。  このため来年度は、議員からも御紹介ございましたように、新たにDXコミュニケータというような言い方を私どもしておりますけど、そういった役割の者を配置いたしまして、これまでのように、センターで相談に来られるのを待つということだけではなくて、こちらから事業者さんのほうに出向いていって、ITですとか、あるいはDX、そういったものに対する不安とか疑問、そういったものを払拭しながら取組を促していきたいというふうに考えております。  あわせまして、各企業の中でITの活用、あるいはDXというものを牽引する人材を育成することも必要だというふうに考えておりまして、こちらも来年度百名規模の講座を新設いたしまして、業務効率化のツールなどに習熟していただき、自社の課題解決に取り組まれる、そういった人材の育成についても支援をしていきたいというふうに考えております。  こうした取組に当たりましては、議員御指摘の点も十分念頭に置きまして、県内中小零細企業の方々に身近な事例、あるいは響く言葉、そういったものを用いることに留意をいたしまして、商工団体などとも連携をして、実効性のあるものとなるよう努めてまいります。  私からは以上でございます。 6 ◎落合教育長 登壇=私からは、障害者雇用の推進について教育委員会としての考えをお答えしたいと思います。  県教育委員会では来年度から、誰もが安心して学べる優しい学校づくりを目指します「さがすたいるスクールプロジェクト」に取り組むこととしておりますが、これは主にはそこで学ぶ児童生徒を念頭に進めるプロジェクトなんですけれども、その基本的な理念というのは、働く場所としての学校にも当てはまることだと思います。その意味で、学校や教育委員会も、障害のある方がその特性や個性に応じて能力を発揮してもらえるように、多様性のある組織として職場の環境を整えていくことが重要だと思っております。  障害のある方の雇用につきましては、教員については身体障害者のみが対象となっておりますけれども、教育行政職につきましては、知事部局と同様に、知的障害者及び精神障害者を含めて対象としております。また、会計年度任用職員につきましては、チャレンジ雇用に取り組んでいることに加えまして、県立学校の図書室に常駐し、図書に関する業務を担う学校司書の職に、障害を持つ方を積極的に採用しているところです。  障害のある方に学校で働いてもらう場合には様々な課題が生じることがありますので、管理職や担当の教職員による支援はもとより、今年度からは障害者職業生活相談員を配置して、障害を持つ職員のフォローを行っているところであります。  今後も、障害のある方の雇用を推進するとともに、学校や教育委員会が障害のある方にとっても輝ける場所となるよう不断の努力を重ねてまいります。  以上です。 7 ◎松下警察本部長 登壇=私からは、障害のある方の雇用に関する県警察の取組について答弁いたします。  県警察では、平成十九年度から障害のある方を対象とした採用選考試験を実施しております。これは「障害者の雇用の促進等に関する法律」において、警察官が自衛官などとともに採用計画の対象から除外をされておりますが、警察官以外の警察職員について計画的な雇用を進めており、最近でも、令和に入ってからも元年度の試験から二人、二年度の試験から一人を採用しております。令和三年度は二回の採用試験を実施しておりますが、採用に至っていないことから、今月中に三回目の試験を実施する予定であります。  県警察では、障害のある全ての職員がその能力を有効に発揮し、活躍することを目的として、令和二年に佐賀県警察障害者活躍推進計画を作成し、計画的な採用はもとより、県警察内の体制の整備、職員の能力や希望に応じた職務の選定や創出のほか、職場環境の整備などについて取組を推進しております。  具体例を紹介いたしますと、全職員の人事を担当する所属長である県警察本部警務課長を障害者雇用推進者として、この課長を中心に、障害のある職員自身も構成員として障害者雇用推進チームを設置し、障害のある職員の活躍のために必要な取組を検討しているところであります。  同チームでは、庁内の施設や支援の在り方など幅広く議論を行っておりますが、例えば、チーム構成員の一人で障害のある職員からは、「近くに障害者のことを気にかけて配慮してくれる上司が存在する、そのような環境づくりが最も大切だと思う」といった意見が出ております。また、新規に採用した職員については、人事担当者が定期的に面談を行い、面談結果を職員が働く所属にフィードバックしております。様々な意見を今後の取組に生かすことが雇用を進めるために重要であり、また、生かしてまいりたいと考えます。  今後も積極的に採用選考試験を実施して、障害の種別にかかわらず採用に努めるとともに、職員の活躍を推進していくために、職員にとって働きやすい環境や体制の整備に向けた取組を推進していく所存でございます。
     私からは以上です。 8 ◎徳光清孝君(拍手)登壇=県民ネットワークの徳光清孝でございます。  通告に従いまして、順次、県政の課題について質問いたします。山口知事、落合教育長、そして、県執行部の皆さんの誠意ある答弁をよろしくお願いいたします。  まず一番目の質問は、令和四年度当初予算及び今後の県財政運営についてであります。  二月十日に令和四年度当初予算案につきまして、山口知事が発表いたしました。一般会計は総額五千七百十億五千八百万円となりまして、当初予算としては過去最大の規模となりました。そして、本定例県議会開会日、二月十七日に知事は予算案の提案理由を説明いたしました。「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念に、これまで取り組んできた「県民の命を守る」、「人の想いに寄り添う」、「子育てし大県を推進する」、「さがの未来につなげる」という分野の施策を推進し、支える基盤として社会資本整備を着実に進めるとしています。その中でも重点を置いた施策は、新型コロナウイルス感染症対策と豪雨災害対策になります。また、改めて人づくりに力を込めたとも言われております。  提案理由を聞いた後、コロナ対策や豪雨災害対策など県民に対する大変力強いメッセージを感じました。  また、人づくりでは、産業福祉の担い手育成、地域づくりは人づくり、スポーツ、文化の力を生かした人づくり、子育てし大県、教育県佐賀を掲げておりまして、その分野の将来に頼もしいメッセージを伝えていると思います。  「人の想いに寄り添う」では、がん患者やドナー候補者、あるいは特別支援教育の環境整備充実、子育てし大県としての様々な施策が盛り込まれていることは承知をしております。  ただ、提案理由を聞いた後、私はもう一つの感想を持ちました。それは、コロナ禍などで前を向けなくなっている人たち、傷ついている人たちに対して安心を与えるようなメッセージが弱かったのではないかということであります。  今、子供の貧困問題は大変深刻であります。コロナ禍で子供食堂は全国で千カ所以上増えたと言われています。子供食堂に行けない子供たちに、NPO等が協力をしまして、見えない貧困を見つけ、学校の長期休業中にひとり親世帯の子供たちに弁当を届ける「こども宅食」の取組が佐賀県内でも行われており、全国的にも注目をされております。  また、飲食店に食材等を納めている業者を含めて、多くの商工業者も苦しんでいます。これは先ほど川崎議員がその方々の声を代弁されました。私もまん延防止期間中に二、三人で感染防止に気をつけて認証店に食事に行ってまいりました。いわゆる佐賀市の愛敬通りは七時頃、ほぼ人通りはなくて、ネオンも半分以上消えているというような状況でした。お店の方の話を聞くと、一日せいぜい一組というのが続いているということでした。帰りにタクシーに乗りまして、タクシーの運転手の方の話を聞くと、どうですか、お客さんはと言うと、全くというその一言で会話が終わってしまいます。それだけ傷ついている分野も多いと思います。  これに対しまして、先ほど産業労働部長が答弁いたしましたとおり、今年から国が事業復活支援金制度を設けました。これはハードルを従来よりも下げたということであります。この登壇原稿に私は、そういう制度はあるけれども周知が不十分ではないかと感じていますというふうに書いています。これに対しては先ほど産業労働部長が、そう思うので、国にもっと周知をするようにということを働きかけているということも言われました。それから、この制度にかからないというか、該当しない業種への支援を当初予算に盛り込んでいるんだということも言われました。  そのように、令和四年度の当初予算に生活困窮者や事業者、前を向けない方々への支援策が盛り込まれているとは思いますけれども、提案理由説明では力強いメッセージだけが前面に出て、そういう方々へ寄り添うメッセージが弱かったのではないかと私は感じております。  改めまして、令和四年度当初予算のうち、「人の想いに寄り添う」分野について、知事はどのような思いを込め、取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  次に、今後の県財政運営についてであります。  令和三年度から国税、地方税、消費税などが好調な伸びを示しております。昨年末の国の補正予算によりますと、地方交付税の追加財源が過去に例のない四・三兆円という規模になりまして、令和三年度の地方交付税総額への加算、あるいは交付税特会借入金の償還、令和四年度の交付税への繰越しなどが措置をされています。  また、令和四年度地方財政計画によりますと──これから少し数字が続きますが、お許しいただきたいと思います。地方財政計画によりますと、地方税は前年度に比べて八・三%増の四十一兆二千三百五億円、地方譲与税は同じく前年度比四二・六%増の二兆五千九百七十八億円、地方交付税が三・五%増の十八兆五百三十八億円となりまして、法人税関係の税収が好調で大きく伸ばされています。  その結果、臨時財政対策債の発行が前年度に比べて六七・五%減の一兆七千八百五億円と大きく抑制をされました。財源不足額も二兆五千五百五十九億円と大きく減少して、令和四年度の地方財政計画は、その特徴としては税収が大きく伸ばされ、その結果、臨時財政対策債の発行が大きく抑制されたことにあると思います。このように税収が好調であることが佐賀県財政にも反映をしております。  まず、二月補正予算ですが、歳入では県税が四十三億円増、地方交付税が九十六億円増、地方譲与税が二十四億円増などにより、臨時財政対策債の発行を六十億円減額しています。また、他の会計からの繰入金も四十五億円減額をしました。  歳出を見ると、公債管理特別会計への繰出金が七十億円増、大規模施設整備基金への積立金も三十億円増など積み増しを行っています。  そして、令和四年度当初予算では、県税が前年度当初比九十七億円増、地方譲与税が同じく五十三億円増、県債発行額は臨時財政対策債の抑制で百八十九億円の減など、堅調な歳入構造となっております。  歳出では、コロナ関連の支出は八十九億円増加をしておりますものの、SAGAサンライズパーク整備事業費関連はピークを超えまして、九十五億円の減となっております。要は、令和三年度、四年度含めて、県の財政構造というのは大変堅調になっているということであります。  しかし、気になるのが県債残高の増加であります。県債残高、いわゆる借金の残高は、令和二年度末に約七千五十九億円と初めて七千億円を超えてから、令和三年度末が約六百億円増加をして七千六百六十四億円、そして、令和四年度末では約七千七百二十一億円と過去最大となる見込みであります。  今後、サンライズパーク関連の県債の返済が本格的に始まりますので、借金の返済に当たる公債費が大体どの程度増加していくのかということが大変気になるところであります。これに加えまして、社会保障関係費の毎年の自然増が見込まれております。  これらの影響によりまして本県財政を硬直化させるのではないか、また、今後も社会資本整備が求められている分野も多い中で、このことで必要な社会資本整備が抑えられる事態が生じないか懸念をしております。つきましては、中長期的な財政運営をどう考えているのかお尋ねをいたします。  二番目の質問は、食品ロス削減についてであります。  我が国では、まだ食べられる食品が生産、製造、販売、消費等の段階で日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生をし、その削減が重要な課題となっております。  そのため令和元年五月三十一日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が公布され、十月一日に施行されました。  その法律では、都道府県に対して食品ロス削減推進計画の策定が努力義務として定められており、佐賀県では令和三年三月に食育推進計画と合わせて、「佐賀県食育・食品ロス削減推進計画」を策定いたしました。  その計画では、食をめぐる現状やこれまでの取組、取組の基本方針及び目標、具体的取組の展開が定められています。  具体的な取組では、家庭や個人、学校や保育所等、生産者や食品関連業者、市町、そして県が取り組む食品ロス削減の推進内容が示されています。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  取組の現状についてでありますが、この計画を策定いたしましたが、これまでどのように取り組んできたのでしょうか。また、現状を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。  次に事業者の取組の推進についてであります。  食品ロスは、家庭でも発生をいたしますが、食品関連企業や外食産業のほうから大量に発生していると思います。そういった企業への啓発や情報交換、連携が重要だと思います。  例えば、食品ロス削減に向けて企業と協議会のような組織を設置して取り組んでいくことも必要になってくるのではないかと思います。  そこで、事業者の食品ロス削減のための取組が一層推進されますよう、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。  この項目では最後になりますが、「フードバンクさが」への支援及び連携についてであります。  佐賀県内では、子供食堂などと連携をして、フードバンク的な取組をしている団体は幾つかあると承知しております。そのような中、令和元年三月に任意団体として「フードバンクさが」が設立をされました。  「フードバンクさが」は、積極的に活動を展開しておりまして、最近では子供の貧困問題に関しては、ひとり親家庭にお米を届ける「お米プロジェクト」活動、他のNPO団体と共同で学校の長期休業中にひとり親家庭に弁当等を届ける宅食活動なども取り組んでおります。  事務局の方のお話をお聞きしますと、活動の領域は確かに広がりつつあるけれども、安定的に食材を確保することが難しいという声をお聞きいたしました。  令和元年十一月定例県議会で、公明党の中本議員が食品ロス削減について質問しておりますが、「フードバンクさが」への支援、連携について、食品の提供事業者の開拓、提供先の紹介などの面での協力、支援ができるのではないかと考えていると、当時の原県民環境部長が答弁をしております。また、ふるさと納税制度を活用しての財政面での支援もできるのではないかとも答弁をしております。  そこでお尋ねをいたします。「フードバンクさが」に対しまして、食品の提供事業者を紹介する、あるいは食品関係事業者へ、「フードバンクさが」へ規格外や未利用の食品の提供を積極的に呼びかけていくことも大切な取組ではないかと思います。その点に関して、古賀県民環境部長の見解をお伺いいたします。  三番目の質問は、文化施設の活用についてであります。  佐賀県には、吉野ヶ里遺跡や名護屋城跡といった、全国的に見ても歴史的に価値のある遺跡や伝承芸能などの文化的資産、さらには九州陶磁文化館や宇宙科学館など多彩な文化施設がありまして、県民が文化に関わる意識を高め、生活を豊かにすることができる環境にあると思っております。  五つの県立の博物館施設は、地域の特性を踏まえて、県内各地域に配置をされておりまして、特に有田町に設置されています九州陶磁文化館は、焼き物専門の博物館で全国的にも非常に珍しいと感じております。  これらの施設を生かしながら、県は近年、文化事業に力を入れ、幅広く取り組まれているように思います。  例えば、国の特別史跡に指定されながら、これまであまり活用されてこなかった名護屋城跡・陣跡を新たな切り口で文化観光の拠点として磨き上げる「はじまりの名護屋城。」プロジェクトや、いずれ再開されるであろうインバウンドも視野に入れて、九州陶磁文化館ではリニューアルを進めていると聞いております。  「さが躍動」の象徴的なエリアのランドマークとして建設されていますSAGAアリーナが二〇二三年春のグランドオープンを目指して整備が進められております。  JR佐賀駅の北側がスポーツゾーンとなる一方で、駅の南側、城内エリアでは、文化ゾーンと言えるように市村記念体育館のリニューアルに向け準備が進められているなど、城内エリアが文化的なゾーンとして、さらに文化活動が可能になるエリアになると期待しております。  このように本県の豊かな文化的、歴史的な土壌の下、各文化施設が地域に根差した施設として活動し、相互に連携を深めることで、さらに文化活動ができる環境が整い、県民が文化芸術に触れる機会をこれまで以上につくることができるのではないかと考えております。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  これらの文化施設を活用しながら、どのように文化振興に取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  また、今後の取組についてですが、コロナ収束も見据え、各施設の連携による文化を生かしたまちづくりや地域活性化にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。  最後の質問は、教育問題についてであります。  まず、質問ということではありませんが、新年度の事業として、小学校四年生に県単独予算で三十五人学級を導入する予算、約一億六千八百万円が提案されています。これは国に先駆けて三十五人学級の推進を一年前倒しにするものであります。その導入に踏み切っていただいた県教育委員会の皆さんにお礼を申し上げます。また、その意義を認めて、快く予算をつけていただいた知事部局の皆さんにもお礼を申し上げたいと思います。  最初の項目は、小学校の教科担任制についてです。  文部科学省は、令和四年度から小学校高学年の外国語、算数、理科、体育の四教科を優先教科として、教科担任制を導入いたします。  来年度、令和四年度はそのための加配教員として、全国で九百五十人分の予算を確保いたしました。今後、四年程度かけまして、三千八百人増を目指すとされています。  これが実現をいたしますと、小学校高学年の教員一人当たりの授業数を週に三・五時間減らすことができる予定であります。現場からは、減った時間を授業の準備時間、あるいは子供たちと向き合う時間に使えるということで、歓迎する声が聞こえてきます。  もっとも、文部科学省概算要求では、倍の加配人数を掲げていただけに、半分程度しか認められなかったことは残念でなりません。  今後の具体的な実施方法は、各教育委員会や現場に委ねられております。そのため、現場状況を踏まえて様々に工夫をしながら、教科担任制を推進していく必要があると思います。  そこで、お尋ねをいたします。  今後、佐賀県内で小学校高学年の教科担任制を進めていくに当たって、市町教育委員会等と協議をしながら、どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。ぜひとも着実な取組をお願いいたします。  最後は教員の確保についてであります。  代表質問でもそれぞれ触れられていたと思います。御承知のとおり、現在、全国的に学校現場では教員不足が生じていることが一月に公表された文部科学省の調査で改めて明らかになりました。  佐賀県内でも年度初めでも教員不足が生じたり、年度途中での産前産後休暇や病気休暇の代替教員等もすぐには確保できなかったという事態が続いていることについては、これまでも議会で指摘してきたとおりであります。  県教育委員会としましても、この間、採用試験の年齢制限の撤廃や、一部試験の免除など工夫し、採用のあり方を見直し、教員の確保に努めてきたことは承知をしております。  教員不足の要因の一つが、特別な支援が必要な児童生徒の数が増え続けており、そのための教員配置が増え続けていることにあります。  県内の現状を見ますと、特別支援学校では、令和三年度までの四年間で幼児、児童生徒数が八十三人増加をしています。小中学校の特別支援学級では、同じく四年間で学級数が二百五十増えておりまして、年約六十学級ずつも増えています。児童生徒数は千六百六十五人増えておりまして、これも年約四百人ずつも増えています。この傾向が続くといたしますと、令和四年度も小中学校の特別支援学級は六十学級以上増えることになり、最低でも六十人以上の教員を新たに配置しなければなりません。  また、ここ数年、小中学校教員の定年退職等によりまして、教員の新規採用数がかつてなく増えております。学校によっては半数近くが二十代、三十代の教員ということも聞いております。そうなりますと、結婚、出産をする教員が増えることが予想されます。  教員の方々に安心して結婚、出産できる環境を整えるためにも、また、子供たちの教育環境を保障するためにも、産前産後休暇や育児休業の代替教員、講師等を確実に確保することも重要となります。  そこでお尋ねをいたします。  そのような現状を踏まえ、今後、教員不足が生じないよう教員をしっかりと確保するために、どのように取り組むのかお尋ねをいたします。  以上で一回目の質問を終わります。(拍手) 9 ◎山口知事 登壇=徳光清孝議員の御質問にお答えいたします。  令和四年度当初予算の「人の想いに寄り添う」分野の予算について、その私の考え方をお答えいたします。  今回の予算案に関する説明や提案事項説明については、長引くコロナ禍であっても、県民とともに前を向いて未来を見据えていきたいという思いを込めました。その結果、なるほど徳光議員の御指摘のように全体のトーンとして、様々な分野の担い手づくりや人づくりの印象が強くなった面があるのかもしれません。私としては、コロナ禍にあっても、未来に夢や希望が持てる施策を意識した、そういうメッセージを込めたわけです。  しかしながら、もちろん今苦しんでいる方や傷ついている方を支援していくということは常にこれは大切なことだと思いますし、佐賀県庁のDNAとしなければいけないと思います。  山口県政では一貫して、「人の想いに寄り添う県政」、「人の痛みに敏感な県政」を推進してまいりました。現場を大切に、その時々で困難を抱えられている方々に寄り添うことに力を尽くしてまいりました。そうした施策は県政全体に内在しつつあるものと私は思っています。  例えば、これまで現場の声を大切に、そして、多くの県議会での議論も踏まえまして、今困難に直面している方々を見据えた様々な取組を進めてまいりました。  そして、コロナ禍において苦しい立場に置かれている方々については、国の制度もうまく活用しながら支援をさせていただきました。事業者への支援についても国の制度に県独自の支援を合わせつつ、きめ細かく現場を見据えて実施してきたと思っています。  来年度においてもこれまでのそうした取組は継続し、さらに新たな取組を実施するために、幾つか議員からも御紹介ありましたが、必要な予算を盛り込んでおります。  例えば、社会福祉協議会を通じた生活福祉資金の貸付けの延長ですとか、先ほど部長のほうから答弁がありましたけれども、国の支援金対象は広がったんだけれども、それでもなおかつ対象にならない人に対して県独自で支援をすることですとか、NPO等と連携した女性の孤独・孤立へ寄り添う支援ですとか、がん患者、それから骨髄等移植ドナーへの支援といったこともやらせていただきたいと思いますし、幅広く「さがすたいる」という着眼点で施策展開をすることなどもございます。  そして、令和四年度ですけれども、コロナもどういう状況になるのかというところもまだ見えていない、そして、ここ毎年、災害が佐賀県はあるわけですから、そういったところもしっかり見据えなければいけない。そういう中で県内の状況、困難となっている方々をしっかりと思い、見据えながら、臨機に補正対応などもさせていただくといった姿勢が大事だろうと私は考えております。  そして、佐賀県の強みは、CSOの皆さんとともに官民一体となった目配りをして、きめ細かなところまで困難を抱える方に寄り添い、支えていこうという体制づくりができているところだというふうに思っています。コロナ禍にあってつらい状況にある方々がおられます。今後とも、官民両方の力を合わせて、人と人とのつながりが強い佐賀県らしく「人の想いに寄り添う」施策を進めていきたいと考えています。 10 ◎元村総務部長 登壇=私からは、今後の県財政運営についてお答えをさせていただきます。  財政運営に当たっては、「佐賀県行財政運営計画二〇一九」に基づきまして、基金残高や将来負担比率など多角的にシミュレーションを行っております。そこで中期的な財政の見通しの分析というものを行っているところでございます。  本県の財政は、自主財源の占める割合が低く、地方交付税や国庫など国の動向に影響を受けやすい構造になっています。このため、特に当該年度の地方交付税額が決定するタイミングである九月や、次年度の地方財政計画が示されるタイミングである二月におきましては、分析の結果を議会にお示しした上で、県民の皆様にもホームページなどを通じてお知らせをしているところでございます。  分析に際しましては、議員御指摘いただきました点も含めまして、シミュレーションをしております。  例えば、社会保障関係経費は、高齢化の進展によって構造的に毎年約十五億円程度増加していくこと、投資的経費は、施設、インフラの整備、管理などを含め、毎年一定規模を確保する必要があること、これまでの大型事業の実施に伴い、公債費が今後増加し、令和七年度を目安に約六百六十億円程度とピークを迎えることなどについてシミュレーションしております。  こうした分析を行った結果、中長期的に財政の健全性や弾力性は維持できると判断しております。  具体的には、令和四年度末の財源調整用基金残高は、行財政運営計画の目標を確保できる見通しでございますし、将来負担比率につきましては、令和四年度に約一五〇%、全国で十位程度となる見込みでございますが、そこをピークに減少する見込みでございます。  他方、今後も税収や地方交付税の状況による影響や、災害や社会の状況に応じて必要となる新たな施策への対応など、財政運営を取り巻く環境は常に変化をしてまいります。財政の健全性や弾力性の維持に向けた取組は不断に続けていく必要がございます。  事業の実施に当たりましては、引き続き事業規模や効果を十分見極め、めり張りをつけ、国庫や交付税措置がなされている地方債を最大限活用します。また、中長期的な財政運営を踏まえ、戦略的に対応するため、基金への積立てなど財政的工夫も行ってまいります。  さらに、ふるさと納税など歳入確保の強化、企業誘致や移住促進など税源の涵養に取り組みますし、国に対しても地方の一般財源総額の確保・充実を求めてまいります。  引き続き、行財政運営計画において中長期的な財政運営の方向性を示すとともに、その時々の状況に応じて計画をローリングしていくことで、安定的な財政運営を実現してまいります。  私からは以上でございます。 11 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、食品ロス削減についてお答えをいたします。  まず、食品ロス削減の取組の現状についてでございます。
     県では、食品ロスを削減するために、令和三年三月に、令和三年度から七年度までの五年間を計画期間とする「佐賀県食育・食品ロス削減推進計画」を策定いたしております。  食品ロスを意識して食品ロスの削減に取り組む人の割合を、令和二年度の六六%から令和七年度に八〇%まで高める、家庭から排出される県民一人一日当たりの食品ロスを令和元年度の四十八グラムから減らす、「九州食べきり協力店・応援店登録数」を令和二年度の百二十九店舗から増やすことなどを目標に掲げ、個人や家庭、事業所などで食品ロスの取組が進むよう、様々な取組を行っているところでございます。  今年度の取組では、家庭での食品ロス削減を推進するため、昨年の六月でございますけれども、県内の小学校五年生、そして中学校二年生に対しまして、家庭で実践できる食品ロスの取組や、消費期限、それと賞味期限の違いなどを紹介いたしますパンフレットを配布しましたほか、十月の食品ロス削減月間におきましては、県内各地でイベントを実施し、また、新聞、テレビ、ラジオによる広報を集中的に実施したところでございます。  事業所での削減を進めるため、飲食店や小売店への利用客に対し食べ残しをしないよう呼びかけなどを行う「食べきり協力店」や、ばら売りなどを行う「食べきり応援店」として登録の働きかけを行いました。  このほか全小中学校の食育推進担当者に対しまして、食品ロス問題に関する研修会等を実施したところです。  また、未利用食材を困窮世帯などに提供するフードバンク活動への支援などにも取り組んだところでございます。  今後の取組についてでございますけれども、食品ロスの削減をさらに進めるため、来年度はこれまでの取組に加えまして、多くの小売店などに参加をいただき、実施店舗において食品廃棄率の改善効果があるとされております「てまえどり」、これは商品棚の手前にある商品を積極的に購入するというものでございますけれども、その「てまえどり」キャンペーンを実施することとしております。  また、「フードバンク活用の手引き」を作成いたしまして事業者に配布することなどによりまして、フードバンク活動への理解を深め、フードバンク活動団体への未利用食品等の提供を促進していきたいと考えております。  そして、これはコロナの状況を見ながらということになりますけれども、宴会時において「三〇一〇運動」というものを県では平成二十七年から進めております。これは乾杯後に三十分間は料理を楽しむ時間を設け、そして、お開きの十分前に幹事が食べきりを呼びかけまして、もう一度料理を楽しむ時間を設けるというもので、これで食べきりを促そうというものでございます、この運動のさらなる定着を図る取組を来年度といいますか、これからさらに進めてまいりたいと考えております。  そして次に、事業者の取組の推進についてでございます。  令和元年度、これは直近のデータでございますけれども、令和元年度の国内の食品ロス量は推計で約五百七十万トンとなってございます。そのうち五四%に当たります約三百九万トンが事業系から発生しております。  事業系の食品ロスは、製造、流通、調理の過程で発生する規格外品、返品、売れ残り、外食事業での作り過ぎや食べ残しなどがその要因とされており、事業者の取組を一層推進し、そうした要因をいかに削減につなげるかが課題と認識をしております。このため、先ほども答弁しましたように、来年度は事業者向けに「フードバンク活用の手引き」を作成し、事業者の取組を進めたいと考えております。  また、議員のほうから、事業者の取組を推進するために企業との協議会のような組織をつくってはどうかというふうな御意見をいただきました。県では、食育の推進及び食品ロスの削減を県全体として進めるために、消費者、生産者、教育、CSO等の関係団体、企業、行政から成ります「食育ネットワークさが」というものを組織し、設置しております。この組織の中で食品ロス削減に向けた情報提供や事例紹介などを積極的に行うことはもちろん、事業者の取組をさらに進めるために、例えば、「食育ネットワークさが」の中に、事業者の食品ロス削減を目的、テーマとした部会を設けて、具体的な取組を検討していくことについても早々に会員団体、事業所等と話をしてみたいと考えております。  次に、「フードバンクさが」への支援及び連携についてでございます。  「フードバンクさが」をはじめとしまして、フードバンク事業に取り組む団体の活動は食品ロス削減の推進に資することから、県としても可能な限り支援、協力、連携を行い、それぞれの団体の活動がより活性化するよう取り組んでいきたいと考えております。  実際に「フードバンクさが」に対しましても、これまで県の「CSO未来への一歩応援事業」という事業がございますけれども、それによりまして人材の雇用など組織基盤の整備強化に関する支援を行っております。また、ふるさと納税制度によりまして、団体の資金調達の支援も行っております。また、「県民だより」などによります活動の紹介も行ったほか、フードドライブ、これは家庭で余っている食材を職場などに持ち寄りましてフードバンクに提供する活動のことでございますけれども、県との共催でフードドライブの実施も行ったところでございます。こういった取組を行ってきたところでございます。  議員のほうから、「フードバンクさが」に対しまして食品の提供事業者を紹介することや、食品関連事業者に対しまして未利用食品等の提供を積極的に呼びかけていくことも大切ではないかというような御意見、御質問がございました。  このことについては、先ほども答弁しました「食育ネットワークさが」を通じまして、未利用食品等の提供の呼びかけや紹介を行うことは可能でございまして、積極的に行いたいと考えております。  また、その先にどうしたら具体的な提供に結びつくかということにつきましても、「食育ネットワークさが」の会員団体、事業所、そして「フードバンクさが」と具体的な方法等について協議を進めたいと思っております。  フードバンク活動は、食品ロスの削減とともに、生活困窮者でありますとか子供食堂、福祉施設などの支援にもつながりますことから、今後も現場の声によく耳を傾けながら、活動が広がり、活性化するよう取組を進めてまいります。  以上でございます。 12 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、文化施設の活用について二点お答えします。  まず、文化施設を活用した文化振興についてでございます。  現在、本県の文化施策につきましては、多彩な文化の振興と、豊かな文化・歴史の継承と魅力発信という二つの大きな柱で各施策に取り組んでいます。  本県には様々なテーマの文化施設が県内各地にあります。これまでそれぞれの施設の特性を生かした魅力ある企画展などを開催し、県民が多彩な文化に触れる機会の創出とか県内外から多くの方に来てもらえるよう取り組んでいるところでございます。  コロナ禍以前は、例えば、佐賀城本丸歴史館は毎年二十万人を超える来館者がありまして、朝早く、韓国とか台湾から来られた方が開館を待って敷地内にいるという風景もよく見ることができました。  また、佐賀県立宇宙科学館は三十万人近くの来館者が毎年ありまして、県内外から修学旅行客がたくさん訪れておりました。  このように博物館などの文化施設は、県民が多彩な文化に触れる拠点であるとともに、同時に佐賀の豊かな歴史や文化を発信できる観光の拠点でもあるという認識が必要ではないかと考えています。  この二年、新型コロナウイルスの影響で人の流れが止まり、どの館も来館者数が減少しております。ただ、その中にあって、新型コロナウイルス感染症の収束後のインバウンド再開を見据えまして、現在、九州陶磁文化館では、外国の方々にも佐賀県が誇る有田焼の魅力が伝わるように、新しい視点で常設展示のリニューアルを行っております。  このリニューアルは年度内に完成いたしまして、四月八日にオープンを予定しております。テーマごとに雰囲気の異なる部屋を巡っていただくことで、焼き物ファン以外の方々にも有田焼の魅力や歴史を分かっていただけるよう、ストーリー仕立てで伝えたり、デザインのすばらしさを映像等を通じ体感できるようにしておりまして、本県の焼き物文化の魅力と価値を、繰り返しますけど、新しい視点で国内外に向け発信するとともに、有田を中心とする観光にもつなげていけるのではないかと考えています。  一方、名護屋城は、国の特別史跡にも指定されながら、これまでなかなか活用をされてきませんでしたが、大陸出兵の拠点との視点ではなく、約四百年前に百五十を超える大名たちが全国から集まり、二十万人を超える都市ができ、茶道とか能など、様々な文化が花開いた日本文化発展の始まりの地として切り取って磨き上げていきたいと考えています。  当時を彷彿とさせるような大茶会の開催をはじめ、絢爛豪華な黄金の茶室とわび寂の草庵茶室でお茶を飲んでいただけるようなことにも取り組んでいきたいと考えており、多分日本初の取組でございまして、ここだけでしか体験できない、そのような取組も行っていきたいと考えています。  今後は、名護屋城博物館を核としながら、周辺に点在いたします陣跡などを巡るサイン整備などにも取り組むこととしておりまして、周辺観光スポットへの周遊にもつなげていきたいと考えています。  この名護屋城のプロジェクトを推進するに当たっては、地元唐津の商工会やまちづくり団体などとも意見交換を重ねておりまして、周辺の飲食店などにもその効果が及んでいきますようにしっかりと議論を進めていきたいと考えています。  次に、今後の取組についてでございます。  コロナ収束を見据えて、各施設の連携などによる地域活性化にどう取り組んでいくのかというお尋ねがございました。  先ほど議員から御発言がありましたように、各施設が相互に連携を深めることで、単体で行うよりもさらに文化芸術に触れる機会の創出ができるとともに、地域の活性化にもつながっていくものと考えています。  施設間を連携した取組といたしましては、代表的なものは数年前に行いました「肥前さが幕末維新博覧会」でございますが、市村記念体育館をメイン会場として、市町の文化施設とか民間施設とも連携をいたしまして、県内の文化施設全体をいろんな企画展を絡めまして行うことで、全体で二百万人を超える集客につながりました。  このような大規模なイベントではございませんが、私が文化課長のときに取り組みました一つの企画展として、二〇一四年でございますが、御存じかと思いますが、チームラボの展覧会を開催しました。「チームラボと佐賀 巡る!巡り巡って巡る展」という名前で行った展覧会で、チームラボが日本で行う最初の展覧会ということで話題となりまして、名護屋城博物館、九州陶磁文化館、宇宙科学館、県立美術館の四館を巡るという企画でしたが、二十日間の期間に約二万五千人のお客様が全国から来場されました。そのような新しい切り口での展覧会、魅力ある展覧会をすることで、そのような大きな集客にもつながるという経験が、そこで私たちの経験値として得ることができたと考えています。  そして、現在、佐賀県立博物館、佐賀城本丸歴史館、佐賀県立図書館の三館連携によりまして、刀剣をテーマとした企画展を開催しています。その中で、県立博物館で開催しています刀剣のコレクション展では、人気ゲーム、「刀剣乱舞-ONLINE-」とコラボレートいたしまして、これまで県立博物館に関心がなかった層とか、コロナ禍にあっても全国から足を運んでいただいております。  これらの新しい切り口で企画をすることによりまして、さらに魅力アップにつなげていきたいと考えています。  来年の春にはSAGAアリーナがオープンいたします。これまで佐賀で開催できなかった大規模な文化イベントも開催できるようになりまして、佐賀の文化シーンも大きく変わっていくものと考えています。  一方、城内エリアでは御紹介いただきました市村記念体育館のリニューアルにも現在着手しておりまして、リニューアル後には、佐賀県の未来を担う若者や文化芸術等の創作活動に関わりたい人などが集い、未来に向けていろんな創作活動が行われるような場として磨き上げを行っていきたいと考えていまして、まだ何年もかかりますが、着実に歩を進めていきたいと考えています。  このように環境が変わっていくことを追い風に、各博物館施設もこれまで述べたような様々な工夫を行うことで、それぞれの魅力をさらに磨き上げたり、周辺の施設や地域との連携にさらに積極的に取り組むことによりまして、今後とも文化を生かしたまちづくりや地域活性化にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  私からは以上でございます。 13 ◎落合教育長 登壇=私からは、教育について二点お答えいたします。  まず、小学校の教科担任制についてお答えいたします。  学習が高度化いたします小学校高学年において、専門性の高い教科指導を行うとともに、教員の持ち時間数軽減など、学校の働き方改革を進めるために、一人の教員が特定の教科を専門的に指導する教科担任制が導入されることとなりました。  佐賀県では、これまでも英語や理科など、特定の教科について専門的に指導する、いわゆる専科指導として専門性の高い教科指導の充実を図ってきました。  これまでの専科指導の成果を踏まえると、小学校で教科担任制を導入することによりまして、まず児童生徒にとってはより質の高い授業を受けることができる。また、教科担任制である中学校への接続が円滑になるといったことや、また教員にとりましては、教材作成や授業の準備などの負担が軽減されることにより、子供と関わる時間を増やすことができる、こういった効果が期待できると考えております。  教科担任制を進めるに当たりましては、英語専科、理科専科など従来の加配教員に加え、教科担任制推進のための新たな加配を合わせた運用を行ってまいります。令和四年度の実施に当たっては、市町教育長会や各地区校長会で説明を行い、いただいた意見を参考にしながら準備を進めております。  県内全ての小学校、義務教育学校で教科担任制を実施するためには、必要な教員の確保と計画的な加配措置が必要でありますので、教科担任制の推進に向けた定数改善を図るよう国に対して政策提案を行っていきたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、これまでの専科指導の成果も踏まえながら、小学校における教科担任制を積極的に進めていきたいと考えております。  次に、教員確保についてお答えいたします。  県教育委員会では、児童生徒の教育をつかさどる教員の確保は極めて重要であると認識しておりまして、教員の確保のため、危機感を持って様々なことに取り組んでおります。  新規教員の採用については、採用選考試験において受験年齢制限の撤廃など、毎年様々な工夫改善を行ってきました。来年度は、現職教員のUJIターンや唐津の離島に係る特別選考の新設、教員になりたいという意欲あふれる人たちにセカンドチャンスを提供する秋の採用選考試験の実施などに取り組みます。  加えて、教員という職業を魅力あるものにするための職場環境の改善も重要です。そのため、勤務時間管理の適正化や部活動改革、PTAや地域との連携強化などにより教員の負担軽減を図ってまいります。  また、近年は臨時的任用職員である常勤講師になる人材の講師名簿登録者数が減少しています。そのため、産休や育休などに伴う代わりの講師の確保が困難になってきておりますので、講師の確保も重要な課題と考えております。  新たな講師の確保のために、臨時的任用講師登録申込みの随時受付、教員採用試験申込みの際の講師等の任用登録の案内、佐賀大学や西九州大学等への講師採用説明会の実施、退職教員への働きかけなど様々なことに取り組んでおります。  また、高等学校教員免許保有者への臨時免許状の発行や非常勤講師制度の活用、講師の処遇改善にも取り組んでいるところであります。  今後も、市町教育委員会とも連携しながら、教員の確保に取り組んでまいります。  以上です。 14 ◎議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩します。     午前十一時五十五分 休憩 令和四年三月一日(火) 午後一時一分 開議  出席議員    三十六名     一番  下 田   寛     一五番  池 田 正 恭     二九番  稲 富 正 敏     二番  桃 崎 祐 介     一六番  古 賀 陽 三     三〇番  徳 光 清 孝     三番  田 中 秀 和     一七番  川 崎 常 博     三一番  中 倉 政 義     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三二番  石 井 秀 夫     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三三番  留 守 茂 幸     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三五番  木 原 奉 文     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三七番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美 欠席議員    一名    三六番  藤 木 卓一郎 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政策部政策総括監     前  田  直  紀          総  務  部  長   元  村  直  実          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       甲  斐  直  美          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之
             男女参画・こども局長   原     惣一郎          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    西  岡  剛  志 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          総務課長事務取扱     吉  田     泰          議  事  課  長   岸  川  文  広          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       碇     一  浩          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 15 ◎副議長(原田寿雄君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。 16 ◎井上祐輔君(拍手)登壇=日本共産党の井上祐輔です。  質問に入ります前に、ロシアがウクライナに対して行った侵攻、侵略戦争は、いかなる理由があろうとも許されるものではありません。今もなお、軍事行動によって何の罪もない国民の命が脅かされています。今大事なのは、この軍事行為、戦争をストップさせることではないでしょうか。ロシアは直ちに軍事侵攻のストップを、この一点で佐賀県議会としても早期に決議等を上げるべきではないか、このことを申し上げて質問に入らせていただきます。  まず一項目めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  新型コロナウイルス感染症については、今年に入り、感染力が非常に強いオミクロン株という新たな変異株の出現によって、これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大し、家庭、職場、学校、保育所、これらが相互に関連したループ感染も発生をするなど、厳しい感染状況が続いています。  一月二十七日から適用された「まん延防止等重点措置」は、初めは二月二十日までとされていましたが、期間を延長して三月六日までの予定となっています。  今回のオミクロン株は、特に集団で生活されている学校や保育所などでの感染が広がっていますが、感染スピードが速く、感染を確認したときには次や、さらにその次に感染が広がるなど、厳しい状況となっています。  県内では、令和四年一月一日から昨日二月二十八日までの二カ月間で一万七千二百五十人の陽性者が確認されています。これは昨年までの県内陽性者数五千八百七十五人の約二・九倍の陽性者がこの二カ月間で確認されたことになります。また、この陽性者のうち、十八歳以下の若年層が約三四%を占めており、その内訳は六歳以下の未就学児が約一〇%、七歳から十二歳の小学校相当年齢が約一四%、十三歳から十五歳の中学校相当年齢及び十六歳から十八歳の高校相当年齢が共に約五%となり、今回の第六波では多くの保育所や学校でクラスターが確認をされている状況です。  こうした状況の中で、直接現場の声も聞かせていただきました。学校や保育現場の先生方からは、日々、施設内の消毒作業に追われて、保育士ではなく、消毒士のようだという声。クラスターが確認をされた保育所の先生は、休園が明けたばかりの状態で、さらに感染が確認をされる、こういった状況に生きた心地がしない。明日は我が身と、マンパワーの不足や精神面での窮状を訴えられています。また、保育士の方はマスクを着用しているために、子供たちに口元を見せることができず、言葉の発達など、うまく保育ができているのか不安といった声もあります。  昨年、佐賀県は全国に先駆けて実施をしたエッセンシャルワーカーへのエール支援金は、社会的なインフラを支える最前線で働く現場の皆さんにとっても大変ありがたく、勇気づけられるもので、再度交付をしてほしいという要望もありました。  学校のほうでは、特に大規模校ほど感染対策が大変だという声もあります。養護教諭の先生は、ふだんでは購入ができなかった体温計や酸素濃度計など、購入をできたことはありがたかったと感謝を述べられましたが、本当に疲れ切った状態で、この状況がいつまで続くのか、本気で止める気があるのかと厳しい意見もいただきました。  また、教室では生徒間の間隔、一メートルから二メートルを十分に確保できない状況で、少人数学級がもっと進んでいればよかった。昨年までは学校はあれだけ人数がいるのにクラスターを出さずに神対応、このように言われていた状況が一変した。やれることは一生懸命やっているのに、これ以上どうしたらいいのかと切実な声もあるなど、大変な状況が続いています。  そこで、新型コロナについては二項目質問をさせていただきます。  まず、学校・保育現場における感染症対策についてです。  コロナウイルスの感染症が県内で確認をされて二年がたつことになります。これまで積み重ねてこられた知見も踏まえた今後の感染対策も考えていかなければなりません。今回、特に感染が広がった学校、保育、それぞれの現場での感染対策や今後の対策をどのように考えておられるのか、それぞれにお伺いをいたします。  次に、事業復活支援金についてです。  午前中の質問でも、コロナ禍における事業者支援について何とかならないか、そういった現場の声を取り上げられました。長期にわたる新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者は引き続き厳しい状況の中で、これまでの県の施策については感謝も述べられています。  今回、国においては新型コロナウイルスの影響を受けた中小法人、個人事業者を対象に事業復活支援金の制度を創設し、本年一月三十一日から申請を受け付けています。しかし、小規模・零細事業者からは、申請の前に事前確認を受けること。必要な書類が多いことなど、手続が煩雑であるという声もお聞きをしています。また、確認団体によっては会員のみを受け付ける。会員でなければ受け付けないなど、不公平感もあるようです。これまでの制度についても何が足りなくて申請が通らないのかも教えてもらえず、繰り返し申請が必要になった不備ループの問題などについて、改善が必要な点は県としても改善を国に求めてきています。  そこで、次の点について伺います。  まず、国への働きかけについてです。  コロナ禍で厳しい経営を余儀なくされている小規模・零細事業者にしっかりと支援策が届くように、申請の手続の簡素化など、煩雑さの解消について国に働きかけをするべきだと思いますが、県としてどのように考えておられるでしょうか。  また、県独自の上乗せ支援についてです。  事業復活支援金は、二年前に給付された持続化給付金と比べると金額は少なくなり、長期間のコロナ禍の中で体力がもたないという声もあります。ほかの県では県として独自の上乗せを行う、そういった自治体もありますが、佐賀県としてはどのようなお考えか、寺島産業労働部長にお伺いをします。  大きな二項目めの玄海原子力発電所について伺います。  二〇一一年の東日本大震災、福島第一原発の事故から三月十一日で十一年目を迎えます。  コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言は今出されていませんが、原子力緊急事態宣言は十一年前から引き続き解除がされない、こういった状態が続いています。今もなお、原子力緊急事態であることを私たちは再認識する必要があるのではないでしょうか。改めて危険な原発に頼らない省エネや再エネを促進して、そういった原発に頼らない日本が一日でも早く実現できることを願うものです。  皆さんも御承知のように、九州電力玄海原発では、火災や工事現場での事故など相次ぐトラブルが発生をしています。また、コロナウイルスの感染者も、昨日は玄海原発の関連をする作業員など七名の方が感染したということも確認をされ、今、百三十人が自宅待機、一月以降の陽性者は昨日までに七十五人となったと報道もされています。こういった点を見ても、九州電力はそこで働く労働者の安全や地域住民の安全よりも、何があっても原発を止めてはならないと工期優先の姿勢が根本にあるのではないか、疑念を抱かざるを得ません。  二月二十六日は県の原子力防災訓練も行われましたが、今回の防災訓練については、コロナ禍の中で住民の参加も難しく、県職員の皆さんが避難経路を移動するなど体験のできない避難訓練となりました。  私自身も伊万里市内にある大坪小学校などで現場の状況を見てまいりました。参加をされた住民の方は、風の方向によって放射能の流れる方向も変わる。避難箇所は一カ所ではなく、複数の避難箇所が事前に準備をされるべきではないか。今日は訓練ではなく説明会だともおっしゃっていました。また、伊万里市の深浦市長は参加者に対して、コロナ禍の中でもやるべきことはしっかりやるべき、今日参加した方が地元に帰り、多くの方に訓練の様子を共有してほしいと挨拶をされていました。  私はこの間、この原子力防災の避難計画について、これで本当に住民の安全が守られる計画になっているのか議論を交わしてきました。避難する側と受け入れる側の連携についても、平常時から連携を確認しながら不足する点を共有したり、見直しをするべきところは見直しをしていく必要があると思います。  そこで、次の点について伺います。  まず、福島第一原子力発電所の事故に対する認識について山口知事に伺います。  知事は常々、福島第一原子力発電所の事故を決して忘れてはならない、風化させてはいけないと言われています。私も、同じような事故を二度と繰り返してはならないし、風化をさせることはあってはならないと考えます。事故から十一年を迎えるに当たって、改めて福島第一原子力発電所の事故に対する知事の認識を伺います。  二つ目に、トラブルの検証についてです。  昨年、玄海原子力発電所でトラブル発生が相次いだことを受け、私たち日本共産党県議団は県に対して、九電の相次ぐトラブルは、県民の安全・安心を脅かすものであり、なぜこのようなトラブルが起こるのか、九電に対して総点検を行うように求めるべきだと申入れを行いました。  同日、県は南里副知事が九州電力に対して、トラブルの原因を根本から幅広く検証することを要請されました。県は、その検証状況を確認するチームを立ち上げて、九州電力の検証内容を確認してきたと述べられていますが、どのような体制で、また、どういった確認を行ったのかについては、中身がよく分からない状況です。県としての対応について、県民に対してもしっかりと知らせることも必要だと思いますが、このトラブルの検証について体制や内容はどうだったのでしょうか。また、二月二日に九州電力の検証結果が報告をされましたが、この結果をどう受け止めておられるのか、県民環境部長にお伺いをします。  三つ目に、乾式貯蔵施設の事前了解についてです。  知事は、九州電力から乾式貯蔵の事前了解願が出されていることについて、このトラブルの検証が先だということをおっしゃられていました。また、昨年十一月県議会の武藤県議の一般質問に対し、六ケ所再処理工場の竣工については、国は説明責任も含めて対応してもらいたいと答弁をされました。九州電力は、リラッキング工事や乾式貯蔵施設の新設で保管能力を増強しようとしていますが、肝心の核燃料サイクルは六ケ所再処理工場の稼働が見込める状態ではなく、頓挫をしているのが現状です。知事は、国が責任を持ってと言われますが、私はこの核燃料サイクルが未完成の状況の中で、乾式貯蔵施設の事前了解はするべきではないと考えます。  そこで、知事に二点伺います。  一つ目に、県民への説明会の開催についてです。  六ケ所再処理工場の竣工について、県民に対する説明の場を設ける必要があると思いますが、知事は十一月議会でお答えになった答弁も踏まえてどのように考えておられるのでしょうか。  二つ目に、事前了解の判断についてです。  核燃料サイクル政策は、既に破綻をしているのではないかというふうに思います。使用済み燃料を六ケ所再処理工場に搬出することができなければ、乾式貯蔵施設が半永久的な保管場所になってしまうと県民からも心配の声が上がっています。これ以上、使用済み燃料を増やすべきではありません。県として、乾式貯蔵施設の設置について事前了解するべきではないと思いますが、山口知事はどのように考えておられるでしょうか。  最後に、避難計画についてです。  先日の二十六日、この避難計画の実効性を高めることを目的として、佐賀県原子力防災訓練が行われました。実施をされた内容については、コロナ関係で大変縮小されたものではありましたが、どういった教訓があったのか、また今後議論をされていくものと思います。今回は、避難計画の中で避難元市町と避難先市町の連携について伺いたいと思います。  現在のような新型コロナウイルスなど感染症流行時には、原子力災害が発生した際には避難所が不足することも予想されます。不足する避難所の対応など住民避難を円滑に実施していくためには、避難元市町と避難先となる市町との緊密な連携が必要だと思います。これまで避難元市町と避難先市町との間でどういった連携が取られているのでしょうか、お伺いをします。  次に、安定ヨウ素剤の事前配布の必要性と現状についてです。  安定ヨウ素剤は服用のタイミングが重要であり、原子力災害発生時の必要な時期に服用が間に合わない、こういったことがあってはならないと思います。そのためには、対象となる住民へ事前配布もしっかり進めていくべきだと思います。  県は事前配布の必要性についてどのように考えておられるのか。また、事前配布の状況が現在どのようになっているのかお伺いをします。  次の有明海の再生について質問をします。  先日、国会の農林水産委員会の中で有明海問題を取り上げた日本共産党の田村貴昭衆議院議員の国会控室に一本の電話が入りました。その方は三十代の青年で、ユーチューブで国会の農林水産委員会を視聴して、私たちの立場に立って質問をしてくれている、そのように思い、すぐに電話を取られたそうです。ノリの色落ち被害を訴えてくれて、うれしくて電話しました。もっと国会でも取り上げてほしいと話をされ、この電話がきっかけで、船で現場を見ることとなり、私たち県議団も同行し、現場の実態を調査するとともに、厳しい西南部地域の状況もお伺いしました。  その方は、二十年ノリ養殖をされているそうですが、今の有明海の状況をこのように話されました。海に出れば、日に日に色落ちしていくのが分かる。ノリがとれたとしても例年の一割ほど。借金も残り、返済も迫られている。本当に厳しい状況ですと話をされました。今日の新聞報道でも、有明海の県西南部、鹿島市支所の生産額が十億円に届かない、過去最低と報道もされていました。  有明海は、ノリ養殖をはじめ、タイラギやアゲマキ、ウミタケ、サルボウなど多種多様な生物を育む宝の海です。以前は年間を通して漁ができ、まさに宝の海そのものだったと、別の日にお伺いをした太良町の大浦の漁民の方はおっしゃられていました。しかし、近年、赤潮の発生や底質の悪化、さらには貧酸素水塊が頻発をするなど、漁場を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっています。  一方、諫早湾干拓関連訴訟については、福岡高裁における請求異議訴訟の差戻し審で、紛争全体の根本的な解決を図るため、高裁より和解協議に関する考え方が示され、話合いによる解決が図られましたが、その後の進行協議では国と開門を求める漁業者双方の意見が相入れなかったために打切りとなり、今月三月二十五日に判決を言い渡されることになっています。  このような中、有明海の基幹漁業であるノリ養殖については、昨年度まで生産枚数、生産金額とも十八年連続日本一を続け、今年度もこれまでの入札結果では、県全体としては平年並みの生産額となっているようです。これも現場で日々努力をされている漁業者をはじめ、関係各位の努力の成果であるとも感じています。  しかしながら、白石町から太良町沖にかけた西南部漁場に目を向けると、毎年のように赤潮の発生や栄養塩の不足からノリの色落ちが発生し、生産が不安定となり、漁協の方も地域間格差がすごく出ていると話をされています。  一月中旬の冷凍網ノリの初入札では、県東部産の平均単価が一枚二十一・四四円、前年同期を上回っていますが、大浦支所では五・一円、隣のたら支所は五・四一円と地域差は大変大きなものです。  この写真、今日持ってきたんですけれども、(パネルを示す)これはその日に船で海に出て、見せていただいたもの。こちらが色がついた状態、これでも色落ちしているとお話をされていました。そして、こちらは色が落ちたノリです。色落ちをしたノリ、これについては金髪とも言われるそうで、漁場では網を引き揚げる、そういった若い夫婦の漁民の姿もありました。この厳しい現状に対して、県としてもさらに心を寄せて対応を考えていく必要があると私は考えています。  平成十四年度に制定をされた有明海特別措置法の第二十二条には、国は赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合、被害を受けた漁業者の救済について必要な措置を講じるよう努める、と示されていますが、国は減収については漁業共済制度で対応していると繰り返すばかりです。私は、赤潮によって甚大な被害が発生をしているにもかかわらず、漁業共済制度という通常の手立てで本当にいいのかと疑問に思っています。国はノリ不作対策については現状の分析をしっかりと行いながら、別建てで緊急的な支援措置を講じる必要があるのではないかとも思います。  宝の海・有明海の再生はまだまだ道半ばであり、諫早湾干拓排水門の開門調査をはじめとして、環境変化の原因究明をすることにより、適切な対策を取るとともに、水産資源の回復にも粘り強く取り組んでいく必要があると思います。  そこで、三点伺います。  まず、有明海の現状について、農林水産部長にお伺いをいたします。  二点目に、国への働きかけと県独自の緊急支援策についてです。  現在の西南部地区の厳しい状況を踏まえて、県は国に対して、有明海特別措置法第二十二条に基づいた適切な対策を求めていくべきだと思いますが、どのように考えておられるでしょうか。  また、国は共済でやっていると繰り返しておられますが、現状は毎年のように不作が続いて、共済では借金も返済できない、このままではノリ養殖は続けられないと危機的な状況を県も受け止める必要があると思います。西南部地区の漁業者に対して国がやらないのであれば、県独自の緊急的な支援措置、こういったものも講じる必要があると思います。池田農林水産部長、どのようにお考えかお伺いをします。  この質問の最後に、山口知事に有明海の再生について伺います。  今回の西南部地区のノリ不作への対応も含め、宝の海である有明海の一日も早い再生に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の考えを伺います。  それとあわせて、本日の報道では三月の五日に金子農林水産大臣と意見交換の場があるということも報道されています。どういった姿勢で臨まれるのかもお聞かせいただきたいと思います。  最後の質問項目、玄界灘における海砂採取について伺います。  先日、NPO法人の方々が取り組む海岸清掃に私も参加をさせていただきました。その方々は唐津市にある湊という漁港から船で移動をして、唐津の観光名所の一つでもある七ツ釜の中に入ってプラスチックごみなどを一つ一つ拾ったり、付近の海岸に漂着をしたごみを拾うなどの活動をされています。  そのメンバーには長年、海士(あま)として海に潜られた漁師の方であったり、ジャックマイヨールも愛した唐津の海でダイビングスクールを営まれたりするなど、日々、海の中を見て、海の恵みによって生活をされてきた方たちです。そういった皆さん方からも、玄界灘における海砂採取については、環境や漁業への影響を懸念する声も聞いており、例えば、漁獲量の減少や水産業の低迷なども相まって、地域産業にも大きな影響を与えているのではないかと心配の声を伺っています。  国際社会全体の目標である持続可能な開発目標──SDGsには十七の目標があり、このうち十四番目に「持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」と述べてあります。これは玄界灘における海砂採取や海の利用という点でも関連をした目標ではないかと思います。  玄界灘においては昭和四十九年頃から海砂採取が行われ、これまで違法な採取が行われたこともありました。また、漁業関係者やダイビングスクールを経営するなど海の中を実際に見て仕事をされている方々からは、生息する魚や藻場の減少などについても海砂採取が関係しているのではないかという声も上がっています。  平成二十八年の九月定例県議会で私の一般質問に対して、県は、海砂採取が「長期的には生物相に大きな影響を与える可能性は否定できない」と答弁をされましたが、それから五年が経過をしています。持続可能な開発目標──SDGsの観点から、玄界灘における海砂採取についていつまで認可を続けていくのか、期限についても考える必要があるのではないでしょうか。問題提起という意味でも三点について質問をさせていただきます。  一つ目に、全国における海砂採取の状況についてです。  過去には全国各地で海砂採取の実績がありましたが、全国における海砂採取の現在の状況はどのようになっているのか。また、他県ではこの海砂採取が禁止をされた事例もあります。どういった経緯で禁止に至ったのかお伺いをいたします。  次に、佐賀県における海砂採取の限度量等の推移についてであります。  佐賀県では、平成二十八年に海砂採取の限度量を年間百三十万立方メートルから百万立方メートルに見直しをされています。これまでの限度量の推移や直近五カ年の採取量はどうなっているのか、県土整備部長に伺います。  最後に、海砂採取の今後の方向性について、知事にお伺いをいたします。  県は、「佐賀県総合計画二〇一九」において、「SDGsを意識しながら、政策や施策に取り組んでいきます。」とされています。改めてSDGsの観点から海砂採取についても見直す必要があるのではないかとも思います。山口知事の考えをお伺いして一回目の質問を終わります。(拍手)
    17 ◎山口知事 登壇=井上祐輔議員の御質問にお答えいたします。  まず、福島第一原子力発電所の事故に対する認識などについてお答え申し上げます。  十一年たっても福島第一原子力発電所の事故のことは今でも頭から離れることはありません。東京電力では、過去に大きな津波があったことを認識していたにもかかわらず、どうして前もって少しでも津波対策を取ることができなかったのかとじくじたる思いがあります。  私は、かつて勤務した内閣官房や消防庁時代にジェー・シー・オーの臨界事故や北海道苫小牧での石油コンビナート火災事故などが発生した際に現場に派遣されまして、直接現場での調整に携わりました。そして、震災や事故などに対して、例えば、二〇〇〇年問題もそうですが、多くの訓練を企画、参画してまいりました。  こうした中で、大企業の方とも向き合う場面もございました。そうした中で見えてきたことが、組織の風土や文化に課題を抱えている場合も多いのではないかという問題意識でありました。具体的に言いますと、組織の風通しが悪い、そのために現場の声が経営陣までなかなか上がらないですとか、そうしたゆえに意思決定まで時間がかかったり、必要な対策が講じられにくいと、大企業病と言う方もおられますけれども、そういったことを目の当たりにしてまいりました。  そうした経験、思いから導き出したものが三つの約束であります。私が知事就任して最初に玄海原発を視察したときに申し上げたと思いますけれども、三つの約束をしてくださいと言いました。うそはつかないこと、風通しのよい組織であること、あらゆる事態に幅広く対応できる組織とすることということは、このことに関しては毎回お会いするたびに申し上げてきたと思います。  その上で玄海原子力発電所に対しては、福島の事故を忘れてはならない、決して風化させてはならない、原発に携わる全ての者が二度と福島のようなことを起こしてはならない、そのためには何よりも安全が最優先という強い思いを持ちながら向き合ってまいりました。この姿勢はこれからもいささかも変わることはありません。様々な機会を捉えて言い続けていきたいと思います。  改めて、原子力発電は何よりも安全が最優先であります。九州電力にはこの三つの約束を肝に銘じて取り組んでいただきたいと思います。  玄海原発とはこれからも我々は長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、九州電力の安全に対する取組を注視し、県も含めて全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないように万全を期してまいります。  続きまして、六ケ所再処理工場竣工に関する県民説明会の開催についてお答え申し上げます。  国は、核燃料サイクル政策について、「使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針」として、「核燃料サイクルの中核となる六ケ所再処理工場(中略)の竣工と操業に向けた準備を官民一体で進める。」としています。  核燃料サイクル政策を含め原子力政策については、責任を負うべき者がそれぞれきっちりと責任を果たすべきであり、国や事業者、責任を負う主体が国民や住民に説明を行うべきと考えます。  続きまして、乾式貯蔵施設の設置に係る県の事前了解の判断についてお答え申し上げます。  乾式貯蔵施設については、昨年四月に原子力規制委員会による許可がなされており、県としては昨年七月に佐賀県原子力安全専門部会を開催し、専門家からいただいた様々な意見を踏まえ、現在は審査内容の確認を行っております。今後、県の考え方を整理した上で県としての判断を行うこととしております。  審査内容の確認状況については部長から答弁させます。  続きまして、有明海の再生について、私の考え、今後どのように取り組んでいくのかといったお尋ねがございました。  有明海で営まれてきた漁業は、佐賀県の財産であり、誇りであります。子や孫の世代、そしてまた、次の世代へとつないでいかなければなりません。その有明海の漁業は非常に厳しい状況が続いています。タイラギ漁は十季連続休漁、一時回復の兆しが見られたアゲマキ、ウミタケも休漁が続いております。サルボウの漁獲も昨年は極端に減少をいたしました。ノリ養殖も県全体としては今季もここまでは前年並みなのですが、井上議員からお話があったように、地域の格差が大きい状況であって、特に西南部地区は断続的に赤潮が発生したことなどによって非常に厳しい状況です。  西南部の皆さんからは切実な声が我々のほうにも届いています。具体的には、おかに上がる者も出ており、伝統ある大浦のタイラギ漁は存亡の危機だとか、年々海の状況は悪くなっていくばかりで先が見えないとか、今季は赤潮がノリの種付け前から継続して発生し、秋芽、冷凍網期、どちらも色落ちで不作、このようなことは初めての経験だ、以前は豊富にとれていた魚介類がなぜとれなくなったのか、国には原因を究明して対策を実行してほしいなどなどの声が寄せられています。  これまで漁業者の皆さんは宝の海を大切に守りながら、代々漁業をなりわいとされてきました。何も悪くありません。それが平成九年の諫早湾干拓潮受け堤防の締切り以降、海域の環境変化に翻弄されて、漁獲量の減少が年々続いております。有明海再生のためには、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要という思いは、今もいささかも変わりありません。  開門調査を命じた平成二十二年の確定判決は、漁業者にとって一筋の光明であったと思います。しかしながら、いまだ開門調査をなされておりません。  福岡高裁は、請求異議訴訟差戻し審において、開門調査をめぐる一連の紛争解決のためには、判決では難しく、話合いによる解決のほかに方法はないとの考え方を示しました。私もそれしかないと思っています。しかしながら、国は開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできないとして、判決での決着を求め、金子農水大臣も就任早々に裁判での決着しかないと発言されました。裁判での決着では、対抗する訴訟が次々と提起されて、解決の着地点は見出せないものと考えます。そのことは平成二十二年に確定判決があったにもかかわらず、従わなかった国自らが証明したのではないでしょうか。私は、国と漁業者双方には膝を突き合わせて話合いが重ねられることを期待しておりました。そこから新たな一歩が踏み出されることを願っていただけに残念であります。  有明海の再生は、待ったなしの喫緊の課題です。裁判の帰趨にかかわらず、豊穣の海と呼ばれていた有明海の姿を取り戻すべく、県としては不退転の決意をもって再生に向けた取組を進めていきます。  そして、再生という本来の目的を見失わず、国、関係する県や市町、漁業者など、有明海に関わる者みんなで力を合わせ、強い気持ちで前へ進めていきたいと思います。  なお、金子農水大臣の来県については、調整中でございますけれども、意見交換する機会があれば、今、述べたような佐賀県の現状や再生に対する考え方、そして、我々の強い思いについて説明をさせていただきたいと考えています。  続きまして、玄界灘におけます海砂の採取についての私の考え方について説明させていただきます。  私は、長い年月をかけて育まれた自然環境というものは、しっかりと保全して後世に引き継いでいくことが基本と考えています。我々は、環境保護、そして環境保全ということに対して常に意識し、大切にしていかなければなりません。海砂採取については、自然環境に与える影響を可能な限り軽減する方向で見直しを行い、年間の海砂採取の限度量について、平成二十九年以降はそれまでの百三十万立方メートルから、百万立方メートルへ削減させていただきました。  海砂採取については、自然環境に与える影響を注視し、継続して調査を行い、佐賀が誇る豊かな自然環境を大切にしていきたいと思います。  詳細につきましては、担当部長からお答えさせていただきます。 18 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは二点お答えいたします。  まず、玄海原子力発電所についてのうち、トラブルの検証についてでございます。  具体的な検証につきましては、南里副知事の指揮の下に検証チームを組織いたしまして検証いたしました。具体的には部局横断的にということで、県民環境副部長をリーダーとしまして、危機管理防災課の消防保安室、原子力安全対策課、建設・技術課、そして建築住宅課施設整備室の職員で構成をいたしております。  それで、検証チームでは、九州電力の検証内容を確認しますとともに、こういった観点からの検証が必要ではないかといった意見も申し上げながら、九州電力による検証状況を確認いたしました。  具体的には、例えばでございますけれども、工事の施工体制や安全管理体制について必要な人員は確保できていたのかでありますとか、危険予知活動というものを九州電力は行っているということで、その危険予知活動はどういったことをしていたのかでありますとか、工事の引継ぎはどのように行っていたのか、あるいは工期を優先するような見直しはなかったのか、こういったことについて意見を申し上げまして、検証を求めたところでございます。  そして、こうしたやり取りを経まして、令和四年二月二日に九州電力から、個別のトラブルに対する原因究明と再発防止策に加えまして、作業員に対して必要以上に工程を意識させ、安全意識の不足を招いた可能性もあるとの認識を持ち、安全最優先の工程になっているかなどを継続して確認するといった、トラブルが続く背景や要因を踏まえた報告があったところでございまして、そのように受け止めております。  二月七日には、南里副知事と検証チームで玄海原子力発電所に行き、どういった取組を行っているのか、あるいはどういった取組を行おうとしているのかなどについて現場で直接確認させていただきました。  具体的に申し上げますと、例えば、安全最優先を常に意識し、一人一人の行動が住民の安全・安心に直結するといったことを作業要領書の中に明記をして、工事開始前に作業員がそろって読み合わせを行い、確認をしているということ。また、新たに玄海安全推進担当が配置をされ、現場パトロールによる改善指導や、社員や作業員への安全教育などを行っているということ。また、よりよい作業環境を整備するため、請負会社との車座対話を開催し、現場の要望や意見を聞くとともに、安全に対する対話を行うことによって、円滑なコミュニケーションと一体感の醸成に取り組んでいることなどを確認したところでございます。  その上で、九州電力に対しましては、取組を継続することが重要であること。また、安全対策に終わりはなく、さらなる安全対策に不断に取り組むことなどを改めて求めたところです。  県としては、今後とも九州電力の取組を注視してまいります。  次に、県の乾式貯蔵施設の事前了解の判断についてのうち、審査内容の確認状況についてお答えいたします。  県としましては、令和三年の七月九日に佐賀県原子力安全専門部会を開催し、専門家からいただきました様々な意見を踏まえまして、原子力規制庁や九州電力とやり取りをしながら、審査内容の確認を行っております。  具体的には、例えば、貯蔵容器の放射線を遮蔽する性能は十分なのか。また、施設の耐震性は十分なのか。施設内の放射線量の監視はどういった方法なのか。施設内の作業環境、温度でありますとか放射線量は十分に安全なのかなどについて確認を行っているところでございます。  今後、県の考え方を整理した上で県としての判断を行いたいと考えております。  私からは以上でございます。 19 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=私からは、玄海原子力発電所に関する御質問のうち、安定ヨウ素剤の配布についてお答えをいたします。  安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝を予防、または低減する効果があり、原子力災害が発生した場合に健康を守るため、対象住民の方には適切なタイミングで服用いただくことが重要です。  PAZにおきましては、事故発生時の避難の際に、安定ヨウ素剤を服用することとされており、対象住民の方が服用すべきときに速やかに服用できるようにするため、事前配布が必要です。  県では、平成二十六年度から事前配布に取り組んでおり、令和二年度末時点で配布対象である四十歳未満の方二千五百四十八人のうち、千三百七十一人に配布しております。  UPZにつきましては、国の原子力災害対策指針等におきまして、まずは屋内退避を行い、原子力施設の状況や緊急モニタリングの結果等に応じて避難、または一時移転が必要となった場合に、公共施設などの緊急配布場所で受け取ることとされており、事前配布が原則とはされておりません。  しかしながら、県としては、健康上の理由などで緊急時に速やかに配布を受けることが困難な方には、事前配布が望ましいと考えており、平成二十九年度から緊急時に速やかに配布を受けることが困難で、事前配布を希望される方に対し配布を行っており、令和二年度末時点で千百三十二人に配布しているところです。  PAZ、UPZの地域にお住まいで、安定ヨウ素剤を受け取るべき方や希望される方に、事前に、また、緊急時に確実に受け取っていただけるよう、引き続き広報や周知、配布の方法の工夫に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 20 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、事業復活支援金についてお答えをいたします。  まず、申請手続の煩雑さの解消についての国への働きかけについてでございます。  コロナ禍で中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は変化し、業種、業態、あるいは事業者によって状況は異なりますものの、厳しい経営を余儀なくされている事業者も多いというふうに認識をしております。  今回、国が創設した事業復活支援金は、要件が大幅に緩和され、新型コロナの影響で厳しい状況にある事業者の多くが対象になるものというふうに考えられます。  支援金につきましては、厳正に審査を行うことは、これは当然必要ではございますものの、手続の負担軽減について考慮することも大変重要であるというふうに認識をしております。そのため、事業復活支援金の手続の負担軽減につきまして、全国知事会を通じて国に対して働きかけを行っているところでございます。  具体的に申しますと、例えば、事業者の負担を考慮した事前確認や書類提出の簡素化、また、電子申請サポート会場の各都道府県への複数設置、事業者からの問合せに十分対応できる体制の確保、そして、申請内容に不備がある場合はその理由の明示を行い、事業者が改めて申請しやすいよう配慮をすること、こういったものでございます。  厳しい状況にある事業者の皆様が、事業復活支援金をスムーズに受け取ることができますよう、引き続き国に対して働きかけてまいります。  次に、二年前に給付された持続化給付金と比べると、今回の事業復活支援金は金額が少ないということで、県として独自の上乗せ支援を行うべきと考えるがどうかというお尋ねでございました。  個人事業者について見ますと、給付上限額は、持続化給付金は百万円でございましたが、今回の事業復活支援金は五十万円と、これを見ますと、事業復活支援金のほうが額が小さくなっているように見えますけれども、給付対象が異なっておりまして、持続化給付金は十二カ月が対象期間、事業復活支援金は五カ月間ということでございますので、一カ月当たりの金額という見方をしますと、今回の事業復活支援金は十万円、以前の持続化給付金は八万三千円ということになりますので、今回の事業復活支援金のほうが、一カ月当たりで見ると大きいというふうにはなります。  ただ、この事業復活支援金は給付対象期間が十一月から三月までの五カ月間というふうになっております。四月以降、コロナがどうなるのか、そして経済がどれくらい回復するのかが見通せないということがありますことから、これにつきましては、全国知事会を通じまして、四月以降も給付対象期間に含めるよう検討することについて提言を行っているところでございます。  なお、佐賀県がこれまで三次にわたって実施いたしました佐賀型中小事業者応援金は、国の一時支援金、月次支援金の要件が厳しく、多くの事業者が対象にならないということから、県独自で実施をさせていただいたものでございます。  今回の事業復活支援金は要件が大幅に緩和されておりまして、多くの事業者の方々が対象になると思いますので、ぜひ積極的に御活用いただきたいと思います。  一方で、コロナの収束がなかなか見通せない中、消費行動や企業活動の変化を前向きに捉えて、売上げをつくり、利益を確保する、そういった経営の見直しといったことにも取り組むことが重要であろうというふうに考えております。  そのため、今年度、新たな事業展開に取り組もうと、そういう多くの事業者さんに御活用いただきました新事業チャレンジ支援補助金、これは県独自のものでございますが、これにつきまして引き続き多くの事業者の取組を後押しすることが必要と考え、今議会に予算案をお願いしているところでございます。  アフターコロナも見据えて、前向きに新たな事業に取り組む、そういった事業者を商工団体をはじめとした支援機関と一体となってしっかりと支援してまいります。  私からは以上でございます。 21 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、有明海の再生の二項目についてお答えいたします。  まず、有明海の現状について申し上げます。  今漁期のノリ養殖の生産状況は、県全体で見ますと、これまでの六回の入札の合計では、生産枚数は十三億一千万枚で、前年同時期と比べ八四%と、前年同時期を下回っておりますが、生産金額につきましては百八十三億二千万円で、前年同時期と比べ九三%と、ほぼ前年並みとなっております。  一方、色落ち被害が大きくなっております西南部地区の生産状況を見ますと、前年同時期と比べ生産枚数は五三%、生産金額は五〇%と、非常に厳しい状況となっております。  一方、有明海の主要な二枚貝類の近年の状況につきまして、種類ごとに申し上げますと、タイラギは平成二十四年以降は、資源の減少に伴い十季連続の休漁、サルボウは漁獲量がこの十年間で半分以下に減少、アゲマキは平成三十年に二十二年ぶりの漁獲が鹿島市地先の一部で行われましたが、その後は豪雨等の影響により資源が減少し、再び休漁、ウミタケは平成十九年以降休漁、このように主要な二枚貝類の漁獲は依然として厳しい状況にございます。  次に、国への働きかけと県独自の緊急支援策について申し上げます。  議員御指摘のとおり、有明海特措法の第二十二条には、国は赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合、被害を受けた漁業者の救済について、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。  今季のノリ養殖の不作につきましては、先ほど答弁いたしましたように、西南部地区では非常に厳しい状況となっておりますので、全国一律の措置ではなく、有明海の現状を踏まえた特別の措置が講じられるよう、政策提案などの機会を捉え、国に対し要望してまいりたいと考えております。  今回のような漁業被害が発生した場合、損失を補填することで漁業者の経営を安定させていくことを目的とした漁業共済制度が設けられております。ノリ養殖を対象とする漁業共済は、保険の仕組みによる損失補填に加えまして、国と漁業者が三対一で拠出した積立金によって損失を補填する「積立ぷらす」という対策も講じられておりまして、一割以上の減収があった場合に補填される仕組みとなっています。  令和三年度の共済掛金率は六・九一%となっておりまして、これを農作物共済のうち、漁業共済と同じように一割以上の減収があった場合に補填されます水稲の全相殺方式の一〇・五四一%と比べますと低い状況となっています。また、共済掛金に対しまして七七・五%の国庫補助がございます。農作物共済の場合の国庫補助は五〇%でございます。このように漁業共済はかなり手厚い制度となっているところでございます。  本県有明海地区のノリ養殖業者はこの漁業共済に一〇〇%加入されていますが、そのうち損失の補填割合が二〇%、または三〇%を上限とする方式を選択されている漁業者も多く見られますことから、損失の全額が補填される、より有利な方式への加入を御検討いただくようお願いしていきたいと考えております。  さらに、漁協や国、大学などとの連携を強化いたしまして、赤潮の発生予測技術の確立や、赤潮を抑制する二枚貝の増殖などにしっかりと取り組み、有明海のノリ養殖の生産安定につなげていくよう取組を進めてまいります。  以上、お答えいたします。 22 ◎平尾県土整備部長 登壇=私からは、玄界灘におけます海砂採取につきまして、知事答弁の補足と併せまして三点お答え申し上げます。  まず、全国におけます海砂採取の状況についてでございますが、四十七都道府県ございますうち、海域を有するものが三十九都道府県ございます。このうち十九都道府県につきましてはこれまで海砂の採取実績そのものがございません。これまで二十県では海砂の採取実績がございます。この二十県のうち、現在採取をしていない県が十二県、現在海砂採取を行っている県が本県を含めまして八県ございます。  また、海砂採取が禁止された事例や経緯でございますけれども、閉鎖性の高い海域である瀬戸内海におきましては、国において平成十二年度に瀬戸内海の環境保全のための特別措置法に基づく「瀬戸内海環境保全基本計画」が改定をされまして、海砂採取を最小限にとどめるという方針が示されました。  これを受けまして、既に禁止をされておりました兵庫、広島、徳島の三県に加えまして、岡山県が平成十五年度、香川県が平成十七年度と禁止をされまして、平成十八年四月一日に愛媛県で採取が禁止されております。これをもちまして、瀬戸内海で全面禁止となっております。  また、熊本県におきましても、禁止となっております。これは複数の採取業者が認可量の数倍に上る違法採取をしていたことが判明したため、平成二十八年四月一日から採取禁止となっております。  続きまして、佐賀県における海砂採取の限度量等の推移でございますけれども、県では自然環境の保全などに資することを目的といたしまして、平成十年十一月に佐賀県海砂利採取計画認可要綱を策定し、平成十一年から年間の海砂採取の限度量を設けることを決定いたしました。平成十一年は年間百六十万立方メートル、平成十二年からは百三十万立方メートルを限度として認可をしているところです。  議員から御紹介もございましたけれども、その後、環境負荷を軽減するための取組の一つとして、平成二十八年十一月に見直しを行いまして、平成二十九年以降は年間の採取限度量を百万立方メートルとして、現在に至っているところでございます。  それから、採取量の推移でございますが、海砂採取の実績につきましては、海砂採取事業者に対し、毎月、土石採取実績報告書の提出を求め、採取量の確認を行っております。  直近五カ年の海砂採取の実績でございますが、海砂採取の限度量百万立方メートルに対しまして平成二十九年は約六十九万立方メートル、平成三十年は約八十九万立方メートル、令和元年は約八十七万立方メートル、令和二年は約八十六万立方メートル、令和三年は約八十五万立方メートルとなっております。  これらの海砂採取量につきましては、採取船に取り付けましたGPS記録装置や採取ポンプの稼働記録装置などによりまして、採取日時や場所などを確認しております。  今後も、適正な海砂採取が行われるよう、しっかり管理を行ってまいりたいと考えております。  最後に、海砂採取の今後の方向性について知事の答弁を補足させていただきます。  先ほど申し上げましたように、平成二十九年以降、海砂採取の限度量を削減しておりますが、その後も海砂採取が自然環境に与える影響を注視していくため、海砂採取区域及び周辺区域におきまして、海底の生物や底質の状況などについて継続してモニタリング調査を実施しております。  海砂採取につきましては、自然環境に与える負荷を可能な限り軽減する方向で必要に応じて限度量の見直しを行うこととしております。  私からは以上でございます。 23 ◎野田危機管理・報道局長 登壇=私からは、玄海原子力発電所に係る御質問のうち、避難時の市町間の連携についてお答え申し上げます。  原子力災害に限らず、災害時には差し迫った危機から命を守ることが最優先です。感染流行時に仮に感染症対策が十分でなくとも、住民の皆さんには避難いただくことを最優先にオペレーションを行ってまいります。  こうした方針を大前提に対応してまいりますが、議員御指摘のとおり、避難を円滑に行うためには避難元市町と避難先市町の緊密な連携が大事となってまいります。  そこで、玄海原子力発電所から三十キロ圏内にある玄海町、唐津市、伊万里市と、それぞれの避難先となる市町との間で、万が一、原子力災害が発生した場合に、避難を安全に、円滑、迅速に実施できるよう、また避難所で必要となる資材や物資、避難所運営のための人員に不足が生じないよう、避難元市町、避難先市町、そして県が協力、連携して対応するため、覚書を締結しているところでございます。  この覚書の中で、避難受入れの流れや避難の際の役割分担など、具体的な対応を定めております。万が一に備え、日頃から関係市町間で避難所などの情報が共有されているところでございます。
     先ほど議員からも御紹介がございましたが、先日、二月二十六日に行った原子力防災訓練では、実動機関によるヘリ、船舶を使った避難や避難退域時検査などの手順を確認したところでございます。  今回は、「まん延防止等重点措置」期間中の実施となりましたため、訓練による感染拡大を防ぐために、やむなく住民の皆さんの参加や避難先の市町職員と連携した避難所開設・運営訓練などを縮小せざるを得ませんでした。  感染が収束した後には、より多くの住民の方々や関係機関の皆様に参加いただき、実際に避難の流れを体験いただき、確認いただきたいというふうに考えております。  災害対策に終わりはございません。避難元市町と避難先市町の連携の在り方につきましても引き続き訓練を重ね、より実践的な体制が取れるよう、県としてもしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 24 ◎原男女参画・こども局長 登壇=私からは、保育現場における感染症対策についてお答えいたします。  まず、子供たちの感染防止対策が取りにくい保育の現場におきまして、心身ともに相当な御負担を抱えながらも、強い使命感を持って子供たちと保護者のために日々頑張っていただいている皆様に心から感謝を申し上げます。  これまで県では、保育現場の皆様に折に触れて基本的な感染防止対策の徹底をお願いしてきたところでございます。それを受け、各園では職員の不織布マスクの適切な着用でありますとか、机やおもちゃの消毒、定期的な換気、昼食時のパーティションの設置など、様々な感染防止対策に取り組んでいただいております。  今年一月に入ってからは、園児や職員の陽性が数多く確認されたことから、園児本人のみでなく、その同居の家族に発熱等の症状がある場合にも登園を控えるようお願いをいたしました。  さらに、今回のオミクロン株による感染事例では、発熱した園児が解熱後に登園したものの、鼻水やせきなどの症状が出たため検査をしてみたところ陽性だったという事例が複数の園で確認をされました。そのため、園児の解熱後の自宅等での待機期間につきまして、国では二十四時間以上とされているところを、乳幼児は体温の変動が大きいことなども踏まえまして、保護者の御負担にはなりますが、可能な限り三日間登園を避けていただくようお願いしたところでございます。  今後とも、感染状況や感染の特徴をしっかり踏まえ、その時々で適切な対策を講じていくことといたしております。さらに、保育士の負担軽減策といたしまして、消毒作業や給食の配膳、片づけなどといった保育の周辺業務を担う保育支援者の雇用に対する助成事業もございます。その活用につきまして、改めて市町に呼びかけてまいりたいと考えております。  コロナ収束が見えない中ではありますが、保育現場の声にしっかりと耳を傾け、保育業務の負担軽減等に十分目配せもしながら、子供たちの安全と保護者の安心確保のために引き続きしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上です。 25 ◎落合教育長 登壇=私からは、学校現場における感染症対策についてお答えをいたします。  まずもって、この二年間、コロナ禍の中、学校現場で新型コロナ感染拡大防止のため、全力で取り組んでもらっている教職員、また児童生徒、保護者の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  この間、県教育委員会では、できる限り学校活動は止めないということを基本スタンスに感染症対策に取り組んでまいりました。学校現場においては手指消毒、不織布マスクの着用、教室の換気といった基本的な感染症対策の徹底はもとより、時々の感染状況に応じた対策を機動的に行っております。  例えば、オミクロン株による第六波の特徴である感染のループを絶つため、重症化リスクが高い高齢者や既往症がある方と同居している児童生徒については、本人や保護者からの申出があれば、今回の「まん延防止等重点措置」期間中、学校長の判断で出席停止等として欠席ではない取扱いができることとしております。また、部活動については、重点措置期間中、県内外での交流を自粛するとともに、感染が拡大した具体的な事例を示して、改めて細心の注意を払うよう徹底したところです。  次に、陽性者が学校で確認された場合の機動的な対応につきましては、その児童生徒が所属する学級と部活動を直ちに判断を要することなく一旦閉鎖し、その上で陽性者の接触状況を確認して、その接触状況に応じて学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖を判断しております。閉鎖した場合には全ての県立学校において直ちにオンライン授業に移行しております。  こうした感染症対策は、市町教育委員会や私立学校とも常に情報共有しており、それぞれの現場において緊張感を持って取り組んでいただいております。  県教育委員会といたしましては、今後とも学校や市町教育委員会と力を合わせて感染状況に応じた感染症対策に機動的に取り組んでまいります。そして、学校における感染拡大を可能な限り低減した上で学校運営を継続し、児童生徒の学びを保障してまいります。  以上です。 26 ◎井上祐輔君 登壇=再質問をさせていただきます。  まず、コロナの感染対策についてですけれども、まず学校のほうではいろいろな感染対策が行われて、本当に現場では大変な状況の中で一生懸命に感染もできるだけ広がらないようにという形で対策も行っていただいています。  この間、県のスクール・サポート・スタッフ、これは消毒など、学校の負担をできるだけ軽減していこうという中で取組を実施されて、今年度の予算にも計上をされています。  実際に養護教諭の方にお話を伺ったときに、昨年の秋にスクール・サポート・スタッフの募集というものがかけられていて、今、こういった状況になることというのは予想ができなかったと。そういった中で、スクール・サポート・スタッフの公募に募集をしていなかったというような声がありました。  募集期間を過ぎると、これが追加の募集ができないという状況の中で、こういった感染拡大が起こっています。この運用について、今年度予算にも計上されていますので、もう少し弾力的な運用、こういったことをしていく必要があるのではないかというふうにも考えています。これについて、県教育委員会としてどういうふうにお考えになっているのか質問をしておきたいと思います。  それと、事業復活支援金についてお答えをいただきました。  この間、事業者の直接の声であったり、この議場で取り上げられたそういった声に対して、しっかり県も寄り添っていただきながら対策を取っていただいていると感謝をしているところです。  部長から御紹介があったように、今回の事業復活支援金は、対象が拡大をされるなど、改善はされてはいるんですけれども、コロナの状況というのが大変長く続いている。また、先が見通すことができないという中で、本当に事業者の方々、大変な状況になっています。  事業復活支援金について、ほかの都道府県、どういった形でこの支援金に絡めて対策を取っているのかというところで調べてみたところ、上乗せ支援ということで、事業復活支援金、上乗せという形で検索をすると、たくさんのところが事業復活支援金の同じ対象の中で県独自の支援金、こういったものを上乗せされているところがありました。  例えば、石川県では五割以上売上げ減少しているといったところについては、中堅・中小企業では一律五十万円であったり、三割から五割のところにも一律で三十万円の給付というものもあります。  また、岐阜県では対象について、売上げが一五%以上の減少というところまで拡大をされて、そういったところに支援金を上乗せをされたり、山口県のほうでは「まん延防止等重点措置」をされている、そういった指定地域に限定はされていますけれども、時間短縮を要請した事業者と取引をしている事業者に対して県独自での支援策、こういったものが講じられています。  そういったところも参考にしながら、今後の県独自としての支援というものも考えていく必要があるのではないかというふうに思いますが、再度県の考えを伺っておきたいと思います。  それと、原発について二つあるんですけれども、一つは今回のトラブルについてです。  知事も福島原発事故の件については、組織的な問題であったり、風土というところについても言及をされました。今回、九州電力のトラブルについて唐津市議会のほうでも議論がされているんですけれど、唐津市消防では原発が始まって以来初めての特別査察を行うとか、そういった取組もされています。  私が気になるのは、九州電力がこの間、こういったトラブルを公表してプレス発表した内容と、市議会で実際に唐津市消防に確認をした事案の中身に違う点が見られるんですね。九州電力の報告では、火災が起きた際、二十分通報が遅れたということがありました。これについて、九州電力は初期消火をしていたというような説明をされていました。しかし、実際に唐津市議会、我が党の浦田議員が質問されていますけれども、それに対する唐津市消防の答弁では、地下で電波が届かない、そういった状況でこの報告が遅れてしまったんだというような答弁。また、四メートルの鉄筋が落下をして作業員の方が緊急搬送されたというように述べてあったものについても、緊急搬送は救急車で搬送されたと九州電力は報告されていました。しかし、実際はドクターヘリで搬送される、そういった重大な事態だったということも質問で明らかになりました。こういった状況から見ても、九州電力は企業として誠実さがないんじゃないかと。事実を知らせない、トラブルについてもできる限り小さく物事を見せようとする。こういった企業に危険な原子力を扱う資格はないと厳しくおっしゃられる市民の方もおられました。  こういったところについて、県としても検証を行ったところではありますけれども、こういった九州電力の姿勢について、再度県としてどういうふうに捉えられているのか、認識しているのかというところで伺いたいと思います。  それと知事、説明会について、責任を負う者が行うべきと考えるということで答弁されましたけれども、実際責任を負う人が説明をするべきだと私も思います。ただ、その説明会について、では知事として国に対してそういった説明会を行ってほしいというような考えがあるのかどうか、これについて伺いたいと思っています。  あと、多くなってすみませんけれども、有明海の問題です。  知事は、不退転の決意を持って再生に取り組んでいきたいという決意を述べていただきました。部長においては、国への働きかけ、政策提案とか、いろんな機会を通じてということでお話もあったんですけれども、本当に私たちがお話を聞きに行った地域では、若い後継者の方々がこのノリ養殖に積極的に取組をしていただいています。  地域の若い方々から信頼がある方から相談を受けました。その方に、父から跡を継いで、二十代でノリ養殖を始めたという方から、その方も養殖を始めて二年から三年だということで、真剣に頑張っていて、妻、子供と三人でその方のおうちを訪ねて、今後、ノリ養殖をどうしようか悩んでいるというような相談をされたそうです。相談を受けた方自身も三十代で頑張っておられるんですけれども、一緒に頑張ろうよと言えないと。現状がまた二年、三年、同じように続いてしまうかもしれないと。その方自身は、このノリ養殖が続いていけるような、基幹産業として自分の子供にも選択肢として残せる、そういった環境をつくってあげたいと。ノリ養殖が好きで、魅力があって、やりがいもあるんだと、そういったことを子供たちにしっかりと伝えていきたいというようなお話をされていたんです。でも、このままだったら自分自身もノリ養殖に携わることができないかもしれないと、そういう思いを話されていました。諫早湾干拓の開門調査についても、ずっと調査がされているだけで、対策は全然されないじゃないかというような方もおられました。  こういった有明海、ノリの不作の状況、過去最低というような状況もある中で、やはり国に対して措置を求めるといったことも当然必要ですけれども、未来を担っていく若いノリ漁業者の皆さんたちが、次の年度も希望を持って養殖を続けられる、そういった対策を県としてしっかり打ち出すべきだと私は思うんですね。そういった点について、もう一度、具体的な答弁をお願いしたいと思います。 27 ◎山口知事 登壇=井上議員の再質問にお答えいたします。  核燃サイクルなどについての説明会のお話がございました。  私もしっかりと国、そして事業者ですね、六ケ所再処理工場でありますと日本原燃になるわけですけれども、そうした皆さん方がしっかり説明責任を果たしていくということは大事だというふうに考えます。強い問題意識を持って、令和二年度だったと思いますけど、牧原副大臣にしっかりと現在の状況、何度も何度も延期になっているので、その状況を明確にした上で、具体的な期限を含む実行可能な工程を早急に示し、責任を持って進めることというふうな提案をさせていただきました。このときに、また、原発立地地域に対し、進捗状況等について随時説明責任を果たすことということも申し上げたわけでございます。  特に議員から言及があった六ケ所再処理工場は、国が進める核燃料サイクル政策の中核施設に位置づけられるものですから、大幅に遅れているということに対しては我々も強い問題意識を持ってございます。  これからも随時申入れを行っていきたいというふうに思いますし、その説明の在り方というものも、事業主体である国ですとか事業者が自ら考えていただきたいと思います。ただ、そこについての強い気持ちというのは、我々から主体である当事者に伝えていきたいと考えております。  続きまして、有明海の再生についてですが、まさに我々が有明海再生を強く願っているのは、これまで代々つながってきた宝の海を承継してきたこの伝統を次世代につなげたいという一心なんです。なので、タイラギがこのままいくと技を伝承することができないという切実な声ということで、待ったなしだと思っているわけでありまして、訴訟に対していろいろ思うこともありますけれども、開門に対しても思いはありますけれども、さはさりながら、再生に対する取組として、県としてできることは何でもかんでもやれることはやっていきたいということで、今、振興センターを含め、みんなで頑張っているわけでございます。  そういった気持ちを忘れずにこれからも取り組んでいきたいと思いますが、具体的な取組については部長のほうから補足させたいと思います。 28 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、玄海原子力発電所のトラブルについての再質問にお答えさせていただきます。  議員のほうから唐津市議会でのやり取りで、例えば、救急車ではなくてドクターヘリで搬送されたと、そういう点があったというようなお話をいただきましたけれども、私のほうで把握している範囲で申し上げますと、まず救急車で発電所を出て、その後、ドクターヘリで搬送されたというふうにお伺いをしております。その辺についても、私どもにより正確に伝えることは大切なことであるというふうに思っておりますので、九州電力は、その関係についてはうそではないと思いますけれども、やはり情報には正確を期すということが大切であろうと思いますし、その上で、そういったことも踏まえまして、九州電力については、先ほど知事も答弁しましたように、三つの約束を肝に銘じて、原子力発電所に対しては安全が第一ということで、慎重な上にも慎重に対応していただきたいというふうに考えております。  以上でございます。 29 ◎寺島産業労働部長 登壇=私には、事業復活支援金への上乗せ支援について改めてお尋ねがございました。  長引くコロナ禍で厳しい状況にある事業者の方は大変多くいらっしゃいます。そういった厳しい状況に置かれている事業者の下支えにつきましては、これは国のほうでしっかりと支援をしていただきたいというふうな考えを持ちまして、全国知事会を通じて、先ほど申し上げたように、再三にわたってその辺りの対策を充実するようにということの提言を行ってまいりました。  その成果といたしまして、今回要件が大幅に緩和された事業復活支援金というものが実現をしておりまして、私ども大変ありがたく思っております。ぜひこれを御活用いただきたいと思っております。  一方、佐賀県といたしましては、コロナ禍の中で厳しい状況にあっても、前を向いて新たな分野に進出したりとか、あるいは販売方法も新しいものを導入するとか、新しい商品をつくるとか、このままではいけないと、何かしなければという事業者さんが大変多くいらっしゃいますので、そういった新たな取組にチャレンジをしようという事業者の方々に対しては、きめ細やかに、そして、強力に支援をしていきたいというふうに考えております。  これからも、コロナの状況を見ながら、その時々の状況に応じて、どういった対策が必要なのか、また、効果的なのかといったことについて考えてまいりたいというふうに思っております。  私からは以上でございます。 30 ◎池田農林水産部長 登壇=有明海の再生につきまして知事答弁を補足させていただきます。  まず、赤潮の発生、西南部地区でよく発生いたしておりますけれども、赤潮の発生源となるプランクトンを捕食するサルボウの捕捉器を安定供給する体制を確立するためのサルボウ復活大作戦というのを令和元年度から実施をしております。  それと、令和二年度からは、有明海西南部地区のノリ養殖安定生産対策事業を実施いたしまして、流量の把握ですとか、あるいは生態系モデルを構築いたしまして、珪藻赤潮の発生予察技術の確立を目指す取組を行っているところでございます。  そして、先ほどの答弁では、漁業共済のより有利な加入の推進をしていくということも答弁させていただきました。  あらゆる取組を講じまして、有明海の漁業が次世代につながるようしっかりと取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 31 ◎落合教育長 登壇=私からは、学校現場における感染症対策のうち、スクール・サポート・スタッフの弾力的な運用についてお答えをいたします。  スクール・サポート・スタッフ、正式には教員業務支援員と言いますけども、これはコロナ禍にあって、学校における消毒作業とか、あるいは学校の様々な業務について教職員の補助的な業務を行っていただいております。市町の教育長さんや学校現場の先生方からは非常に助かっているという声をよく耳にいたします。  このスクール・サポート・スタッフは市町教育委員会が配置をしておりまして、県教育委員会は国の補助制度を活用して間接補助を行っております。国の補助金の制度上、交付申請から交付決定までのスケジュールが決まっておりますので、先ほど御指摘あったような状況の変化があった場合でも新たな追加申請を行うことはできないということになっております。ただ、実施主体である市町教育委員会の中でその予算の範囲内で、設置先や任用期間、日数、時間等を調整することは可能です。  県教育委員会といたしましても、国に対して予算のさらなる拡充と弾力的な配置ができる、そういった運用ができるよう政策提案を引き続き行っていきたいと考えております。  スクール・サポート・スタッフの活用については、より効果的なものになるよう、市町教育委員会とも連携しながら取り組んでまいります。  以上です。 32 ◎井上祐輔君 登壇=有明海の問題ですね。  部長、御答弁をいただいたんですけれども、これまでの取組、そういった努力をされているというのは分かるんです。ただ、これまでの取組では今追いつかないと、今本当に目の前は危機的な状況になっているんだというところを、県としてももっと寄り添って受け止める必要があると思うんですね。  お話を聞いた三十代の皆さん、そういった方々は、例えば、青年部なんかで自分たちで積立てをして二年に一回旅行に行くとか、そういったことを過去されていたそうなんですけれど、自分たちでも有明海再生のためにできることをやっていこうということで、海底耕うんしていただいた方にはその積立ての中から日当に充てて、自分たちの海を自分たちで再生をさせていこうと、そういった思いも持って何とかしたいというふうに取組をされているんですね。  でも、御紹介いただいたように、本当に過去最低の状況の中で来年ノリができるか分からない、そういうところもあるんですね。そういった皆さんの思いというのを本当にしっかり受け止めて、来年度、このノリ養殖が希望を持ってできる、そういった対策を国に対してもちろん求めていくことというのは大事だと思いますけれども、国が動かない、そういった場合では県でもしっかりとした支援をやっていくということがやっぱり必要だと思います。このことについて最後もう一回、部長、質問をさせていただきたいと思います。 33 ◎池田農林水産部長 登壇=井上議員の再々質問にお答えいたします。  先ほど答弁いたしましたように、サルボウ大作戦とか、あるいは西南部地区の生産安定対策のための技術確立、そういった取組について答弁をさせていただきました。そういった取組につきましては漁協と協議しながら対策をしてきたところでございまして、今後もどういったことができるか、漁協と十分協議していきたいというふうに考えております。  以上お答えいたします。 34 ◎田中秀和君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。私は自由民主党の名前を指文字で「たなかひでかず」と申します。通告に従いまして順次質問をいたしますので、執行部の皆様におかれましては丁寧な答弁をよろしくお願いいたします。  一項目めの「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」の取組について質問をいたします。よろしくお願いいたします。  佐賀県では、手話が言語であるとの認識を共有し、全ての県民が聴覚障害の有無によって分け隔てることなく、共に安心して暮らすことができる共生社会を実現するため、平成三十年九月に議員提案により「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」を制定したところであります。  その間、県議会においては政策条例検討委員会を設置し、十三回の開催、協議が行われ、全会派一致で条例制定されましたことに感謝と敬意を表する次第であります。  さて、条例では、聴覚障害者の意思疎通手段に関する施策の推進についての基本的事項を定めるとともに、毎年度、議会に実施状況報告書が提出されております。昨年九月に提出された令和二年度の報告書を見ました。様々な観点から取組をしていただいていることに感謝し、今後とも聞こえの共生社会の実現に向け、条例に沿って聴覚障害者への支援に取り組んでいただきたいと改めて強く思いました。  一方、令和六年度、二〇二四年度開催予定の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会において、聴覚に障害のある方々のために手話通訳や要約筆記によりコミュニケーション支援を行う情報支援ボランティアを養成していると聞いております。昭和五十一年、一九七六年に本県で開催された若楠国体は、県民総参加での「まごころ国体」として好評であったと伺っています。当時、民泊受入れをはじめ、おもてなしを県民が創意と知恵を集めて行った成果だとも聞いています。その中で、各地域に手話通訳ボランティアの輪もこれから始まり、現在につながれていると教えていただいております。  二〇二四年佐賀大会のために情報支援ボランティアを養成することは、手話や要約筆記に興味を持つ方々を増やすことにつながります。この大会を一つの契機として手話や要約筆記に興味を持つ方々の裾野を広げていく取組になるよう考えていかなければならないと思います。  情報ボランティアだけに限らず、若楠国体で多くの市民や団体が様々な気づきや成長があったように、佐賀県民総参加での二〇二四年佐賀国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会にならなければならないと思います。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  一点目に、聞こえの共生社会づくりに向けた知事の思いについてお伺いします。  これまでの現状を踏まえた中で、聞こえの共生社会づくりに向けた知事の思いをお聞かせください。  二点目に、これまでの取組についてお伺いします。  佐賀県は、条例を制定し四年を迎えますが、手話などの意思疎通手段の利用しやすい環境の整備を推進するため、これまでどのような取組を行っているのか確認いたします。  三点目に、学校や職場での取組についてお伺いいたします。  まず、学校の状況と今後の取組についてですが、学校においては手話に触れるような取組はどのような状況であるのか。また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、職場の状況と今後の取組についてですが、聴覚障害者が働いている職場において意思疎通を図るための取組はどのような状況であるのか。また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  四点目に、佐賀県聴覚障害者サポートセンターの状況と今後の取組についてお伺いをいたします。  聴覚障害者への支援のため、佐賀県聴覚障害者サポートセンターが平成二十六年度に設立されています。サポートセンターのこれまでの取組はどのような状況であるのか。また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  五点目に、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を契機とした今後の取組についてお伺いをいたします。  さきにも述べましたが、大会を契機として県全体で手話通訳等の裾野を広げていく取組が必要であると考えています。佐賀県はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。  また、そのためには市町の協力が不可欠です。現在、手話言語に関する条例を制定しているのは佐賀県と嬉野市、唐津市、武雄市の一県三市となっています。手話は言語である認識を共有し、全ての県民、市民が聴覚障害者の有無に分け隔てなく共に安心して暮らせる地域社会を実現するために、市町での条例制定が必要だと私は考えています。  佐賀県の役割として、市町へ条例制定に向けた働きかけを行うべきではないかと考えていますが、佐賀県のお考えをお聞かせください。また、市町へ手話通訳を設置するように働きかけを行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  六点目に、ろう学校における教育についてお伺いをいたします。
     手話言語条例の制定以前から、聴覚障害のある児童生徒への教育のうち、重度の者は県立ろう学校が担ってきたと承知をしています。ろう学校では、児童生徒との意思疎通においてどのような工夫や対応を行っているのか確認をいたします。  また、ろう学校の長い経緯の中から、教育内容については、木工などこれまでと変わらず続けられていると聞いていますが、聴覚障害者が地域社会で必要とされるよう、例えば、県立高校との連携による取組やITの活用など、教育内容も時代に応じて見直す必要があると考えますが、佐賀県としてどのように考えられているのかお伺いをいたします。  二項目めの佐賀県の観光戦略についてお伺いをいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響は様々な分野に及んでいますが、その中でも観光の分野は深刻な影響を受けています。  国が昨年十一月に策定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」においては、観光立国の復活として、コロナ禍の影響を強く受けた観光業の立て直しを図るとともに、ウイズコロナを前提とした旅行ニーズの変化に対応した事業再構築を支援していくとされています。  また、新型コロナ感染症拡大の影響を受けても、自然、気候、文化、食といった魅力は失われていないとされており、二〇三〇年に六千万人の訪日外国人観光客の目標達成に向けて、官民一体となった観光業の体質強化や観光地の再生に取り組むとされています。  しかしながら、現実を見てみますと、感染を避けるために旅行者の行動が変化し、さらには旅行者の旅行に対する価値観も変化してきている中で、私はこうした観光スタイルの変化は、アフターコロナにおいても、これが一〇〇%元に戻ることはないと考えているところであり、佐賀県の観光業を持続させるためには、こうした変化に対応していかなければならないと考えています。  県においては、観光振興について戦略的に取り組んでこられ、その中で二〇一六年から六年間継続の夜の観光スポットを創出する取組であるアート県庁、オープンエアの佐賀を発信し、誘客するサイクルツーリズムの推進といった事業を実施してこられたと理解しています。  その一方で、これまでの観光に関する基本的な戦略に加え、コロナ禍の影響を踏まえた新たな課題にさらに対応していく必要があります。  また、コロナ禍の影響から脱却し、観光業の体質強化を図り、観光地を再生させていくためには、脱却までの間、佐賀県と県内市町が一丸となり、役割分担や、さらなる事業連携をしながら取り組んでいくべきだと考えております。  そこで、次の点についてお伺いします。  一点目に、佐賀県の観光戦略と役割についてお伺いします。  観光について、佐賀県はどのような基本戦略を立て、どのような役割を担おうと考えているのかお伺いします。  二点目に、地域での観光戦略についてお伺いします。  佐賀県では、これまでにも有田焼創業四百年事業や、「肥前さが幕末維新博覧会」といった県内全域と一体となり、佐賀の魅力を磨き上げ、佐賀県内への交流につなげる事業を実施されてきました。  有田焼創業四百年事業においては、平成二十五年から二十八年の四年間で十七プロジェクトに取り組まれ、全てのプロジェクトにおいて、有田、伊万里の地元事業者の関係者の参加を得て実施され、大きな反響と成果が出たと聞いております。この事業の精神は今も動いております。  また、「肥前さが幕末維新博覧会」も、幕末維新記念館、リアル弘道館、葉隠みらい館、唐津サテライト館、鳥栖サテライト館などの会場を分散化し、各地域でのイベント開催など、市町の取組を後押ししながらの開催により、すばらしい成果を上げた事業だったと思います。  このような地域の資源を磨き上げ、観光誘客につなげる事業の一つとして、現在取り組まれているのが唐津・玄海プロジェクトだと私は理解しております。  佐賀県と唐津市、玄海町が連携し、観光戦略を合致させ、国内唯一無二の資源である名護屋城と陣跡の事業や、数々の豊富な資源の中でも、特に海の魅力の活用によるマリンアクティビティー事業など、十七のプロジェクトが推進されております。  また、令和四年度の当初予算を見ても、全市町への観光誘客戦略が事業化され、地域の魅力づくりや観光促進など、市町と連携した観光戦略として取り組むことが効果的な事業になると思います。  西九州新幹線の開業を見据えた「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」、ロマンシング佐賀ラッピング列車や駅舎ラッピング、また、鹿島、太良地域振興事業には四事業の展開があり、肥前浜駅のほうにも私もこの前視察に行かせていただきましたけれども、NPO団体との連携等により今後の大きな期待のある事業だとも思っております。  また、市町の拠点である駅をまちのシンボルにつなげる事業、また、「島でつながるプロジェクト推進事業」では、駅、空港、港は観光客の玄関口であり、最初に佐賀県に降り立った時のイメージ、第一印象こそが、その旅の思い出を左右することにつながり、観光客の移動手段を充実させることは観光客の来訪する動機づけにもつながるものであり、リピーター効果に期待ができる事業だとも考えております。  また、オープンエアの関連事業では、サイクリングモデルルートの整備のサイクリングツーリズムや二十一世紀県民の森環境整備事業など、自然体験型スタイルのオープンエアの関連事業も前面に打ち出されています。  しかし、私はこのように様々な観光関連事業予算が計上されていますが、これらの事業が、市町と連携し、観光的視点で関連団体と運用をプロモーション化し、継続的な事業、稼ぐ観光に展開、発展するのかと大変心配しているのも事実であります。つまり、一過性の事業で終わらないよう、これらの事業をグリップする佐賀県の部署、これが必ず必要になってくるのではないかと思っております。  そこで、県は、今後このような観光関連事業を実施するに当たり、地域との連携についてどのように考え、取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。  三点目に、今後の観光振興についてお伺いします。  先ほども言いましたが、多くの事業がこれから展開されていきますが、今後の観光戦略を考えると、新型コロナウイルス感染症の対応と観光の復活に向けた取組を継続的に、戦略的に考えなければいけないと考えています。これからコロナ禍の影響を強く受けた観光業の立て直しを図るとともに、ウイズコロナを前提とした旅行ニーズの変化に対応した事業再構築につなげていかなければと考えています。  そこでお伺いしますが、コロナ禍の影響を踏まえ、県は今後の観光振興に当たってどのような課題があると考え、その解決のためにどのように取り組むのか確認したいと思います。よろしくお願いします。  三項目めのコスメティック構想の推進についてお伺いします。  佐賀県が唐津市、玄海町とともに進めているコスメティック構想は、唐津市、玄海町を中心とした県内、ひいては北部九州にコスメティック関連産業を集積させ、コスメティックに関連する天然由来原料の供給地となること、そして、中長期的には成長するアジア市場との取引の拠点となることを目指すものであり、私もこれまで応援してまいりました。  皆さんも御存じのように、平成二十四年一月にフランスの化粧品メーカーが唐津市を視察し、アジアへの立地のよさと豊富な農産物、唐津市にあったミニ集積地の存在などから、平成二十五年四月に唐津市とフランスのコスメティックバレーとの間に連携協力協定が締結となり、同年十一月にジャパン・コスメティックセンター──JCCが設立され、コスメティック構想がスタートいたしました。  この間、JCCの会員数は百六十以上の会員構成となり、企業誘致の面では神埼市に化粧品OEM会社の東洋ビューティ株式会社、唐津市には化粧品原料会社の岩瀬コスファ株式会社、化粧品メーカーの株式会社クレコスなどが進出、唐津市に化粧品パッケージ会社の本州印刷株式会社が進出を決められ、先月二十三日には地鎮祭が執り行われました。  また最近では、女性起業家の活躍が報道を通してよく目にしますし、県内の地産原料を使用した化粧品が百五十ほど開発、販売され、県内企業はもとより、全国の関連企業とのネットワークも築かれてきたと感じています。  このようにコスメティック関連産業の集積や地産素材を活用した商品化、メディアによる情報発信など、一定の成果は出ているものの、まだまだ十分でないと私は感じています。特に県民、地元企業、コスメ業界関係者のコスメティック構想に対する認知度が低いことから、県民や業界に向けての情報発信力を上げることや、コスメティック関連産業の集積のため、日本一コスメビジネスがしやすい町を目指し、起業・創業をサポートすることが必要ではないかと考えています。  また、コスメティック関連産業の集積には、研究分野における専門人材の育成と確保も大切な要素であると考えていることから、コスメ分野について学べる場を設けることや、地産素材を活用した化粧品原料や商品の開発、海外の業界団体とのネットワークを生かした国際取引支援を強化することも必要でないかと考えています。  さきにも述べましたが、二〇一三年四月のフランスのコスメティックバレーと唐津市との連携協力協定締結をきっかけとして始まったコスメティック構想は、今年十年目を迎えます。このコスメティック構想を一層推進させるためには、コスメの町として、これまで積み上げてきたものをさらに発展させていく必要があると考えています。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  一点目に、まず知事にこのコスメティック構想に対する思いを聞かせてください。  山口知事には、この事業に大変御尽力していただいていますし、様々な機会あるごとにコスメの情報を発信していただいています。アジアの拠点としたこの地ならではの産業集積地、クラスターを目指し、国際取引の拡大、関連産業の集積、地域資源の活用、コスメ環境の整備など、コスメティック構想がこれまで着々と進められていますが、十年の節目を迎えたこれまでの取組を踏まえ、そして、これからさらなる発展に向けたコスメティック構想への思いをお聞かせください。  二点目に、これまでの成果についてお伺いをいたします。  佐賀県を中心に企業誘致部門や産業部門がJCC──ジャパン・コスメティックセンターと協力し、誘致活動を行われてきましたが、企業誘致や起業・創業などにより、化粧品関連産業の集積が一つ一つ進んでいると感じています。  また、県産素材を使用した商品開発、販売実績、メディア活用の取組など、コスメティック構想の取組により、これまでどのような成果があったのかをお伺いいたします。  三点目に、課題への取組についてお伺いします。  今後の課題として、私なりに考えてみますと、県民から業界など、幅広くコスメ構想の情報を発信し、地域のコスメのPRと販売促進などに関する情報発信の課題、企業進出や創業を支援するためのサポートサービスの向上や、受け入れる土地やオフィスの整備環境などに関する起業・創業と企業誘致の課題、コスメに特化した技術研究体制の強化と、コスメに特化した学校カリキュラムの提供などに関する研究開発と人材育成の課題、最後に、自立的な継続的活動を行うようになるためのJCC本体の課題があると考えています。  そこで、JCC本体の課題は、当事者がしっかりと課題解決に向け頑張っていただきたいと思いますけれども、情報発信力の向上、起業・創業のサポート、コスメ専門の人材育成と確保、地産素材の活用や国際取引支援の強化のこの四つの課題に対し、県はどのように考え取り組んでいくのかをお伺いいたします。  四項目めの玄海地区の漁業をめぐる環境と漁業振興についてお伺いをいたします。  本県玄海地区は、対馬暖流の影響下にある壱岐水道の外洋性漁場や唐津湾や仮屋湾などの内湾性漁場を有し、リアス式海岸が続く中に砂浜が点在するなど、多様な漁場を有しています。そこでは小型底引き網、五智網、釣り、はえ縄、採貝藻など漁場環境に応じた様々な漁業が営まれており、地域を支える重要な産業の一つとなっています。  しかしながら、玄海地区の漁業を取り巻く情勢は、水産資源の減少や魚介類の販売価格の低迷、燃油高騰など、厳しい状況が続いており、特に近年では地球温暖化などに起因すると考えられている漁場環境の変化が様々な漁業に影響を及ぼしていると聞いています。  人知の及ばない地球規模の気象変動の影響などは、漁業者を目指す将来の若い担い手たちの大きな憂いとなり、漁村での後継者不足、漁業者の減少や高齢化の進行に拍車をかけているのではないかと危惧しています。  私は、玄海地区の漁業者が希望を持って漁業に従事し、次の世代に将来展望が描けるよう、夢のある漁業を築いてほしいと切に願っており、そのためにはこれまでの水産振興策の取組もしっかりと進めながら、これまでとは違う視点からの水産振興策のアプローチなど、新たなチャレンジを行うといった積極的な取組がこれから必要と考えています。  その候補の一つとして、県が唐津市沖への誘致を検討している洋上風力発電事業が考えられます。地元では漁業への影響を心配し、反対をしている漁業者がいる一方で、先行している五島市の事例では、漁礁効果が確認されており、洋上風力発電の設備が天然の海洋牧場になると期待する声もあります。  さらに、洋上風力発電運営の安全確保に伴う警戒船業務等への漁船参入により、副業収入を期待する声も少なくなく、令和三年度には警戒船業務を行うために必要な研修が唐津市内で二回開催されているにもかかわらず、次の開催を希望する声が私に寄せられています。  こうしたことから、私は洋上風力発電事業の誘致については、玄海地区の漁業者が、希望を持って漁業に従事し、次の世代に将来展望が描ける夢のある漁業を築くことにもつながるのではないかと期待をしております。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  一点目に、洋上風力発電事業による漁業影響に関する取組状況についてお伺いをいたします。  県では、洋上風力発電の事業誘致に関し、漁業への影響についてどのように考えているのかお伺いをいたします。また、漁業者との調整に向けてどのように取り組んでいくのか確認をいたします。  二点目に、水産振興の取組状況についてお伺いいたします。  玄海地区の水産振興を図るためには、沿岸漁場の水産資源を増やすこと、漁業者の所得向上や漁家経営の安定を図ることが重要と考えます。  玄海地区の水産振興のこれまでの取組状況はどうなっているのかお伺いをいたします。  三点目に、今後の取組についてお伺いをいたします。  先ほども述べましたが、これまでとは違う視点からの水産振興策のアプローチなど、新たなチャレンジを行うといった積極的な取組がこれから必要と考えております。  県では、玄海地区の水産振興のため、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。  以上、四項目について執行部の御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 35 ◎副議長(原田寿雄君) 暫時休憩します。     午後三時十三分 休憩 令和四年三月一日(火) 午後三時四十五分 開議  出席議員    三十六名     一番  下 田   寛     一五番  池 田 正 恭     三〇番  徳 光 清 孝     二番  桃 崎 祐 介     一六番  古 賀 陽 三     三一番  中 倉 政 義     三番  田 中 秀 和     一七番  川 崎 常 博     三二番  石 井 秀 夫     四番  古 川 裕 紀     一八番  定 松 一 生     三三番  留 守 茂 幸     五番  一ノ瀬 裕 子     一九番  江 口 善 紀     三五番  木 原 奉 文     六番  中 村 圭 一     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  藤 木 卓一郎     七番  古 賀 和 浩     二一番  八 谷 克 幸     三七番  石 倉 秀 郷     八番  井 上 祐 輔     二二番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  坂 口 祐 樹    一〇番  中 本 正 一     二四番  宮 原 真 一    一一番  野 田 勝 人     二五番  原 田 寿 雄    一二番  冨 田 幸 樹     二六番  岡 口 重 文    一三番  弘 川 貴 紀     二七番  大 場 芳 博    一四番  西久保 弘 克     二八番  武 藤 明 美 欠席議員    一名    二九番  稲 富 正 敏 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    南  里     隆          政策部政策総括監     前  田  直  紀          総  務  部  長   元  村  直  実          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       甲  斐  直  美          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子
             文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   原     惣一郎          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    西  岡  剛  志 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          総務課長事務取扱     吉  田     泰          議  事  課  長   岸  川  文  広          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       碇     一  浩          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 36 ◎議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。  田中秀和君の質問に対する答弁から開始いたします。 37 ◎山口知事 登壇=皆さんこんにちは。お疲れさんです。  田中秀和議員の御質問にお答えいたします。  まず、聞こえの共生社会づくりに向けた私の思いについてです。  平成三十年九月定例県議会において「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」が議員全員によって提案され、成立しました。また、執行部側から提案した「障害のあるなしにかかわらず、ともに暮らしやすい佐賀県をつくる条例」においても、「県民の役割」として、「言葉だけでなく、絵、写真、筆談、手話、点字など障害に応じたコミュニケーションの方法を用いて、分かりやすく伝えること。」が書いてあります。  議会側と執行部側でそれぞれ提案して、この二つの条例が同じ議会で成立したということについて議会に敬意を表したいと思いますし、県民の幸せを祈って双方が提案したということの意義は大きいものだと思っています。これらの条例が、障害のあるなしにかかわらず、共に暮らしやすい佐賀県を県民みんなでつくっていくための土台であると認識しています。  私はこれまで、既存の福祉の制度のはざまで困っている方の声、なかなか気づいてもらえないけれども、置かれている状況や気持ちを分かってほしい、そんな思いを受け止め、そこに光を当ててきました。  例えば、七年前、知事に就任して二カ月後、聴覚障害者サポートセンター「佐賀みみサポ」を訪問いたしました。軽度・中度難聴児の子供たちと保護者の皆さんと意見交換をしました。  町を歩くときに自動車が近づいてくる音が聞きづらくて怖いといった声がありました。すぐに補正予算で国の制度にはない軽度・中度難聴児を対象にした助成を行うこととしました。まだ私は知事になったばっかりでありましたので、即座に提案した補正予算が議会で可決されたことに大変うれしく思ったことを思い出します。  また、令和二年度からは、片耳難聴児も含め、補聴器や人工内耳が必要な難聴児全てを補助の対象として拡充させていただきました。  平成三十年度からは、外見からは分からなくても援助が必要な方のためのヘルプマークを導入いたしました。これは助けてほしい内容をシールに書いて貼ることもできます。援助が必要であっても、会話が難しいことから遠慮してしまう方がおられるかもしれません。手話とあわせてヘルプマークについても伝える手段の一つとなればと願っており、普及させていきたいと思います。  田中議員から手話を言語として尊重する社会へという話がありました。私は北京オリンピックの開会式を録画で見ておりまして、その中で複数の手話の通訳の皆さん方が交代をしながら、本当に表情豊かに活躍されているのを見ました。そして、そのとき、後の表示でフィーダーと記載されている方々がおられることに気づきました。フィーダーというのは何なんだろうかと確認してみたところ、手話通訳士の資格を持つフィーダーと呼ばれる耳が聞こえる人が、アナウンサーのコメントや会場の音などを手話で聾者の手話通訳者に伝えて、聾の方の感覚や習慣、文化的な背景を考慮して、分かりやすい手話に直して伝えるスタイルだそうです。私もそのとき初めて知ったことを恥じているわけですけれども、すばらしいチームプレーで手話の世界というのは奥深いなと感じました。手話に興味を持ったり、身近に感じる方も増えたのではないかとも思いました。  手話が第一言語、日本語は第二言語で、字幕だけでは不便という方も多うございます。映像に音声、手話、文字といった情報伝達手段がそろうことで、障害のあるなしにかかわらず、聞こえない人も聞こえる方も一緒に楽しむことができます。  私も令和二年四月から記者会見、コロナの対策本部に手話通訳をつけるなど、聴覚に障害がある方々にも速やかに情報を届けるようにしています。そして、二年後の「SAGA2024」では、まさにスローガンどおりに「すべての人に、スポーツのチカラを。」を届けたいと思います。そのため、手話や要約筆記に携わる情報支援ボランティアを育成して、この大会のレガシーとしていきたいと思います。  手話言語条例に込められた思いをしっかりと受け止め、手話に関わるボランティア、手話通訳者、要約筆記者など、層が厚くなるよう人材育成について取組を進めていきたいと思います。その内容につきましては健康福祉部長から答弁させます。  続きまして、コスメティック構想に対する私の思いについてお答えします。  新型コロナの感染が拡大するまでは、中国を訪れて、現地の方々に佐賀県の取組について講演を行うことがありまして、最も反応がよくて問合せがあったのがコスメとアニメの話でした。  中国は、人々の生活水準が向上するにつれてコスメに対する需要も伸びて、皆さんの関心も高まっている状況だそうです。そのような中で、すぐに取引の話がありまして、調整を進めていたわけです。ところが、これからという矢先に新型コロナの感染が拡大して、今それが中断しているというのを大変残念に思っています。  一方でコスメ構想は、県民の皆さんや県内企業がもっと佐賀のコスメを知って、佐賀のコスメを楽しむことができたらもっとすばらしいなということも思っておりました。いわゆる業界の方だけでなくて、我々佐賀県民自身が、人は外面だけでなくて、内面もきれいにしようというのがコスメの取組なので、そういったことに参画していったらいいんではないかということで、平成三十年度より美と健康をテーマとした情報発信イベント、「SAGAn BEAUTY WEEKEND」を唐津市と佐賀市で開催いたしました。コロナ前は、学生を含め関心の高い県内の女性にコスメ構想から生まれたコスメ商品をはじめ、肌測定、それからスキンケア講座など、様々なコンテンツを体験してもらい、大変好評でした。だんだん男の人も増えてきて、一緒になって美を考えるというようなイベントになっておりました。しかしながら、こちらも新型コロナの拡大で今リアルでの実施が困難となって、オンライン開催に切り替えております。大変もどかしい気持ちになっています。  さて、コスメティック構想は、田中議員から言及がありましたように、佐賀の豊かな自然由来の原料があること。アジアに近いという立地特性、さらに、フランスのコスメティックバレーとの連携があるといった優位性が我々にはあります。そういった意味で、佐賀ならではこそ、世界を視野に取り組んでいるクラスターのプロジェクトであります。  今、世界の化粧品市場を見ますと、拡大傾向でコロナ前まで推移しておりました。特に中国はすごい勢いで需要が拡大しておりました。韓国は輸出部門で非常に大きく成長しておりました。このように今、アジア圏というのは非常に旺盛な拡大をしておりまして、特に欧米と比べますとスキンケア製品の割合が大きいのが特徴となっております。そうした意味から、我々アジアというものもターゲットにしてコロナ後展開したいと思っています。  コスメ構想の意義は四本柱でプロジェクトを展開しています。一本目はコスメ企業の誘致です。先ほど紹介もありましたが、十二社誘致することができました。  さらに、コスメビジネスに取り組みやすい環境づくりが二本目でありまして、佐賀のほうで事業化ですとか拠点化をしてもらうといった取組。  三番目が、地産素材の活用、研究開発でありまして、最近でもリトコスの三田かおりさんという方ですけれども、「J300アワード」という起業家大賞を受賞されました。この方も離島のツバキだとか、自然環境のハーブなどの原料を使ってコスメ商品を作って、今、成功しつつあるといった方です。こういった方を増やしていくということ。  さらに、四本目として海外展開の支援ということでありまして、もちろんフランスとのお付き合いもありますけれども、せんだって連携協定を結んだスペインといったものも新たなターゲットになろうかというふうに考えてございます。  このように、コスメというのは、今コロナで幾らか中断しておりますけれども、佐賀らしい、佐賀でなくてはならない取組として、これから伸びていく可能性があるものであります。  コスメは体と心を健やかに保つという価値を発信しつつ、佐賀県をコスメ産業が集積するエリア、ナチュラルコスメの原料供給基地、そして、中長期的にはアジアのコスメ市場の拠点となることを目指し、唐津市をはじめとする市町や佐賀大学などとも連携し、世界、未来を見据えて積極果敢にチャレンジを続けたいと考えています。  以上です。 38 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=皆さんこんにちは。私の名前は甲斐と申します。どうぞよろしくお願いします。  私からは、「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」の取組に関する御質問のうち、四点お答えをします。  初めに、これまでの取組についてです。  県では、これまで平成二十六年度に設置した佐賀県聴覚障害者サポートセンター「佐賀みみサポ」を拠点として、ホームページや広報誌などによりまして、県民への理解促進を図るほか、一般の方を対象に聴覚に障害がある方との具体的なコミュニケーション方法などを学ぶ「みみサポーター養成講座」を実施しています。  また、聴覚障害者が行政機関や学校へ相談したりする際や医療機関を受診する際などに、遠隔からでも手話通訳サービスを受けられるよう、「佐賀みみサポ」に機器を設置し、対応を行っています。  令和二年度には、県内の聴覚障害者の方の生活の実態を把握するため、「聴覚障害者くらしのニーズ調査」を実施したところでありまして、この結果を今後の取組に生かしてまいります。  また、電話リレーサービスといって、聴覚や発話に困難がある方と聞こえる人を通訳オペレーターが電話でつなぐ公共のサービスが昨年七月からスタートしましたが、県としましても、聴覚障害者の方の情報伝達手段が増えるものであり、利用登録の呼びかけのほか、活用場面が広がるよう、聞こえる人も含めて多くの方に知ってもらえるよう普及啓発に取り組んでおります。  次に、職場の状況と今後の取組についてでございます。  先ほど述べました令和二年度のくらしのニーズ調査によりますと、就業している聴覚障害者の方のうち、約四割の方が職場に手話のできる人がいないことから、コミュニケーションが取れず困っておられるということが分かってきました。  そのため、「佐賀みみサポ」では、聴覚障害のある方や事業者からの相談を受け、職場を訪問し、悩みを聞いたり、相談対応を行ったりしています。  さらに、令和四年度からは新規事業として、職場で共に働く方が手話を覚えて、少しでもコミュニケーションが取れるよう企業向けの手話講座を実施したいと考えています。  次に、佐賀県聴覚障害者サポートセンターの状況と今後の取組についてです。  センターでは、主に手話通訳者や要約筆記者の養成講座、県民向け講座等の聴覚障害者理解促進事業、聴覚障害者やその家族等からの相談への助言などの事業を行っております。  このような取組を通じまして、手話通訳や要約筆記者は、少しずつ増加しておりまして、平成二十六年度のセンター開設時と比べると、情報保障に係る環境整備はある程度進んできたものと考えています。  一方、国が行う手話通訳技能認定試験に合格した手話通訳の中でも最も高度な技能を持つ手話通訳士は現在、県内に七名で、全国に約三千八百名いらっしゃることを考えると、まだ十分とは言えないと認識しております。来年度からは、手話通訳士試験対策講座を実施し、合格の後押しをしていきたいと考えています。  さらに、要約筆記者の人材育成についても、在宅などリモートにも対応できるよう遠隔パソコン要約筆記者養成講座を行うこととしています。  次に、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を契機とした今後の取組についてでございます。  国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会では、文化・スポーツ交流局において、手話や要約筆記などの役割を担う情報支援ボランティアを確保するため、市町の手話奉仕員養成講座を受講された方にボランティア参加を呼びかけるほか、指導者やリーダー向けの研修を現在実施しているところです。  議員から御指摘がありましたとおり、この大会が手話通訳や要約筆記者の確保につながる好機と考えています。  手話奉仕員などのボランティアに携わる人が増え、さらにボランティアからスタートして、上を目指して手話通訳士にステップアップしていかれることで人材の層が厚くなってまいります。そうした人の中から手話通訳士を目指す方も増えていくのではないかと期待をしております。また、そこにつながるよう、人材養成のための取組を進めてまいりたいと考えております。  議員からお話のありました市町についてでございますが、現在、市町に手話通訳者を設置しているのは六市町です。また、県内で手話言語条例を制定しているのは御紹介があったとおり三市町でございます。これらの市町の取組を見ますと、庁舎内での手話通訳の配置や記者会見での手話通訳導入、職員への手話通訳の研修の実施など、手話の普及のための取組が積極的に行われています。  実際、手話通訳を配置された市町では、障害福祉サービスに関する相談のほか、行政から送付された文書の内容について、何が書いてあるのかといったお尋ねですとか、消費者トラブルに関する相談など、日常の生活全般の様々なお尋ねや相談を受けていらっしゃいます。  市町で手話通訳をされている方のお話では、聞こえる人と聞こえない人では入ってくる情報量が違う。町なかや家庭、職場などで、ほかの人が話すのを聞くなどして耳が聞こえる人が通常知っていると思われることを御存じない場合があるということをお聞きしました。情報保障をしっかりと行っていく必要があると思います。  このように手話通訳者は、単にコミュニケーションを媒介するだけではなく、聴覚障害のある方の暮らしを支える重要な役割を担っておられることが分かります。市町に対して、こういった取組が進んでいる市町の状況を他の市町に紹介するなどしまして、その重要性をお伝えしていきたいというふうに思っております。  議員からお話がありましたとおり、条例制定や手話通訳者の配置について直接言及するというよりも、うまく取組がなされている市町の良い事例を紹介し、県の取組や施策の考え方を紹介するなどしまして、市町が主体となった取組が進むよう支援していきたいと思います。  市町におかれても、主体的に取組が行われるものと考えております。共に同じ方向を向いて連携して、聞こえの共生社会づくりを進めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 39 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、大きく二項目についてお答えいたします。  まず、コスメティック構想の推進について二点お尋ねがございました。  まず、コスメ構想のこれまでの取組の成果についてでございます。  先ほどの知事の答弁にございましたように、コスメ構想は四本の柱で推進をしております。  まず一つ目の柱のコスメ関連企業の誘致につきましては、佐賀県の豊富な地産素材やサプライチェーンの存在をアピールしながら取り組んでおりまして、これまでに十二の企業に進出をしていただきました。最近では、香水や化粧品のOEM企業ですとか、化粧品のパッケージ印刷を行う企業などが進出をしていただいております。  二つ目のコスメビジネスに取り組みやすい環境づくりでございますが、佐賀県でコスメビジネスにチャレンジしたいというスタートアップを国内外から募り、事業化を支援する事業を令和二年度から実施をしております。コスメに特化したスタートアップ支援を行っている自治体は佐賀県だけということも注目をされまして、今年度は五十四件の応募がございました。現在、選考を通過した十社につきまして、ビジネスプランの事業化支援というものを行っているところでございます。  三つ目の地産素材の活用と研究開発のうち、まず、地産素材の活用につきましては、例えば、人気ファッションブランドによる加唐島産のヤブツバキを使用した化粧品ブランドの立ち上げですとか、唐津産の白イチゴを配合したフェイスマスクの商品化などがございます。  また、地産原料のコーディネートや産地化支援を行う法人が設立されたり、あるいは広告デザイン会社が化粧品の企画販売を始めたりと、そういった動きも出てきているところでございます。  研究開発につきましては、今年度からコスメ研究の第一人者の方をお招きいたしまして、佐賀大学の特任教授に就任をしていただいております。現在、佐賀大学に化粧品科学講座を設置して、県内外の企業との共同研究ですとか、学生あるいは県内企業等の研究者の指導に当たっていただいているところでございます。  四つ目の海外展開の支援につきましては、海外で開催される見本市への出展ですとか、バイヤーを招聘しての商談会などを、これはコロナ前でございますけれども、行っておりまして、これまでに、韓国には石けんや美容オイル、シンガポールにオールインワンクリームなど、また台湾には化粧水やハンドクリームなど、こういったものの輸出が実現をしているところでございます。  次に、課題への対応についてでございますが、議員から四つの課題について御指摘をいただきました。  一つ目の課題、情報発信力の向上につきましては、先ほど知事が答弁で申しましたように、「SAGAn BEAUTY WEEKEND」と銘打った情報発信イベントを実施しております。今年度は佐賀県出身の俳優の方をゲストにお招きし、知事も参加してトークイベントをオンラインで開催をさせていただきました。視聴数は前年の二倍を超える十一万二千回ございました。  来年度以降も、より多くの県民の方々に、あるいは事業者の方々にコスメに興味を持っていただけるようなイベント内容を企画いたしますとともに、現在制作中のコスメ構想を紹介したウェブサイトも活用しながら、県民や業界に向けてしっかりと発信していきたいと思っております。  二つ目の課題、起業・創業のサポートにつきましては、引き続きコスメに特化したスタートアップ支援に取り組み、これにより成功事例を創出して、国内外のコスメ業界からの注目を集め、コスメビジネスにチャレンジしたいと希望されるスタートアップ企業をはじめ、コスメ関連企業が佐賀県に集まるという流れをつくっていきたいというふうに思っております。  三つ目の課題、コスメ専門人材の育成と確保につきましては、先ほど申しました今年度招聘いたしました佐賀大学の特任教授の方に、革新的な技術開発、あるいは商品開発を目指す県内外の企業との共同研究に取り組んでいただきますとともに、学生や県内企業の研究者の指導にも当たっていただきますことを通じて、コスメ研究を志す学生や研究者の集積を図りたいというふうに考えております。  四つ目の課題のうち、地産素材の活用につきましては、これまでも地元の原材料について多くの問合せをいただいているところでございまして、商品化に向けて生産者の方と企業とのマッチングを行ってまいります。  国際取引支援の強化につきましては、中国、フランス、スペインなどとのビジネス交流や取引拡大といったものを目指し、まずは高品質な日本製に対する需要に応えるOEM製造受託ですとか、通常の貿易よりもハードルの低い越境ECの活用などにより、着実に実績を積み重ねていきたいと考えております。  より多くの企業や起業家、また研究者の方々にコスメ構想に賛同し、そして参画をしていただき、唐津市をはじめとする市町や佐賀大学とも連携をして、コスメ構想の推進に取り組んでまいります。  続きまして、洋上風力発電事業による漁業への影響に関する取組状況についてお答えいたします。  これまでの漁業関係者の方々との意見交換などでは、例えば、風車に網が引っかかって、五智網漁ができなくなるのではないかといった声ですとか、回遊魚の魚道が寸断されるのではないか、潮流が変わるのではないか、あるいは、そもそも漁が認められなくなるのではないかといった疑問といいますか、不安の声というものをいただいております。  現時点では、唐津市沖において開発が進められる段階になく、風力発電設備の設置箇所も決まっておりませんけれども、洋上風力発電事業が開始された場合でも引き続き漁は可能でございますものの、例えば、五智網漁など漁法によっては影響が生じる可能性があるのではないかというふうに思っております。  他方で、環境省が五島市沖で実施した洋上風力発電の実証研究では、海中に設置された構造物に魚礁効果が確認されたことから、漁業関係者の中には、魚礁効果が大きく得られるような方策を検討すべきでありますとか、増えた魚に合わせて漁法を見直せばよい、魚礁効果によって近海で安定して漁ができるようになれば、燃油負担も軽くなる、こういった洋上風力発電設備の魚礁効果に期待する声とともに、警戒目的の用船など、洋上で新たな収入の機会が創出されることに期待する声といったものも寄せられているところでございます。  こうした様々な御意見から、洋上風力発電事業が漁業に与える影響や魚礁効果の可能性について具体的に分析検討するため、まずは漁業の実態ですとか、海上からでは分からない漁場の状況を可能な限り正確に把握することが必要であると考えております。そのため、令和四年度に国の公募制の補助金を活用いたしまして、洋上風力発電事業の誘致を検討している海域を対象に、漁業の実態や漁場環境の現状を把握するための調査に着手したいというふうに考えております。
     具体的には、漁業関係者の方々の御協力をいただきまして、専門業者への委託により、例えば、漁業者の方々を対象とした漁法や魚種、漁獲高などのヒアリング調査ですとか、海中カメラなどを用いた潜水調査、また水質の調査、こういったものを季節単位で実施いたしますとともに、調査で得られました情報につきましては漁業関係者の方々に随時共有をさせていただき、可能な限り協働して分析評価を進めさせていただきたいというふうに考えております。  洋上風力発電事業は、漁業と協調し、共存するものになることが前提でございます。今後とも、漁業関係者の方々に対し、洋上風力発電事業の意義や必要性、効果あるいは課題などについて、丁寧に御説明いたしますとともに、懸念を抱かれている点につきましては真摯に受け止めて、漁業と共存共栄できる、地域にとって望ましい洋上風力発電の実現といったものを念頭に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 40 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、玄海地区の水産振興について二項目お答えをいたします。  まず、水産振興の取組状況について申し上げます。  県では、玄海地区の水産資源の回復を図るため、これまで魚介類の産卵・生息の場所になります藻場や増殖礁の整備、あるいは藻場から海藻が消失する現象でありますいわゆる磯焼けの対策、また、漁獲量が減少傾向にありますトラフグやアカウニなどの種苗放流に取り組んできたところでございます。  そのうち玄海地区で見られます磯焼けにつきましては、主な原因が水温の上昇に伴い増加しております食用とならない南方系のウニの仲間、ガンガゼによる食害でありますことから、産卵前の駆除など効率的な手法を普及するとともに、漁業者の方々自らが取り組む駆除活動に支援を行うなど、藻場の回復に取り組んでいるところでございます。  また、漁業者の所得向上と経営の安定のためには、生産量の増大とともに水産物の価格の安定向上が必要でございます。このため、玄海産水産物の消費を喚起し、まずは県内における流通量のシェアの拡大を図ります「唐津ん魚FAN拡大事業」に本年度から取り組んでいるところでございます。  この事業では、「唐津ん魚」の鮮度や品質の良さなどを消費者に伝えていただける「唐津ん魚 こだわりの店」を県内で約百店舗認定いたしまして、テレビCMやウェブなどのメディア広告、あるいはのぼり等のPR資材の配布などによりまして、認定店での消費を喚起するキャンペーンを実施しているところでございます。  次に、今後の取組について申し上げます。  議員御指摘のとおり、近年は温暖化等の影響によりまして、魚がとれる時期や場所が変わったり、水産資源の減少や南方系の魚種の増加などの影響が見られ、漁業者からはこれまでの経験が生かしにくく、今後の操業が不安といった声が聞かれるようになっております。  このようなことから、漁業者の経験に頼るだけではないICT技術を活用した海況予測等によるスマート漁業の推進に令和二年度から取り組んでおりますが、令和四年度からはさらに新たなチャレンジといたしまして水産資源の短期、中期、長期の予測を行いまして、その予測に基づいた操業試験に取り組むことといたしております。  具体的には、まず、短期的には一週間程度先の良好な漁場を予測する。また、中期的には数年程度先のマアジやカタクチイワシなどが玄海地区に回遊してくる時期や場所などを予測する。さらに、長期的には十年程度先の玄海地区における水産資源の量を予測することといたしております。  これらの取組によりまして、短期的には効率的な操業が実現可能になりますとともに、中長期的には漁家経営計画の立案や種苗放流、漁獲抑制などの資源回復対策に役立てることができると考えております。  また、昨今の燃油価格高騰によりまして漁業者が大きな影響を受けておりますことから、燃油消費量の削減効果がございます船底の清掃経費の一部を助成する予算を今議会にお願いしているところでございます。  今後とも、玄海地区の水産業の一層の振興を図るため、このような取組を漁業者や漁協、市町などと一体となってしっかりと推進してまいります。  以上お答えいたします。 41 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、佐賀県の観光戦略について三点お答え申し上げます。  まず、佐賀県の観光戦略と役割についてでございます。  県では、平成二十九年六月に、それまでの観光戦略を見直し、観光を従来型のレジャーを中心とした物見遊山的な観光にとどまらず、ビジネスとかスポーツなどあらゆる人的交流を対象とした広い意味での観光として位置づけまして、県民一丸となって、そのような観光に取り組むとして「佐賀さいこう!た・びジョン」という観光戦略を作成いたしました。  この「佐賀さいこう!た・びジョン」では、ふるさとへの誇りを実感できる社会の実現を目指し、佐賀の日常の中にある価値や魅力を再認識し、それを大切にして磨き上げる魅力づくり、お客様目線に立って迎え入れる受入れ環境の充実、これらの本物の価値をターゲットに届ける情報発信、この三本の柱でオール佐賀で観光の施策に取り組むこととしております。  また、平成三十年三月には、議員提案により、県民と旅行者とが様々な交流を通じて感動を共有できる地域づくりを推進する「ふるさと佐賀への誇りを育む観光条例」が施行されました。  その中でこれらの三つの視点で施策を展開していくということに加えまして、県の役割を定めております。その中で「県は、市町又は県民からなる多様な地域の主体が自発的に行う観光の振興に関する取組に対し、地域を支える人々が主役との認識のもと、必要な支援を行う」とされております。観光を推進するに当たっては、まずは地域の人々が自らの住む地域の日常の中にある本物の価値に気づいて、それをいかにお客様目線で磨き上げ、どのように活用していくのかということを考えるのが重要でありまして、県としては地域に入っていき、寄り添いながら一緒に考え、議論しながら、そのような地域の取組をしっかりと支援していくことが重要であると考えております。そのことを役割だと考えております。  このような役割を果たしながら、国内外から観光客が県内各地を訪れ、来てよかった、また来たいと満足していただけるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。  次に、地域との連携にどう取り組むのかというお尋ねがありました。  繰り返しになりますが、地域で観光を推進していくためには、まずは何よりも地元の人たちが地元の魅力に気づく、それをどうやって磨き上げ、情報発信していくのかというのが大事だと考えています。  そのための手法として、地域において観光地域づくりを牽引する主体として、以前よく言っていましたがDMO──観光地域づくり法人の設立支援に平成二十六年から取り組んできておりまして、現在、県内には二つの登録DMOが設立されております。  一方で地域の事情もあり、必ずしもこうした手法によらず、例えば、先ほど答弁いたしましたように、文化振興とかスポーツ振興とか、そのような様々なプロジェクトや事業を進めながら、これを観光につなげていくということにも取り組んでいきたいと考えておりまして、例えば、県では、唐津地区を舞台として唐津・玄海エリアが本来持っている魅力を掘り起こす唐津プロジェクトの中で、名護屋城を日本文化発展の始まりの地という新しい視点で切り取り、磨き上げる「はじまりの名護屋城。」プロジェクトにも取り組んでいるほか、唐津の美しい海を生かし、シーカヤックやSUPなどマリンアクティビティの創出の準備を市町と調整しながら進めています。  さらに、佐賀が持つ豊かな自然を生かし、様々な魅力を体感する「OPEN-AIR佐賀」の柱の一つとしてキャンプ場の整備に取り組んでおりまして、魅力ある施設として整備され、運営されております波戸岬キャンプ場は利用者が従来の五倍に増える人気となっていると聞いております。  こうした取組においても、地域が主役という認識の下で地域が持つ様々な魅力的なコンテンツを観光誘客に生かせるよう、市町や地域の方々と議論しながら、今後とも地域の魅力づくりにしっかりと関わっていきたいと考えています。  最後に、今後の観光振興についてお答えいたします。  コロナ禍を契機に、観光の在り方や旅行者の意識も変わっていくと言われておりまして、新しい観光スタイルへの対応が必要となっております。県においては、ウイズコロナ、アフターコロナにおいて、豊かな自然環境や心安らぐ風景、風情の中で過ごす「OPEN-AIR佐賀」を新しい佐賀観光の強みの一つと捉えまして、サイクルツーリズムの推進やアウトドアアクティビティなどの創出に力を入れています。  また、コロナ収束後には、かつての団体旅行から個人旅行への流れが加速すると言われています。また、より高付加価値な旅行へのニーズが高まると言われておりまして、今議会において、宿泊施設が行う客室の個室化や露天風呂付客室への改修とか、文化や暮らしを体感し、じっくり楽しむ滞在型観光コンテンツの開発とか、観光素材の収益化に向けた新しい仕組みづくりとか、このような様々なチャレンジに対する支援を行う予算をお願いしているところでございます。  さらに、議員が先ほど申されましたように、まず、佐賀に来たときに一番最初に出会うのは窓口、まさに駅とか空港とかとなりましょうが、そのような観光客のニーズに即した観光情報をタイムリーに提供することで、旅の満足度を向上させ、リピーターを増やしていけるように、個人や家族で訪れる客にとって佐賀の玄関口である駅や空港等に観光案内所を設けまして、それぞれをネットワークとしてつなぎまして、それを市町と連携して展開していきたいと考えています。  このようにウイズコロナ、アフターコロナの観光、さらに、海外からのインバウンド誘客再開も見据えて、将来の佐賀の観光業にとって飛躍的なステップとなるよう、市町や地域の方々との連携をさらに強化しながら、地域の魅力づくりに取り組んでいきたいと考えています。  私からは以上でございます。 42 ◎落合教育長 登壇=私からは、「佐賀県手話言語と聞こえの共生社会づくり条例」に関連しまして二点お答えをいたします。  まず、学校での取組についてお答えします。  この条例の第七条では、学校教育において、その条例の基本理念及び意思疎通手段に対する理解の促進を図ることが規定されています。  本県の学校におきましては、小学校の国語の授業の中で、手話が聴覚に障害のある人との意思疎通手段であることを学びます。また、音楽の授業や合唱の発表会などにおいて、歌声とあわせて手話で表現するような取組も行っています。また、小学校のクラブ活動の中で手話クラブを設けて、児童が手話のスキルを持つ教員や学部講師から実際に学ぶような活動もあります。これは小中から高校までですけれども、福祉やボランティアをテーマにした総合学習の時間で、児童生徒が聴覚障害や手話について探求し、外部講師などから学んだ手話を生かす活動も行っています。  また、高校において、福祉や家庭などの授業で聴覚障害と手話を学んだり、自治体の講習会や部活動などで手話技能を高めたりする取組も行われております。このように発達段階に応じて児童生徒の手話の理解促進を図る取組がなされております。  また、県内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校の中には、実際に県立ろう学校の幼児児童生徒と手話を用いた交流を行っている学校もあります。  なお、教職員に対しましては、新規採用時、三年経験時、また十年程度経験したときに、教員のキャリアステージに応じて、この条例の基本理念及び意思疎通手段に関する講義や手話による日常会話の実技講習などの研修を行っています。  今後も、学校において児童生徒が手話を学び、体験する取組を促進してまいります。  次に、ろう学校における教育についてお答えいたします。  県立ろう学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、高等部には産業工芸科と被服科の二つの学科が設けられています。今年度は全校で十九名が在籍しています。  学校では、授業や学校生活全般において、幼児児童生徒一人一人の障害の状態や特性、心身の発達の段階に応じて、手話や指文字、筆談、口をはっきり動かして声を出す口話法などを活用して子供たちの理解を深める工夫をしております。  また、普通の学校であれば、授業の区切りを知らせるチャイムが鳴りますけれども、ろう学校の場合は視覚的に分かりやすくするために回転灯が廊下や教室の中で点灯する仕組みとなっています。  ろう学校においては、教職員の聴覚障害への理解や支援のためのスキルが必須です。毎年度、新任者や転任者を対象として、着任後すぐに手話の研修を行い、幼児児童生徒と新学期最初に出会うその時点までに簡単な自己紹介が手話でできるようにしています。その後も手話の研修のほか、会議で手話を用いたり、教職員同士で自主的な学習会を行うなど、様々な機会を通じて教職員の聴覚障害のある幼児児童生徒とのコミュニケーション能力の向上を図っています。  また、ろう学校においては、市町立の小中学校に対して巡回相談員を派遣して、聴覚障害のある児童生徒に対する教育について相談支援を行っています。  聴覚器や人工内耳といった医療機器や医療技術の進歩を背景としまして、聴覚障害があっても、以前であれば、ろう学校に通っていた子供たちが、適切な支援を受けながら市町の小中学校に通う児童生徒も増えてきております。そういったことが背景にあって、ろう学校の専門的なサポートに対するニーズが高まっており、ろう学校はそういった聴覚障害のある児童生徒に対する教育のセンター的機能を担っているという状況です。  次に、ろう学校における教育内容、特に高等部における教育内容について、時代に応じた見直しが必要なのではないかという御指摘がありました。  ろう学校を卒業した生徒が自立した生活を行い、社会参加を進めていくためには、卒業後、それぞれの進路先でしっかり定着していくことが非常に大切だと考えています。高等部産業工芸科においては木工作業に関連する学習、また、被服科においては服飾手芸やファッション造形に関連する学習に取り組んでいます。この両科を卒業した生徒が必ずしも木工や被服に関連したところに就職しているわけではありませんけれども、そういった学習を通じて正確に作業を行う力や集中力の育成、また、働く意欲を培うなど、将来の職業生活や自立に向けて基盤となる資質、能力を育むことができるように取り組んでいるところであります。  また、近年は、ろう学校でもICT活用教育を進めておりまして、様々な新しい情報をインターネットで収集したり、動画の視聴を行ったり、また、必要な情報をアクセスするなど、そういった制作や販売の学習にICTを生かしております。ろう学校における教育内容につきましては、時代に応じて新しいものを取り入れるなど、今後、必要に応じて検討を行ってまいります。  私からは以上です。 43 ◎田中秀和君 登壇=再質問をさせていただきます。  山口知事はじめ、執行部の皆様には丁寧な御答弁ありがとうございました。  まず、洋上風力の関連なんですけれども、この事業は漁業と共存共栄していく事業だということをもう少し前面に打ち出して説明をしていき、それによって漁業者の判断をしっかりと仰いでいくということが大切だと思っております。  まだまだ情報も不足しておりますし、これからどういうふうな風車がどこに何基、何キロ間隔で建つかというのも全然示されていない中で、様々な臆測が飛んで、その立ち位置に皆さんが立っていないというところが一番の課題なのかなと考えております。  そういった意味では、今年度、漁場調査をされるということで、海域、水域、魚道、海底ですかね、そのような調査をいつ頃までになされて、その調査結果を踏まえて、どういうふうな形で漁業者の皆さんに説明をなされていくのか、その点について分かる範囲でお示ししていただき、先ほど言いましたように、新しい漁場の展開の契機としてマイナス面がプラスになる、負が利になる、そういう新たな改革の一環としてこの事業を推進できるような、そういう議論の場が構築できるように進めていただきたいなと思っておりますので、御答弁をよろしくお願いいたします。  次に、コスメ関係は本当にいろいろと展開、これからも──もちろんコロナ禍が収まってからの展開がめじろ押しに進んでいくと思うんですけれども、今現在の課題として、大手企業が誘致場所がないということで進出できなかったという事例もあります。メーカーの名前までは言いません。そういった意味で、本当にこれから先、この佐賀県が集積地となり、そして、その集積地がきっちりできていくと。そのためには、やはり企業誘致の整備、支援が大事だと思いますけれども、その点についての考え方を再度お示ししていただきたいなと思っております。  次に、観光のほうを先に言わせていただきます。  本当に様々な予算が今回ついております。これまでもやられていたんですけれども、例えば、交通政策課から関連の予算が出ていたり、もちろん文化課から出てみたりしているんですけれども、それがしっかりと市町と連携して、先ほど来言いますように、果たして稼げる観光につながっていくのかなというのを物すごく危惧しているところなんですよね。  今の答弁では、観光的視点からそこがグリップして、これから先、しっかりと取り組んでいきますよという答弁だった、また、逆に言えば、そこまでしか多分答弁はできないと思うんですけれども、これからのコロナ禍の観光を考えると、様々な部局から出た予算、事業が観光的感覚で市町、団体と協議して、それが一過性にならない、ひいては三年、五年、十年先を見込んだ事業に展開できる、市町、団体としっかりとそれがプロデュースできていくと、そういう事業につなげていかなければならないと思っているんですけれども、今現在のやり方、答弁ではしっかりと連携してやっていますということなんですけれども、果たしてそれが観光的目線の中で事業展開が今後できていくのかなということについて、再度、局長としてのお考えをまずはお示しいただき、その答弁を聞きながら、次の一般質問においては、組織の佐賀県のグリップ的観光の在り方について、さらなる勉強をさせていただきながら執行部に提案ができればなと思っておりますので、今現在、局長として答弁ができる範囲で構いませんので、再答弁をよろしくお願いいたします。  最後に、手話言語条例についてなんですけれども、まさに聴覚障害者サポートセンター、ここが鍵なんですよね。そこに佐賀県としての今後の目標というんですかね、ステップというんですか、そこをしっかり示していかないと、サポートセンターありきになってしまうと、そこから先は現場主義を大切にするというところで終わってしまいますので、もちろんそこも大事なんですけれども、佐賀県として目指すべきこの条例についての施策の在り方というのは、やはり担当部としてしっかりと持っていただき、それをサポートセンターにつなげていただきたいなという意味では、様々な政策はしていただいていますけれども、そういう視点のことを部長のほうからお伺いしたいなということと、あと知事にお伺いしたいんですけれども、先ほど来、国スポ2024大会に向けてやっていこうということで質問をしているんですけれども、SSPによってスポーツをしっかりと頂点から裾野までつくり出そうと、そして、その通過点として2024大会をやっていくんだということは、すばらしいメッセージをいつも発信していただいていますけれども、何かスポーツだけしかこの大会は考えられていないのかなというふうに感じてしまいます。  発信を大事にする知事だからこそ、やはりスポーツだけじゃなく、先ほど来言われているように、全ての面において、この大会を機にボランティアの育成、そして、手話通訳の裾野を広げていく、そして最終的には技能を取る、手話通訳士に向けて頑張っていく、ここにもそういうSSP──SAGAサポートピラミッド構想というふうな目を変えてもいいと思うんですけれども、知事がそういう発信力によって、県民皆さんにこの大会を期してスポーツのみならず、佐賀県民総出でのすばらしい大会にしていこうと、何かしらそういう発信を再度していただければありがたいなと思いますので、以上の点、再質問とさせていただきます。よろしくお願いします。 44 ◎山口知事 登壇=田中議員の再質問にお答えします。  特に障害関係のスポーツについてどう考えるのかというお尋ねでございました。  私、昭和五十一年の最初の佐賀国体のときの話なんですけれども、全国各地で、実は佐賀国体は障害者スポーツの原点の大会だったって褒められることがままありまして、緊縮財政の下、何とかやり切った国体なんだけれども、そういう顔、実は佐賀県民はハートで障害者に対する接遇、ホスピタリティという意味で大きな原点を見いだしたんだなというのが誇りでもあるわけです。  せんだっての東京パラリンピックについては、佐賀県ゆかりの選手というのは大谷選手にほぼ限られていて、大谷選手は栃木から佐賀のほうに来られて障害者テニスを始めたということなので、いや、もっと障害者スポーツということ自体を佐賀の土地から生まれるように全体としてつくり上げなければいけないと思いましたし、実際、SSP構想というのは、国スポを一過性のものではなくて、その先にスポーツ文化を根づかせようと、「すべての人に、スポーツのチカラを。」ということなんですけれども、議員がおっしゃるように、あわせて全障スポというのは、本来我々のお家芸の大会であるべきだとすれば、その先のスポーツだけではなくて、この「さがすたいる」的な社会全体の有り様というもので、障害者の皆さん方も、あるなしに関わらず、まさに条例を体現するような社会をつくるきっかけになる大会にしなければと認識を新たにしたところでありますので、それに向かって施策をしっかりと実行していきたいと思います。 45 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=再質問にお答えします。  聴覚障害者サポートセンターが鍵というお話をいただきました。私どももまさにそこが拠点だというふうに思っております。そうした中でも、県として目指すべき姿をしっかり示しながらということでございました。  障害のある方に対して、社会的障壁をなくしていくという考え方は非常に大事でございまして、例えば、車椅子の方が段差があればそこにスロープをつけるとか、エレベーターをつけるとかいうことがあるかと思うんですけれども、聴覚障害のある方にとっては、例えば、手話であればやっぱり人材をしっかりと育てていかなくてはいけないというふうに思っておりますし、また、中途から失聴される方、聞こえなくなられる方いらっしゃいます。日本語が第一言語でいらっしゃいますので、要約筆記という、そういった人材をしっかり確保し育てていくということ、そういったところをしっかりやりながら、あと理解が進むようにというところで、総花的にはなるんですけれども、聴覚障害のある方が暮らしやすい社会となるように関係団体の御意見を伺いながら、県としてしっかりと取組を進めてまいりたいと思います。  私からは以上でございます。 46 ◎寺島産業労働部長 登壇=私には、二項目について再質問いただきました。  まず、洋上風力発電の関係でございますが、漁業環境の影響調査のスケジュールについてお尋ねがございました。  こちらの来年度の国の公募制の補助金に要望いたしまして、それが採択されましたら、これは公募によることになると思います。決め打ちでしませんので、どこに委託するのかということを決めて、その後、漁業関係者の方々と、どういった時期にどういった場所でやるのが最も効果的なのかといったことを相談しながら決めていきたいというふうに思っておりますので、現時点でかちっとしたスケジュールを持ち合わせているわけではございません。その辺りまた決まり次第、議会のほうにもお示しをさせていただければというふうに思っております。  また、コスメの関係で企業誘致をどのように進めていくのかということでございました。  議員からも御指摘ございましたけれども、県内は産業用地が不足しているという状況に今なっております。この産業用地というものをしっかりと開発していかないといけないと思っておりますので、そちらの取組を進めますとともに、このコスメへの関係に関しましては、先ほど議員からも御紹介いただきましたような企業さんというのは、コスメティック構想というものに賛同いただいて立地をしていただいておりますので、このコスメティック構想というものをしっかりと情報発信をして、この考え方に賛同いただく企業というものをしっかりとつかまえていくということがやはり重要なんだろうと思いますので、そういう意味では、情報発信というのは非常に大事だというふうに思っております。そういったところにしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 47 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=文化振興やスポーツ振興などの取組であっても、誘客を目的とするものについては、観光部門がしっかりとグリップして取り組むべきじゃないかということを今お尋ねされました。  答弁の中で、私がこの名護屋城プロジェクトとか、スポーツ関係のマリンアクティビティとか、スポーツ部門とか文化部門でやっていることについても説明いたしましたが、それらの事業を推進するに当たっても、県庁内においては当然ながら観光部門と連携しながらやっております。ただもう一つ、現場での調整、例えば、唐津市に行きまして名護屋城プロジェクトについて、地元の商工会とかボランティア団体とかと連携するときについても、単に文化部門だけが行くんじゃなくて、観光部門と連携して一緒に行って取り組んでいくということにも意識的に取り組んでおります。  そういうことが先ほど議員言われましたように、それは単発的なイベントの執行じゃなくて、それが二年後、三年後に稼げる観光につながっていくようにというところで、観光部門がしっかりとグリップしていったほうがいいんじゃないかというお気持ち分かりますので、先ほど言いました事業推進に当たっては連携して、観光部門と事業部門と連携してやっていくし、当然ながら、それを稼げる観光へつなげていくかというのは、まさに地元がまずどういうふうに意識してやっていくかというのがすごく重要でありましょうから、その辺りは地元に、さっきも言った文化とか観光部門も一緒に入っていって、議論しながら稼げる観光につながっていくように頑張っていきたいと思っております。  以上でございます。 48 ◎一ノ瀬裕子君(拍手)登壇=皆様こんにちは。お疲れさまでございます。一ノ瀬裕子でございます。  一月二十日付で一人会派佐賀讃花の会を解消いたしまして、自民党会派に加えていただきました。この議場にいらっしゃる皆々様、そして県民の皆様に御指導を仰ぎながら、さらに佐賀のためにと頑張ってまいる所存です。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは一問目、医療的ケア児及び家族への支援についてです。  御先輩の川崎議員から、言論による波状攻撃をということで言っていただきましたので、御期待に沿うよう頑張りたいと思っておりますが、少し思いについてお話をさせていただきます。  今日から三月で、もう間もなくインクルーシブ遊具を導入いたしました神埼の日の隈公園がオープンいたします。車椅子の子から人工内耳をつけている子など、みんなが楽しめる遊具ということで、これは下田議員が一般質問で取り上げられましたが、いよいよ神埼に導入されるということです。  医療的ケア児の御家庭というのは、例えば、ケア児さんとお父さんがお留守番をして、兄弟児さんをお母さんが連れていって公園で遊ぶなど、手分けして頑張っていらっしゃるので、みんなで御家族一緒に遊べる、こういう公園ができるというのは非常にうれしく思っておりますし、また、多くの子供にとって、小さいうちから自然といろんな触れ合いが生まれますと、優しさですとか理解が進んで、この佐賀ももっともっと子育てしやすい県になるのではと思っております。非常に楽しみにしております。  そしてもう一つ、知るということが本当に大事だと思いますが、川崎議員からも御紹介ございましたこちらの先月号の県民だより「さががすき。」に、医療的ケア児さんと、そして御家族、また支援者さん、輝く笑顔とともに、また素敵なデザインで御紹介がございました。これが非常に反響が大きかったそうで、例えば、御相談の窓口のLINE登録が増えたそうですし、また、御近所の方に、こんなに大変だったと知らなかったと初めて言っていただいたということです。  また、藤木議長とも昨日お話をさせていただきましたが、本当にこちらの御掲載の方々と一緒に頑張ってきたんだと、このように掲載されるのは隔世の感があるというふうにおっしゃっていまして、いろんな方面において、この掲載というのは意味が大きかったんだなというふうに感じたところです。  昨日、つい二日前も医療的ケア児さんお会いいたしましたけれども、本当に笑顔がかわいらしくて、そして、五歳の子でしたけれども、きっと重い物をまだ持ったことのない手というのは、本当に白くてふわふわして、本当天使かなと思うぐらいかわいかったんですよね。だけど、お母様は、昨日は一時間しか寝ていませんというふうにおっしゃっていて、本当にこういうことを知っていくことというのは大事だなと思ったところです。  お子さんの命を背負って二十四時間、身体的にも、また精神的にも、そして経済的にも大きな負担を抱えて、子育ての中でも最もハードと思われる子育てを頑張っていらっしゃる、この御家族の皆様に笑顔があって、子育てが楽しいと思ってもらえてこそ「子育てし大県”さが”」なんだという思いを込めまして、まずこの質問から取り上げさせていただきます。  県の令和三年度の取組としては、大きくは二つ、一つは医療的ケア児及びその御家庭の生活状況や支援のニーズなどの実態調査を実施するということでございました。  これまで推計ではおよそ百人と言われていましたが、何歳の、どのような状態のお子さんが何人くらいいるのか、その数さえ分かっていませんでした。親御さんの大変さ、また就園、就学の御希望、そして、兄弟児さんはヤングケアラーのようになっていないかなど、実態が分からなければ適切な支援もできません。  ちょうど一年前、令和三年二月議会の一般質問で、他県に遅れている実態調査をきめ細かく丁寧に行ってほしいと取り上げさせていただきました。実際に御家族のもとには数ページにわたる調査書が届いたそうで、困り事を聞いてもらえた。ふだん窓口で言いにくいこともびっしり書きましたと、本当に喜びのお声をお聞きしたところです。丁寧な調査に感謝をしますとともに、ただでさえお忙しいケアの時間を割いて書かれたこれらのお声をしっかりと受け止めていただきたいと思っております。  また、今年度の取組としてはもう一つ、御家族が悩みや困り事を気軽に相談できる専用窓口を開設するということでございました。  これも午前中、川崎議員への御答弁で述べられましたが、医療的ケア児支援法が施行された九月を待たずして、県が去年の七月に専門相談窓口「佐賀県医療的ケア児在宅生活ホットライン」を開設したことは大変評価ができますし、保護者さんからだけではなく、市や町など自治体からも相談が来ていると伺っております。  そして、令和四年度の新しい取組として、予算案には医療的ケア児支援法に県の責務とされている医療的ケア児支援センターを開設するとともに、就園コーディネーターを置くとの事業費が計上されております。医療的ケア児に特化した、こうした就園コーディネーターは、県レベルでは余り例がなく、他県に誇れる先進的な取組ではと感じているところです。
        ○ 時 間 延 長 49 ◎議長(藤木卓一郎君) 時間を延長します。 50 ◎一ノ瀬裕子君(続)=就園というのは、親子にとって共に大きな意味を持ちます。医ケア児さんにとっては、家の中とは違う刺激を受け、自立への一歩となります。また、親御さんにとっては、現在主たる介護者というのはお母さんであることがほぼですが、子供の世話だけではない時間が日常の中にルーチン的に入ることで、家庭を回すことができ、自分を保つこともできます。また、集団の中で過ごす子供の様子を見ることが、普通小学校か特別支援学校での療育か、迷いのない選択へとつながってまいります。  そしてもう一つ、私はここも意味として本当に大きいと思っておりますが、お母さんたちが就労の準備をする時間ともなります。  去年の十月、県内のケア児さんと御家族が集われるサロンで何人ものお母さんから、産後育休を取る予定だったけど、離職せざるを得ませんでした。働きたくても働けないんです。短時間でも働きたいと就労の御希望を聞かせていただきました。  この思いの中には、社会とつながりたいということだけではなく、共働きだったのが一人稼ぎとなったため、少しでも収入を増やし、例えば、我が子が楽になる医療用の車を買いたいですとか、ほかの兄弟児の進路のためにという切実な思いが含まれておりまして、本当にはっとさせられました。  お話を伺っておりますと、育児は社会全体ではなく、お母さんがするものという、これまで一般のといいますか、多くのお母さんを苦しめてきた思いが、まだここに縮図のように根深く残っていることを感じておりまして、医ケア児支援法の目的にも家族の離職の防止に資するとうたわれておりますが、御家族の就労の願いをかなえる環境の構築に向かっていくことが非常に重要なところだと思っております。  そのためには、まずもってケア児さんが健やかに成長できるよう、安心して預かってもらえる場所が増えること。あわせて、小児医療の経験を持ち、高度な医療的ケアができる看護師の育成が必要と考えます。  そして、調整役として、退院前から、就園、就学、就労と、顔の見える関係性の中で、ネウボラ的に伴走支援をしてくださるコーディネーターが、地域差が生じないよう県内に点在してくださることが必要と考えます。こうした体制が早く整うことを願いまして、以下の三点について伺います。  一点目、今年度の医療的ケア児支援の取組についてです。  今年度、医療的ケア児支援として、新たに県が取り組んだ事業は、どのように進んだのか。  二点目、実態調査の結果等についてです。  今回、県が初めて実施した実態調査はどのようなもので、その結果、どのような課題が見えてきたのか。  三点目として、今後の支援についてです。  医療的ケア児支援法の理念や実態調査の結果等を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、健康福祉部長にお伺いをいたします。  それでは二問目、女性アスリートのヘルスケア対策についてです。  北京オリンピック閉幕から一週間余りたちました。様々な名シーンに皆様も胸を熱くされたのではないでしょうか。  近年、国内外における女性アスリートの活躍は目覚ましく、彼女たちが真摯にスポーツに向き合う姿や、華やかな舞台で披露される磨き抜かれたパフォーマンス、私たちに大きな希望と熱い感動を与えてくれます。  その一方で、継続的な激しいトレーニングが誘因となる利用可能エネルギー不足、視床下部性無月経、骨粗鬆症といった、いわゆる女性アスリート三主徴に代表される女性アスリート特有の健康問題についてもクローズアップされてきました。  審美系の競技では体重を増やしたくない、増やしてはいけないとの思いから、また、走る競技では、かかとや膝の痛みを減らすため、少しでも軽くと、体脂肪率を極限まで下げてしまい、利用可能なエネルギー不足、摂食障害、骨粗鬆症、無月経を併発するなどの事例があり、専門医はもちろんのこと、実際に経験したアスリート自身からも警鐘が鳴らされ、支援の必要性が議論をされているところです。  また、こうした女性アスリート特有の健康問題は、決してトップレベルに限ったことではありません。  学校の部活でも、困った感を抱えていることが、昨年六月の議会でも御紹介いたしました県内の女子中高生千七百四人に行いました生理に関するアンケートでも明らかになりました。およそ四割に上る生徒が、体育や部活などを休んだことがあると答えましたが、こうした場合、教師や部活の指導者に対して、理由を生理と言うことができていない生徒がおよそ六割に上りまして、教師や男子生徒にもっと知ってほしいと回答した生徒、全体の半数近くに上りました。  この背景を深掘りいたしますと、実に当たり前の事実が浮かび上がってまいります。それは部活の指導者は保健体育の教師ばかりでなく、いろんな教科の教師がいて、そもそも生理について学んだことがないということです。指導者の中にも接し方や声のかけ方など対応が分からず悩んでいるとのお声もありました。  全国では、岡山県が早くから女性アスリートのヘルスケア事業に取り組んでいます。国体候補選手にアンケートを取った結果、三割の女性アスリートに無月経や月経異常が見られたため、トップレベルのアスリート対策から始められましたが、昨年十一月、初めて学校部活の指導者を対象とした基礎的な生理についての研修会を開かれました。  御担当者に伺いましたら、これが大変好評で、基本的な声のかけ方が分かった。学校単位でもぜひやってほしいと大変有意義な時間となったそうです。  この先、佐賀県内にも部活に外部の指導者が増えていくことを考えますと、指導者に向けてのこうした研修というのは、欠かすことができないと考えます。  例えば、無月経の場合、妊娠を希望しても、止まってしまった月経を呼び起こすというのは大変手ごわいもので、排卵障害、不妊症と、なかなか希望するタイミングでの妊娠が難しくなることがあると産婦人科の先生にお伺いをいたしました。これらのことは人生を左右しかねない本当に大きな問題です。  この四月から不妊治療の公的保険適用が拡大され、公的保険適用の対象が四十三歳まで拡大をされますが、人生百年時代と言われましても、それにつれ、妊娠に適した年齢が上がったわけではなく、依然三十歳前後です。不妊治療でつらい思いをした方の中には、早くから知っていれば違ったと、涙ながらに話してくださる方もいらっしゃいます。  今議会の定松議員の代表質問の御答弁の中で、知事は子育て世代になる前からのアプローチというのはすばらしい着眼点だとおっしゃいましたが、これこそまさに子育て世代になる前の取組で、中高生のときに女性特有の健康問題をきちんと伝え、正しい知識を身につけられるようにするということは、防げる不妊症を未然に防ぐ意味でも極めて重要だと考えます。  こうした健康問題を理解した上で行われるトレーニングは、実は結果として、パフォーマンスの向上にもつながるとのデータが出ています。  いよいよ二年後に迫った「SAGA2024」国スポ・全障スポに向け、練習がハードになることは十分に想定されることですが、「SAGA2024」に向けた強化も含めて、SSP構想を推進する観点からも、スポーツドクターと連携した取組を行う必要があると考えます。  岡山県では、この問題に真摯に向き合った結果、県スポーツ協会のスポーツ医・科学委員会が中心となって、このような「女性アスリートガイドブック」というものを作成されました。(実物を示す)  これはスポーツくじの助成金で作成をされたそうですけれども、正しい知識、また健康障害、栄養のこと、メンタルのことなどなど、セルフチェックの欄もございまして、本当にこれは生きる上でのお守りになるなというような充実した内容でございます。こうしたものをぜひ佐賀でも、スポーツ医・科学委員会を中心に進めていただきたいと思っております。  こうした思いを込めましてお尋ねをいたします。  一つ目、まずは部活動の指導者に対する啓発についてです。  一点目、これまでの取組と課題についてですが、女性アスリート特有の健康問題を周知啓発するため、これまでどのような取組を行ってきたのか。また、その中でどのような課題があったのか。  二点目、今後の取組についてです。  課題を踏まえて、今後どのように取り組みを行っていくのか、以上二点を教育長にお尋ねいたします。  続いて二つ目、トップを目指す女性アスリートへの支援についてです。  競技力向上に励む女性アスリートの中には、競技に打ち込むあまり、こうした健康課題に対する意識が薄くなることがあるのではと懸念をしています。ついては、SSP構想を推進する佐賀県として、女性アスリートに対する支援についてどのように考えているのか、文化・スポーツ交流局長にお尋ねをいたします。  それでは、三問目です。続いても将来にわたって影響の大きい健康問題を取り上げます。学校における脊柱側わん症の検診の在り方についてです。  脊柱側わん症は、通常、真っすぐに二十四個、頸椎、胸椎、腰椎と並んでいる脊椎がねじれて、横、または前ですとか後ろなどにゆがむ症状が進行する疾患で、その多くが思春期に発症をいたします。  男子に比べて女子の発症率が高く、発症率は二・五%です。百人いたら二人から三人はいることになりますが、発症するときは痛みがないので、自分で発見しづらい病気です。進行しますと、背中や腰の痛み、運動障害、また、胸郭が狭くなりますので、呼吸障害を伴うこともございます。  進行して手術が必要となった場合、多額の費用、これは四百万円から五百万円と言われておりますが、多額の費用が必要で、入院も長期にわたりますし、背中を縦に走る大きな傷痕というのは、心理的なストレスになる場合もあるため、本人や家族にとってはできるだけ手術というのは避けたいところですが、近年、早期に発見した場合、装具──コルセットのようなものなんですが、装具を装着することで手術を回避できることが分かってまいりました。装具を着けますと、着けないときに比べて四倍手術になりにくいというデータも出ております。  できるだけ早い段階で側わん症を発見して治療を行うことが重要で、一九七九年四月の学校保健法の改正によって義務付けられた学校健康診断における側わん症検診は、早期発見に大きな役割を果たしています。  しかし、毎年、一定数の側わん症疑いは報告をされていますが、学校健康診断で異常を疑われないまま発症した事例もございまして、佐賀県も発症率と発見率との間には乖離が見られます。  検診はどのようなものかと御説明をいたしますと、家庭での保健調査等の情報を参考に、学校医による視診や触診などで行われていると伺っております。  そもそも家庭で保健調査票、家庭に配られまして、これを親が書くことになっているんですが、子を持つ方々、親御さんにお聞きをしたところ、残念なことに、きちんと時間をかけて子供を上半身脱がせて、手を合わせて、体を曲げさせて、そして肩の高さ、背中の高さ、違うかどうかというのをきちんと見ながらチェックをしているということはもう本当に少なくて、よかよね、何もなかねというような感じでみんな済ませているというのが思春期の親子の大方の様子でございました。  また、学校医も実際のところ、上半身を裸にして詳しく診察できないというのが実情ですし、ほとんどが内科医で御専門ではないために、発見率のばらつきというものも指摘をされております。  これらの対策として、現在、全国の都道府県のうち、十二都道府県が専用の機器を導入して、精度の高い検査を実施しています。そのときに作成されるのがこちらです。(パネルを示す)このようなものですね。LEDの光を当てて撮影をして、そのデータを解析をいたしまして、このような等高線のような図を作るというものなんですが、この模様が非対称だったら側わん症の疑いということですね。左右対称だったら側わん症疑いなしということになります。  これは胸椎というのが、まだ発見しやすいんですけれども、この腰椎は発症間もない軽度のうちはなかなか発見しづらい部分と言われております。ですが、機器を使いますと、発見率一〇〇%ということでございます。  上半身裸で撮影をしますので、運用としては専用の機器をもって女性技師が学校を回るというスタイルでございまして、一時間に六十人から百人の撮影ができるそうです。機械はおよそ六百万円するそうですが、東京都で五台を導入済み、香川県は二台の導入を予定されています。  あとは撮影とデータ解析に一人当たり八百円前後かかるということで、負担と見逃しのリスクを減らせるため、県内の複数の学校医からも機器導入を求める声があると伺っております。  全国では、学校医が見逃したということで、表に出ているだけでも二十代の女性が自治体や教育委員会、学校医などを訴える訴訟が三件起きております。  脊柱側わん症が重症化した場合、生涯にわたり影響が残り生活の質を低下させます。本県においても視触診だけでなく、より早期に正確に異常を発見し、治療につなげ、児童生徒の健康を守るために学校健康診断の体制として、精密な検査結果が期待できる専用の検査機器の導入を進める必要があると考えます。  そこで、次の点について伺います。  一つ目、学校健康診断時における脊柱の検査の現状についてです。  一点目、脊柱の検査の方法についてですが、脊柱の検査についてどのように行われているのか。  二点目、異常が確認された場合の対処法についてですが、年間どのくらいの異常が確認されているのか。また異常が確認された場合、どのように対処しているのか。  そして二つ目として、脊柱側わん症の早期発見の体制づくりについてです。  早期発見のためには、精度の高い専用の検査機器を導入することが必要と考えますがどうか、以上、教育長にお伺いをいたします。  そして、大きな問いの四つ目です。SAGAアリーナの利活用についてです。  「SAGA2024」を契機に、「さが躍動」の象徴的なエリアのランドマークとして建設されているSAGAアリーナは、二〇二三年春のグランドオープンを目指して整備が進められています。私も度々前を通りまして、建設現場を目にしておりますが、通るたびに工事の進捗を示すように姿が変わり、今は大まかな外形が出来上がっておりまして、完成を楽しみにしているところです。  SAGAアリーナは、佐賀国スポ・全障スポでの活用はもちろんのこと、その後もスポーツ大会やコンサート、ファミリー向けイベント、学会など、幅広く利用できる多目的アリーナとして活用されるべく、その目的ごとに利用に向けた取組が進められています。  バレーボールVリーグ久光スプリングスと、バスケットボールBリーグ佐賀バルーナーズがホームアリーナとして使用することが決定し、スポーツやコンサートなどの興行の誘致も行われているほか、ちょうど一年前に県庁内に発足した誘致促進チームでも、大規模な学会や国際会議を呼び込むための動きが本格化していると聞き及んでおります。  昨年五月に多様な世代が集う交流拠点として、スポーツ庁が選出するスタジアムアリーナに選ばれましたので、全国の先進事例となるような利活用が進めばと期待をしているところです。  当初予算案には、SAGAアリーナオープン記念の事業費が計上され、オープンまで一年あまりの取組が見えてきたと感じております。提案されたオープン記念文化芸術祭は、県内全域から佐賀の祭りや文化芸術を集めた県民参加型の文化イベントとの御説明でございましたが、完成を楽しみにしていらっしゃる県民の中には、文化芸術の大切さや、また力を知ってもらう機会として、アーティストや文化団体と一緒になって、子供から大人まで一般県民もステージに立ったり、客席から歌い出したり、全員で一つの物語を作り出すような県民参加型のアリーナミュージカルを開きたいと、既にアリーナができることで大きな夢を描き、奮い立っている方々がいらっしゃいます。  私はこのアリーナが本当に「さが躍動」の象徴となっていくためには、これまで県民が身近に、間近に経験することができなかった様々なものを県外から誘致するとともに、県民が主役となり、アリーナを舞台に、アリーナだからこそできるイベント、また、アリーナができたことをきっかけに始まるイベントというものも開催されていくべきと考えておりまして、初発の文化芸術祭も、県民の夢をかなえる形のイベントにしていただきたいと思っております。  さて、山口知事は、一期目の「肥前さが幕末維新博覧会」において、県民の心に佐賀への誇りや愛着を醸成され、二期目、その大半はコロナ対策に取り組まれることとなったわけですが、感染拡大予防に向けた呼びかけの中で、繰り返し協力への感謝を伝えられ、また、オール佐賀、チーム佐賀で乗り越えようと、県民の心に訴えることで県政運営を前に進めてこられたと感じております。  今議会の演告におきましても、「様々な分野において、持続可能であってさらに前進させるための源泉は『人の力』」と述べられまして、改めて山口県政八年目、人づくりに力を込めたいとの考えが示されました。  予測不可能な未来社会において、人々が幸せに暮らす持続可能な社会をこの佐賀につくっていくためには、変化を前向きに捉え、豊かな創造性と大いなる佐賀愛をもって、今地域の担い手と呼ばれる人々だけでなく、みんながつながり合って佐賀の作り手となるということが必要で、こうした県民の姿をイメージしたとき欠かすことができないのは人の力、立ち上がる県民の心の力と思っております。  つい最近、飲食業の方々に、一番身近にお客さんに接するのは我々、だけど、佐賀のことを学んだのは遠い学生の頃なので、意外と知らない、このことに関しては、「弘道館2」のお目付役の倉成さんもおっしゃっていて、本当にそうなんだなと思ったんですが、お客さんに伝えるため、佐賀を学ぶ場が欲しいとの御意見をいただきまして、自分たちが発信していくんだという芽吹きのようなものを感じるとともに、当初予算案を見ましても、子供たちには佐賀を誇りに思う事業が組まれ、「ゆめさが大学」に通われる高齢者の方々に、地域の担い手となってもらうという事業も組まれておりますが、現役世代に対してもっと佐賀を盛り上げていこう、自分たちでやっていこうという意識を醸成するような事業があってもいいのではと思ったところです。  アニメ「鬼滅の刃」には「己を鼓舞しろ」という皆を奮い立たせるセリフがありまして、北京オリンピックもそうでしたが、内なるエネルギーで立ち上がっていくというところが今の時代に合っていて人気を博しているとは専門家の分析ですが、県民の内なるエネルギーを高め、佐賀県の作り手として自発的に行動を起こす意識を醸成する場として、間もなく完成するアリーナを活用することもできるのではないでしょうか。  現役世代が、もう一度自分の人生や、生まれ育ち、あるいは暮らしている地元佐賀を見詰め直し、志を新たに持つ機会として、例えば、これは一例ですが、成人式や二分の一成人式があるように、全県下の四十歳が集う二度目の成人式、二倍成人式の開催なども考えられるのではないでしょうか。これはあくまで誰一人取り残さない仕組みとして、誰もが通る通過儀礼的なものがいいと考えたわけですが、地元経済への波及効果も見逃せません。  ちなみに成人式の経済波及効果は、全国でハロウィンの千三百億円を超えるのではと言われておりますが、四十歳ですと、二十歳の頃と違い経済力もあるため、アパレル業界や美容業界をはじめ、飲食店やホテル、旅館などもにぎわい、県内の様々な業界へ経済波及効果が生まれると考えられます。  アリーナという、これまでにない収容人数、最新設備を備えたハードが完成することを、佐賀県のソフトの核である県民の志を醸成し、高めることに昇華させること、ひいては地元経済の起爆剤にすることこそ、この時代にアリーナができた意味であり、醍醐味ではないでしょうか。  そこで、次の点についてお尋ねをいたします。  一、SAGAアリーナのオープニングについてです。  SAGAアリーナ本体は十二月末に完成をし、その後準備期間を経て春のオープニングを迎えると聞いております。ついては、完成から春のオープニングまでの間にどのような準備や周辺整備が行われるのか。また、コロナ禍でエンターテインメント業界が厳しい状況が続いていることから、様々なイベントの誘致についても困難が多いものと推察しておりますが、SAGAアリーナのオープニングについて県はどのような考え方を持っているのか、指定管理者とどのように連携して取り組んでいくのか。  二点目として、SAGAアリーナオープン記念文化芸術祭についてです。  SAGAアリーナオープンを記念して、文化芸術祭を開催するとされていますが、どのようなイベントを行うのか、以上二点を文化・スポーツ局長にお尋ねいたします。  そして三点目、志の醸成のための活用についてです。  「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念にしている山口県政だからこそ、自分たちの手で世界に誇れる唯一無二の佐賀県をつくっていこうという志を持ち、自ら行動していく県民が増えるような佐賀ならではの仕掛けがあってもいいと考えております。  先ほど申し上げました社会人として節目を迎えた現役世代の人たちが、二回目成人式のようなイベントをSAGAアリーナで開催し、改めて志を抱くきっかけづくりや、志を持った人たち同士のつながりを生む機会にできないかと考えておりますが、このことについて知事の御所見をお伺いいたします。  質問は以上四問です。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手) 51 ◎山口知事 登壇=一ノ瀬裕子議員の御質問にお答えします。  志の醸成のためのSAGAアリーナの活用についてお答え申し上げます。  まず、この二年間、コロナ禍で人生の節目で誰もが経験する成人式や卒業式などの様々なイベントが、本来の形式で開催されなかったことに胸を痛めています。  一ノ瀬議員から成人式の話がありました。今年、コロナ禍で成人式を迎えた人たちは、実は二年前の高校の卒業式もコロナで満足に卒業式ができなかった学年であります。来年の春、SAGAアリーナができるので、例えば五年後、十年後の節目にもう一度みんなが集まって再会するような会ができたらいいなと思ったりもします。そんな会があってもよいのではと考え始めております。  議員から御指摘がありましたように、SAGAアリーナはスポーツだけではなくて、コンサート、MICEと呼ばれる全国規模の学会、展示会など、これまでこの佐賀県では開催できなかった多彩な催しが実現可能です。  例えば、コンサートといいますと、今でありますと佐賀市の文化会館大ホールで二千人規模ですが、今度は八千人規模の著名アーティストのアリーナコンサートが開催可能となります。さらに、アリーナは八千四百人まで一堂に会して開催可能となりますし、文化会館小ホール、いろんなものがありますから、サンライズパーク全体を活用すると、最大で一万三千人の会を連携しながら開催することもできます。  そして、学会ですけれども、医学界というのは本当に多くの学会があるんですけれども、これまで収容できるような会場がなかったために、医学界、医療の学会を佐賀で開催されることはほとんどなかったと聞いています。  例えば現在、日本ペインクリニック学会というのを来年開催予定なんですが、そういった医学界も、今、開催予定の話が舞い込んでくるようになりました。  このように、アリーナの整備によって、これまで佐賀県をスルーされてきた大会、学会、見本市、コンサートツアー、スケートショーなどが開催されるようになります。それに伴って、観光、飲食店、宿泊、お土産屋など、大きな波及相乗効果が起こるものと考えています。多くの皆さんが、この佐賀県で様々な消費活動を行うこととなるために、官民一体となって、新たな仕掛けを構築しないといけません。まさに知恵の出しどころだと考えております。  また、SAGAアリーナは年齢や性別の違い、障害のあるなしに関係なく、誰でも使いやすく、快適に過ごせる施設として整備したいと思っています。  例えば、トイレ一つを取ってみても、そもそも女性用トイレを男性用トイレより多く配置する設計にしておりますし、男性用トイレは女性用トイレに変わることもできるように設計してあります。トイレの入り口と出口は分けて一方通行となりますし、パウダーコーナーというお化粧直しをするようなコーナーを設ける設計にもなっています。  そのほか、メインアリーナの観客席ですけれども、固定席六千三百の全てにドリンクホルダーというものを設けて、全国のアリーナの通常の椅子よりも広めに設計されておりますし、お子さま連れ、障害をお持ちの方など、様々なニーズに対応できるボックス席を配置、さらに、車椅子の方も同伴者と一緒に利用できるようなスペースを複数箇所に分けて配置をしたりしています。  また、設計段階からスポーツ関係やイベント関係の専門家などの意見を聞いておりまして、イベント主、興行主にとっても使い勝手がよいように、バックヤードや動線にもこだわりを見せた施設であります。さらに、新たな価値を生み出し、与える場所として、5G時代に対応したデジタル実証フィールドとして様々なデジタル化を進めています。トイレの混雑情報などもアプリの中で、どこのトイレに行けばいいのかといったことまで分かるような施設となります。  といった具合に、SAGAアリーナは、日本の最先端施設となるわけでありまして、その活用にはいろんな可能性があります。自由な発想で使っていきたいと思います。そして、県民の皆様方にも大いに楽しんでいただきたいと思います。  議員からお話がありました二倍成人式、二回目成人式、三倍というのもあるみたいです。三回、還暦の年ですけれども。そういったものはみんなでお祝いするにはとてもふさわしいときだと思います。みんなで人生を見詰め直したり、その先を充実させるものにしたり、旧交を温めたり、その後の活力にしたり、このSAGAアリーナで一堂に会するということも非常にすばらしいのではないかというふうに思います。これから、みんなでそういったことも含めて考えていきたいと思います。
     コロナ禍の中で建設が進んでおりますSAGAアリーナです。コロナ後の佐賀県躍進のシンボルとなるタイミングだと思います。スポーツ界、経済界などはもちろんのこと、県民の皆様方にとって、アリーナができて、新たなこと、新たなビジネスができるようになります。佐賀らしい自由な発想で利活用をオール佐賀で進めていきたいと考えています。 52 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=私からは、医療的ケア児及び家族への支援についてお答えをいたします。  初めに、今年度の医療的ケア児支援の新たな取組についてでございます。  今年度新たに取り組みましたのは主に三つございまして、議員から御紹介がありました専門相談窓口「佐賀県医療的ケア児在宅生活ホットライン」の開設、医療的ケア児及び御家庭に関する実態調査、そして、在宅生活に必要な情報をまとめたガイドブックの作成でございます。  ホットラインでは、保護者からの相談のほか、現場で働く支援者からの相談や協力依頼への対応など、専門知識や現場経験が豊富なスタッフにより、きめ細かく対応をいただいております。日々お忙しい中、LINEで気軽に相談できるといったことも利用される方からは大変喜ばれています。  現在作成中のガイドブックは、特にこれから御自宅で療養生活を始められる保護者に確実に届くよう、医療機関などと連携して配布していく予定でございます。  次に、実態調査についてです。  今回の調査では、単に医療的ケア児の人数や支援ニーズの把握にとどまらず、ケアの内容や状態、御家族の就労の状況、福祉サービスの利用状況、災害時の備えに関することなどについて詳しくお尋ねをしております。  調査票の配布については、医療機関を受診されるタイミングで顔見知りのスタッフから調査の趣旨を伝えた上でお渡しするのが最も効果的と考えまして、昨年八月下旬から十月中旬にかけて、県内外の医療機関に御協力いただきながら配布を行ったところです。  調査票の配布数と、市町や支援事業所からの情報を基に、県内には約百六十人の医療的ケア児が在宅で生活されていることが分かりました。これまでに七十五人の保護者から調査票への回答をいただいております。そこには、お一人お一人の思いや願いがぎっしりと詰まっております。改めて、日々のケアの合間を縫って、貴重な時間を割いて調査に御協力いただいた保護者の皆様、配布に御協力いただいた医療機関の皆様に感謝申し上げたいと思います。  今回の調査結果から見えてきたのは、医療的ケア児に関して周囲の理解が十分ではない、毎日のケアがあるため、就労が容易ではない、保護者がほかの兄弟児と接する時間を十分取れない、就園や就学のハードルが高い、災害など緊急時の備えが十分にはできていないなど、日常生活の現状、課題が見えてまいりました。皆様からいただいた御回答や御意見、今後、関係機関とともに支援を検討する上でしっかりと生かしてまいります。  次に、今後の支援についてです。  実態調査では、子供の状態や家庭の事情に様々違いはありましても、ケアを続けながら就労を希望される保護者の意見が多く見られました。毎日の在宅ケアの時間や子供の急な体調変化への対応、預け先の問題などがありまして、多くの保護者の方が希望する形で就労できていないという現状がございます。  預け先ということであれば、例えば、近くの保育所などで受け入れることができれば、就労の可能性が高くなる方もいらっしゃると思います。お子さん自身も、同年代の友達と遊んだり、触れ合ったり、保育士など保護者以外の大人と接したり、家庭とはまた違った様々な環境に触れながら成長する機会になると考えます。  このため、来年度から医療的ケア児就園コーディネーターを配置したいと考えておりまして、御紹介がありましたとおり、関係経費を今議会の予算でお願いしているところでございます。  コーディネーターには、保育所や幼稚園などでどのようにすれば受入れが可能か、具体的な助言をしながら、安心して医療的ケア児の受入れが進むよう働きかけをしてもらうこととしております。  また、医療的ケア児支援センターで実施します勉強会やケース会議などを通じまして、各地域にいらっしゃいます医療的ケア児支援コーディネーターのスキルアップとネットワーク化を図ることとしておりまして、支援者の人数や熟度など、地域間に差が生じないようにしてまいりたいと考えております。  医療的ケアが必要なお子さんと日々懸命にケアをされている御家族が安心して暮らせるよう、医療的ケア児支援センターを支援の拠点として、多くの関係機関、そして、各地におられるコーディネーターの皆様と支援の輪をつなげて、広げながら、ライフステージに応じた支援の取組を進めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 53 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、大きく二項目についてお答えします。  まず、女性アスリートへのヘルスケア対策についての質問のうち、トップを目指す女性アスリートへの支援についてお答えします。  県では、SSP構想の下、アスリート、指導者の人材育成を進めておりまして、競技団体や選手に寄り添った伴走型支援を基本といたしまして、指導者が医科学や栄養学等の最新の知見を学ぶ環境づくりにも取り組んでいるところでございます。  御指摘の女性アスリート特有の健康問題については、近年、国レベルでは国立スポーツ科学センターを中心に様々な研究が進んでおりまして、この研究を受け、県レベルで各県のスポーツ協会が中心となって女性アスリートの健康課題の各種啓発、研修等に着手しています。  本県においても、佐賀県スポーツ協会においてスポーツドクター等の医療関係者が中心となって組織するスポーツ医・科学委員会において、今年度は女性アスリートに関する相談窓口を設置いたしました。そして、新年度には指導者を対象とした女性アスリートの健康課題に焦点を当てた研修会の開催を検討しています。  県としても、スポーツ協会主催の研修会がよりよいものになるように、企画段階から様々な助言をするとともに、昨年十二月にスポーツ医科学に関する連携協定を締結いたしました西九州大学の知見も活用しながら、女性アスリートのヘルスケア対策にしっかりと取り組んでまいります。  また県では、競技団体が、栄養学、メンタル、ICT活用等、様々な専門家によるサポートも受ける場合に経費を補助するSSP競技伴走育成交付金という制度を設けておりまして、女性アスリートのヘルスケアについても、競技団体がより専門的なサポートを受けたい場合には、この交付金が活用できることになっておりまして、そのことを広く周知して研修と実践の両面から女性アスリートのヘルスケアを支えていきたいと考えています。  次に、大きな項目二問目でございます。  SAGAアリーナの利活用についての質問のうち、アリーナのオープニングについてお答えします。  SAGAアリーナは、十二月下旬の建物完成後、電気・機械設備の試運転調整とか、指定管理者による運営開始に向けた設備機器の習熟の向上などを図っていくこととしています。また、備品の搬入とか設置なども行いながら、並行して外側のペデストリアンデッキを含む外構工事を三月末をめどに進めていくこととしています。  こうした準備を経て二〇二三年春のグランドオープンを迎えることになりますが、春から夏までの期間をオープニングキャンペーン期間と位置づけまして、スポーツイベントやコンサート、MICEなど、多彩なイベントを開催できるよう、様々な調整を今進めているところでございます。  知事も先ほど申しましたように、SAGAアリーナは多目的アリーナであることから、オープン後のできるだけ早い時期に多彩なイベントを開催することとしておりまして、そのように多彩なイベントをすることで県外のイベントの興行主に対してもSAGAアリーナの利便性などをアピールし、それがさらなるSAGAアリーナの利活用にもつながっていくと考えています。  一方、他県のアリーナ関係者からヒアリングしたところによれば、オープン当初に大きなイベントを詰め込み過ぎると、運営スタッフも不慣れな中で対応することになりまして、イベントの興行主に使い勝手が悪い施設という印象を残すことにもつながると聞いています。そのようなことにならないように、グランドオープン前に内覧会的な性格も持つプレオープンの期間も設け、運営スタッフの経験や習熟度を高めながら、使い勝手がよい施設という評判につながるように取り組んでいきたいと考えています。  現在、こうしたオープニングについての考え方、誘致するイベントの内容については、県と指定管理者でしっかり共有するとともに、アリーナでイベントを行う興行主からも、また、イベントに参加した来場者からも、使ってよかった、来てよかったと言っていただけるような施設となるよう、一つ一つ実績を積み重ねていきたいと考えています。  さらに、県内の多くの方にオープン後のできるだけ早い時期にアリーナに足を運んでいただきたいと考えておりまして、県内の経済界や市町とも連携して、アリーナのオープニングに関する広報や、来場に向けた機運醸成にしっかり取り組んでいきたいと考えています。  最後に、SAGAアリーナオープン記念文化芸術祭についてお答えします。  このイベントは、アリーナがオープンしてできるだけ早い時期に広く県内全域の県民の皆様にアリーナがオープンしたことを知ってもらい、多くの方に足を運んでいただきたいということで考えたものです。このアリーナは多目的アリーナでありまして、スポーツやライブを見るだけでなく、様々な文化活動に取り組まれる方々が自分たちも使うことができる施設、つまり、「する施設」だということをこの機会に実際に体験してもらい、この施設を自分たちのアリーナだと身近に感じていただきたいと考えています。  このようなことから、SAGAアリーナがオープンして注目が集まるなるべく早い時期に、県内全域から幅広い世代の県民の方々が参加できる県民参加型の文化イベントを県主催で、県の文化部局の主催で開催したいと考えておりまして、その予算を今議会にお願いしているところでございます。  具体的な内容はまだ固まっておりませんが、文字どおり、文化芸術祭として、例えば、他の機会ではなかなか見ることができない県内各地の祭りの大型の山車を登場させることとか、県内のオーケストラやミュージカル団体などにも出演いただけないかと考えておりまして、今後具体的に調整を図っていきたいと考えています。可能であれば、来場した方々にも合唱に参加していただくなど、一人でも多くの県民の皆様と一体となったショーとしてつくり上げていけないかと考えています。  また、アリーナだけではなく、周辺の広場やデッキ、さらには市道三溝線まで巻き込んだ形で盛り上げていけないかと、そのような企画になればと考えているところでございます。  このようにSAGAアリーナの開館に合わせ、そのオープンを県民と感動を分かち合える、県民が広く参加できるイベントを実施することで、このアリーナを県民が主役になれる自分たちのアリーナだと感じていただき、県関係者の方々と意見交換しながら、来年度一年かけてじっくりと準備を進めていきたいと考えています。  私からは以上でございます。 54 ◎落合教育長 登壇=私からは二点お答えします。  まず、女性アスリートへのヘルスケア対策についてのうち、部活動の指導者に対する啓発についてお答えをいたします。  これまでの取組と課題についてですが、部活動に打ち込む女子生徒の中には、無理な体重コントロールやオーバートレーニングが原因となってホルモンバランスが崩れ、無月経の症状や疲労骨折などが生じている事例が確かにございます。  このため、中高生の指導に関わる学校の教職員、部活動指導員あるいは外部指導者、並びに管理職を対象とした研修会などにおいて、女性アスリート特有の健康課題について取り上げ、生徒の将来を念頭に置いた適切な指導がなされるよう啓発に努めています。  課題としては、こういった研修会は、女性アスリート特有の健康課題に特化した研修ではありませんので、その中で触れる情報量が時間の都合上十分とは言えないのではないかと考える点と、研修会は全学校から一名以上の参加を求める研修として実施していますけども、参加者には後日それぞれの所属において研修内容を伝達するように求めてはいますけども、学校によって温度差もあるでしょうし、全ての指導者に周知徹底がなされているかということが把握できていないというのが課題かなと思っております。  今後の取組につきまして、部活動は今も継続的に行われていますので、今現在も悩みを抱えている生徒や指導者がいると考えております。  そこで、昨日ですけども、県教育委員会のホームページに啓発用のサイトや資料を掲載いたしました。また、そのことを県立学校や市町教育委員会のほうにもお知らせして、有効活用をお願いしたところです。  この資料は、先ほど議員のほうから岡山県のガイドブックをお示しいただきましたけども、日本体育大学が作成されている女性アスリート向けのパンフレット、ガイドブックで、かなり参考になるものだと思って、ぜひ指導者の皆さんにはそれを見ていただきたいなというふうに思っております。  また、来年度の研修会では、女性アスリートの健康課題について専門的な研究を行っている講師を招聘して、そういう研修会を開催したいと思っております。その研修の模様は、参加をしていただいた人だけではなくて、オンデマンド配信するなど、全ての指導者、あるいは生徒自身が必要なときに必要な情報が得られるようにしたいと考えております。  さらに、県教育委員会では、来年度から地域との連携を一層深めた部活のスタイル「SAGA部活」を推進していきますけども、その一環として、女性アスリートのヘルスケアについて高い見識を備えた専門家を招聘したいと、そういうことを検討していきたいと考えております。  次に、学校における脊柱側わん症の検診の在り方についてお尋ねをいただきました。  まず、学校健康診断における脊柱の検査の現状についてお答えします。  脊柱の検査につきましては、保護者が記入した保健調査票や学級担任などによる日常の健康観察で得られた情報を基に、学校医が健康診断で視触診、見たり触ったりして健診を行っています。必要に応じて、ゆっくり前屈させながら、背中の肋骨の高さに左右差があるかどうかなどの検査を行っています。  異常が確認された場合の対処法ですけれども、脊柱側わん症は悪化すると日常生活に支障を来し、手術による治療が必要となる場合もあることから、学校生活のみならず、児童生徒の将来にわたって影響が大きい疾病であり、早期に発見し、治療につなげることが重要だと考えております。  県内の公立の小・中・高校において、令和元年度の学校健康診断の脊柱の検査で疾病や異常の疑いがあるとされたのは千二百五十二人、受検者全体の一・四七%となっております。学校はその児童生徒の保護者に対し、専門医療機関での検査を受けるよう受診勧告を行いました。  次に、脊柱側わん症の早期発見の体制づくりについて、議員のほうからは、精度の高い専用の検査機器を導入すべきではないかという御提案をいただきました。  精度が高い検査機器を使用することは、より正確な検査を実施して、児童生徒の心身の負担軽減や検査に関わる学校医を支えると、そういった効果があると認識をしております。  ただ、課題もいろいろありまして、そういった検査機器を使った検診を行うためには好発年齢、よく発症する年齢とされています小学校五年生から中学校一年生、そういった検査を四月から六月までの三カ月の間に学校の健康診断を行わないといけないことになっていますので、その限られた期間の中で実施しなければならない。それだけの機器を、数をそろえるのか、あるいは全体の調整が可能なのかという課題が一つ。  もう一つ、学校、特に小中学校の児童生徒が対象になるわけですけれども、小中学校の設置者である市町の検査費用の負担が増大します。それに係る予算を確保する必要があります。  また、上半身の脱衣による検査をしないといけません。先ほど写真を見せていただきましたけれども、その検査の場所を確保することも課題です。児童生徒はかなり上半身裸になることに抵抗が大きいと現場の先生たちから聞いていまして、この機械を導入するかどうかにかかわらず、上半身を脱衣するというのは結構難しいというふうに聞いています。こういった課題があります。  そういったことが共通してあるからだろうと思いますけれども、文部科学省は令和四年度に、学校健康診断におけるより正確な脊柱側わん症の検診の実施に向けた仕組みづくりを検証する調査実証研究に取り組む事業を予算化されています。県内にもその事業の一環で取り組む学校があると聞いています。  県教育委員会としては、今後、文部科学省のその調査研究や、既に専用の検査機器を使用している他県の状況などについて情報収集に努めていきたいと考えています。  とはいっても、先ほど御指摘もありましたように、脊柱側わん症は早期発見、早期治療が重要で、機器の導入を待っているわけにはいきません。改めて児童生徒や保護者には、脊柱側わん症の検査の重要性や必要性を理解してもらうとともに、学校医の指導、助言を得ながら、早期発見につながる検診が、現在の学校健診でもそういった運営がされるよう学校に働きかけていきたいと考えております。  私からは以上です。 55 ◎議長(藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。明日二日は引き続き一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。お疲れさまでございました。     午後五時五十一分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...